令和五年度 総会 式辞
 

                         日本郷友連盟 会長 森 勉

 本日ここに内外多数のご来賓のご臨席を賜るとともに全国から志を同じくする多くの会員各位のご参集を得て、令和五年度一般社団法人日本郷友連盟総会を開催出来ます事は誠に喜ばしく、関係者の皆様に心から厚く御礼を申し上げます。

 日本郷友連盟は旧兵役に服した方々が昭和三十年祖国再建と国土防衛を目的とする日本戦友団体連合会として産声を上げ翌年日本郷友連盟として改称して以来約七十年間にわたってわが国の保守本流の脊柱として活動し大きな影響力を行使してまいりました。
今後は、英霊の慰霊顕彰、自主憲法の制定、北方領土の返還、自衛隊の国軍化等、過去の負の遺産に真摯に向き合うとともに、国内にあっては大東亜戦争の敗戦で失った日本の良き伝統を再生させ、国際的には国連改革、東アジアの厳しい戦略環境の克服、日米同盟の更なる深化等未来に向かって発展性ある問題に挑戦しなければなりません。

 さて、コロナウイルスによるパンデミック事態は未だ終息はしないものの概ね低レベルで推移しており各種社会活動も従前に服しつつありますが依然として十分な警戒が必要だと思われます。また、ウクライナ戦争は昨年二月二十四日勃発以来一年二ヶ月以上が経過しましたが依然として終結する兆しはありません。ウクライナ・ロシア両軍は双方多大な損害を出すとともに非人道的なロシア軍の攻撃によりウクライナ国民や貴重なウクライナの学校・病院を含む公共施設が甚大な被害を被っています。
ほとんど天敵のいない霊長類の長たる人間にとって数少ない強力な天敵は、人間自らとウィルスや細菌などの病原体であり、この二つの極めて恐ろしい天敵との歴史上幾度も繰り返された痛ましい戦いを今まさに二つ同時に目の当たりにしています。これらに対し国際社会は協調して対処しなければなりませんが、中華人民共和国やロシアに代表される多くの専制独裁国家と国際社会を牽引している少数の自由民主主義国家の対立が激化しているのが現実です。
特に東アジアにおいて我が国は核を保有する専制独裁国家である中華人民共和国・ロシア・北朝鮮と一衣帯水の間で国境を接しています。このような状況の中わが国の防衛にとって最も重要な事はウクライナ国民と同様に日本国民の自らの国は自ら守るという強い意志、必要な防衛力の整備、そして同盟国等との強い連帯が必要ではないでしょうか。

 このような中、日本郷友連盟にとって活動を維持・存続するためには、会勢の拡大、財務基盤の改善等は喫緊の課題であり避けて通る訳にはまいりません。私共は初心を忘れず、一致団結して「誇りある日本再生」のため、より一層の努力精進を重ねる所存であります。皆様の温かいご協力とご指導をお願いする次第であります。
 終わりに、会員皆様並びにご臨席賜りました皆様の益々のご健勝とご活躍をご期待申し上げ式辞といたします。

                  


                     
            令和四年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 謹んで令和四年(皇紀二千六百八十二年)の輝かしき新春のお慶びを申し上げます。
 まず以て我が日本国および日本国民に対し、あまねく大御心をお寄せ賜っております天皇皇后両陛下および昨年無事米寿をお迎えあそばされた上皇上皇后両陛下ならびに皇嗣同妃両殿下を始め皇室ご一家皆様の本年一層の弥栄、限りなきご繁栄を心より御祈念申し上げる次第であります。

 そして私どもが日々安穏に過ごしている今日只今にあっても国内外において厳しい環境下にも拘わらず、我が国の平和と安全のため黙々として任務に従事されている多くの陸海空自衛隊員の皆様の奮励ご努力に対し満腔の敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

 さて昨令和三年はコロナに翻弄されコロナに明け暮れた一年でありました。
 一時期は一日の感染者も約二万五千人に及んだ時期もあり、医療先進国と言われた我が国が医療崩壊の危機に瀕する事態も生起しかねませんでしたが、ワクチン接種の進展や医療関係者の懸命な努力そして国民の忍耐強き対応などにより年末にはコロナの勢いも下火となっており、それに伴って政治経済をはじめ諸々の諸行事や行動が回復に向かいつつあることは誠にご同慶の至りであります。
しかしながら諸外国の現状を見ても今後とも油断は禁物であり、なお暫くは警戒が必要でありましょう。

 コロナへの対応に関連し、我々は多くの教訓や反省を得ることが出来ましたが、その最たるものは「有事対応の不備」でありましょう。詳細を述べるいとまはありませんが、今後生起が予想される各種の有事事態に対し適確なる対応が可能なように万般にわたって検討し準備しておくことが望まれます。

 さて全世界がコロナ禍に苦慮している中にあって国際情勢は相変わらず混沌としており、特に米中関係は新たな冷戦とも位置づけられ、その前途は厳しく予談を許さないものがあります。

 中国は本年中国共産党設立百周年の節目の年であり、新たな歴史決議等習近平の権力の強化かつ強大な軍事力を背景に「華夷秩序」を樹立すべく、ますます覇権主義的傾向を露骨にしており、党支配下の周辺諸民族に対し言語道断のジェノサイドを断行し、また周辺諸国とその海域において侵略的拡張戦略を進めており、北京冬期オリンピック・パラリンピック終了後以降その危険度は台湾問題を始めますます増大するであろうと申しても過言ではないでありましょう。

 一方、米国はトランプ共和党政権からバイデン民主党政権に移しましたが「自由で開かれたインド太平洋」やクアッドの連携強化、加えてさらなる自由主義陣営の連携の推進など対中国の態度は概ね不変に推移しております。
 ただアフガンからの軍事力撤退の失敗や国内の混乱対立などもあり、中間選挙を控えて前途は予談を許さないものがあります。

 この緊張と対立の中にあってロシアの動向もまた不気味なものがありますし、さらにEUにおいてはドイツで新政権が誕生したものの、エネルギーや移民問題など多くの課題を抱えております。

 他方ミャンマー、アフガンやスーダンなど政変による混乱も各地に見られ、緊張が続く中近東情勢等、正に世界は混沌として先行きの見通せない情勢が継続すると予想されます。

 加えて地球的問題である気候変動、温暖化やエネルギーや今回のコロナ問題、さらには貧困格差の解消など全世界で解決すべき課題も多く、ますます混迷の度を深くするものでありましょう。

 また我が国周辺においては中国は極超音速兵器の開発等を始め強大な軍事力の増強を背景に台湾、南シナ海あるいは尖閣はもとより我が国近海において海空軍事力の示威的行動が顕著であり、その脅威は正に顕在化しつつあると云えましょう。

 極東ロシアは不法に占拠している北方四島に新たな装備を展開し、また陸海空戦力の活動は近年さらなる活発化が推進されており、さらなる警戒の要するところであります。

 北朝鮮は依然核ミサイル開発に狂奔しており、その動向は経済問題とともに注目を要するところでありましょう。

 さらに隣国韓国においては本年大統領が交代するものの我が国との関係改善に大きな期待は困難と云えましょう。

 このような混沌とした国際情勢や緊張感の増す東アジア情勢の中にあって、我が国としては国益を見据えた確固たる対応が望まれるところであります。
特に台湾有事は直接我が国の安全保障に直結するとの覚悟が必要でありましょう

 一方我が国内にあっては一昨年秋安倍政権を継承した菅政権は終始コロナ対応に翻弄されつつもデジタル庁の発足や携帯電話料金の値下げ、日本学術会議の改革、地球温暖化対策など多くの課題に積極的に取り組み、国際的にもさらなる日米同盟の強化や開かれたアジア太平洋さらには台湾問題にも言及するなど多くの成果を挙げ「仕事師内閣」として遺憾なく実力を発揮されたと評価しうると思います。

 その後を継いで新たに発足した岸田自民党政権は昨年十月の衆議院総選挙において絶対安定多数を確保し、概ね従来の態勢方針を継承しつつ「新たな資本主義」をスローガンとした経済対策を推進するなど今後大いに期待されます。

 さて岸田新政権に期待するものは何でありましょうか。
 第一には申すまでもなく「憲法改正」に他ありません。
これまで憲法改正の論議は多くなされてきましたが結果的には制定以来七十三年間一字一句変わることなく現在に至っているのははなはだ遺憾であり、これは政治の大いなる怠慢と云うべきであります。

 岸田総理は在任間に改正すると力強く断言されましたし、また幸い国会においても与党に加えて改憲を重視する日本維新の会などが躍進しました。
国民世論も改憲勢力が過半数を超えております。
 正に機は熟してきていると申しても過言ではありません。
願わくば速やかに国会論議を促進させ改正案を決定し、国民投票を実施して我が連盟が創設以来悲願としてきた憲法改正が実現されるよう期待してやみません。

 次いで重視すべきは「国防力の格段の増強整備」であります。
 我が国周辺の軍事力は緊張の度を加速させており、また世界の軍事力は日進月歩しており、これに後れを取ることは折角の防衛力の無力化にも繋がりかねません。
 我が国にあっても防衛計画の大綱、中期防において多次元統合防衛力の強化を図り、宇宙、サイバー、電磁波領域を含めた領域作戦能力の強化に努力していますが、制度的にも予算的にもさらに一段も二段も充実強化することが望まれます。

 菅前総理は退任直後に前総理として靖國神社に参拝されましたが在任間現総理としての参拝は見送られました。

 岸田新総理は昨年秋の例大祭には真榊を奉納されたものの参拝は見送られています。
 およそお国のために尊い命を捧げられた英霊の慰霊顕彰に努めることは当然のことであり、国の代表たる総理大臣の継続的参拝こそ肝要であり、それこそが昭和五十一年以降途絶えている天皇陛下の御親拝に繋がる途であると思うものであります。
 岸田総理には内外の雑音に惑うことなく国民の代表として断固として靖國神社に参拝頂き、二百四十六万六千余柱の英霊の御霊に対し尊崇の誠を捧げて頂きたいと願うものであります。

 さてコロナが概ね収束された今日、連盟の活動もまた旧来に復すべきであり、その活動も格別目新しいものではなく、先人達がなされてきたことを愚直に継続することに他ありません。
 前途はなお厳しいものがありますが連盟会員一同初心を忘れず志を高く保ち、「誇り高き日本の再生」に取り組みたいと思います。
 皆様の本年ますますのご健勝とさらなるご活躍を祈念し新年のご挨拶と致します。




                     
            令和五年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 明けましておめでとうご座います。
謹んで栄えある皇紀二千六百八十三年の新春のお慶びを申し上げます。
 畏くも天皇皇后両陛下におかせられましては数年にわたるコロナ禍の間自粛されていたご活動を英国エリザベス女王の国葬や沖縄訪問などを始め逐次解除され、日本国民の前に直接御姿を拝し奉れるようになりました。誠に喜ばしく嬉しいことであります。
 本年十二月には上皇陛下は目出度く卒寿をお迎えあそばされます。心から慶賀申し上げますとともに、本年の皇室ご一家のますますのご繁栄弥栄を祈念申し上げます。

 また、我国の平和と安寧のため国内はもとより遠く異郷の地において過酷な状況の中で黙々として日夜勤務に精励されている陸海空自衛官の皆様のご労苦ご精進に対し深甚なる敬意と心からの感謝を捧げるものであります。

 この三年間続いたコロナとの戦いも、やや落ち着きを見せつつあり、我国においても第八波の襲来が予期されているものの一時のパニック状態から次第に平常に復帰しつつあるのは喜ばしいことであります。本令和五年はこれまでの閉塞状態から脱皮し、従来のような平和で活力ある日常生活が営まれるよう期待してやみません。

 さて昨年の国際情勢を振り返って見るとき、特筆すべきは二月に突如生起した大国ロシアによる隣国ウクライナへの理不尽な侵攻でありましょう。たとえ如何なる理由があろうとも大国による一方的な現状を変更せんとする企ては国際社会においてて許すべきではありません。
 侵攻後既に十箇月を経過し、戦いの形態も多次元多領域にわたり従来の戦争とは異なる様相を呈しており、戦況は一進一退なお予断を許さないものがあります。
 さらには戦況如何によってはロシアによる生物・化学・核兵器の使用も取り沙汰され、今後の推移が危惧されるところであります。なし得れば一日も早く戦乱が収束し彼の地に平和が訪れるよう期待するものであります。

 また三期目に入った習近平率いる専制国家中国と国内政治対立の激しい民主国家米国との間の覇権争いは、今年も激しさを増すでありましょうし、その他領土的、宗教的、資源的、人種的などの対立は後を絶たず、本年も世界情勢はますます複雑で流動化するでありましょう。我が国としてもこの激動化する国際情勢の中にあって立ち位置を明確にし、しっかりと対応するよう望まれます。

 一方我が国内にあっては昨年七月安倍晋三元総理が凶弾に倒れるという痛ましい事件が生起しました。安倍元総理の総理在任間の功績については内外から寄せられた賛辞や弔意によっても明確でありますが、我が国のみならず世界にとっても甚だ残念無念なことでありました。謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに「戦後レジュームからの脱却」「美しい日本を取り戻す」ために微力を尽くすことを誓うものであります。

 我が国は三方を核保有国に囲まれている厳しい環境にあります。中国は我が周辺海域において海空の活動を活発化しており、尖閣諸島付近における海警船等の遊弋、領海侵犯の多発は目に余るものがあります。特に昨年九月には我が排他的経済水域にミサイルを発射するなどその活動は年々エスカレートしているのは憤激に耐えません。

 北朝鮮はミサイルの発射を頻繁に継続し、その一部は我国の上空にも飛来し、さらには核実験の再開も示唆され、より緊迫感を持って対応する必要がありましょう。また極東ロシアは我が固有の領土である北方四島の武装を強化し、我国周辺における軍事活動を活発化する等予断を許さないものがあります。

 かかる我国周辺の状況を考えるとき、我が国として重視すべきは自主的国防力の抜本的強化と日米安保体制のさらなる進化にあることは申すまでもありません。
 昨年末にはいわゆる安全保障関連三文書が改訂され、平成五年度防衛関係費も格段と増強され、反撃能力の付与や装備の近代化および継戦能力の強化など評価すべき点が多くあります。しかし一方において総合防衛力の名の下に海上保安庁予算や公共インフラ整備費等を組み入れるなどの水増し論が浮上するなど見逃せない動きもあり注意を要するところでありましょう。
 さらには今後「専守防衛」や「非核三原則」などの国防の基本についても検討改訂し、より以上真に戦える国防力とすることが望まれます。

 連盟の主要活動の一つは「英霊顕彰」であります。残念ながらこの数年はコロナ禍の影響もあり諸活動が制約され、靖國神社への参拝者も半減する等はなはだ残念な結果となり、靖國神社に鎮座まします二百四十六万六千余柱の英霊の御霊に対してもはなはだ申し訳なく思います。
 総理の靖國参拝も九年前の平成二十五年十二月当時安倍首相が参拝されて以来菅前首相も岸田現総理も真榊料は奉納されているものの直接参拝はなされておらず、閣僚や国会議員の参拝も年々減少傾向にあるのははなはだ残念でなりません。幸い昨年後半より日本国民の参拝者もやや増加傾向にあり、本年はさらに一層活動を活発化し、総理および閣僚の靖國参拝の実施継続ひいては昭和五十年以降四十七年間途絶えたままになっております天皇陛下のご親拝が実現するよう期待して止みません。

 終わりに憲法改正について申し上げたいと思います。
 連盟は創設以来「自主憲法の制定」を訴え続けて参りました。誇りある我が日本を取り戻すためには七十五年前占領軍によって押しつけられた現憲法を改正することこそその第一歩であります。最近の大方の国民世論も改正に賛同する声が年々高くなっており、先の選挙により国会の改憲勢力も三分の二を超えております。今こそ改正の好機と捉えるべきでありましょう。
 しかしながら国会における憲法審査会の論議は原理原則論に終始し、あるいはいたずらに党利党略にとらわれるなど前進が見られないのははなはだ遺憾であります。国会は速やかに憲法改正案を発議して国民の前に示し、国民投票が実現するよう期待するものであります。
 
 本年も内外ともに厳しく不透明な年であろうと推察されますし、我が日本郷友連盟を取り巻く諸環境も従前以上に厳しいものと予想されますが、誇りと希望を失うことなく前向きに進んでいきたいと願っております。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。



                     
            令和四年度 総会 式辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 本日ここに全国から志を同じくする多くの会員各位のご参集を得て、令和四年度一般社団法人日本郷友連盟総会を実に三年ぶりに対面方式で開催出来ますことは誠に喜ばしく、関係者の皆様に心から厚くお礼申し上げます。
 三年前、大いなる希望と期待を担って、平成から令和へと御代代わりが為されたのでありますが、爾来コロナ禍によりあらゆる活動が制約され、自粛を余儀なくされました。
いわばコロナに翻弄され、コロナに奔命に疲れさせられた三年間であったと云えましょう。

 連盟の諸活動も社会一般の活動同様中止や延期或いは規模縮小を余儀なくされ、会員の皆様、には多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことに対し誠に申し訳なく心からお詫び申し上げる次第であります。
 最近高止まりながらコロナの感染者も概ね低下傾向にあり、一般の各種活動も逐次旧態に復しつつあることは同慶の至りであり喜ばしきことではありますが、なお暫くは油断は禁物であり万全の注意が必要でありましょう。
 さらに今後に備え衛生安全保障とも云うべきワクチンや治療薬の開発、更なる医療体制の充実などを早急に検討し、改善して頂きたいと願うものであります。

 さて、ご承知の通り去る二月二十四日、ロシアが突如として隣国のウクライナに対し武力による侵攻を開始致しました。およそ三箇月を経た今日においてもなお戦闘は激しくウクライナ住民を巻き込んだ悲惨な状況が続いております。
 我が国を含め米国を初めとする自由主義陣営諸国はウクライナに対し軍事的経済的支援を継続しておりますが、一方ロシアも豊富な資源外交を通じて支援国の増加を企図する等正に自由民主主義国家と専制国家の間の新たな対立、言い換えれば新たな冷戦構造の生起とも考えられ、更にロシアは生物化学兵器や核兵器までも使用せんとする甚だ危険な動きも見受けられ、第三次世界大戦につながる恐れさえなしと致しません。 
 誠にゆゆしき事態であり戦況はますます長期化激化その推移は予断を許さないものがあります。これ以上の惨事が拡大しないよう人類の英知を絞り一日も早く戦闘が停止収束し、彼の地に平和が訪れるよう期待してやみません。

 しかしながら如何なる理由や原因があろうとも大国が力を背景に現状を変更せんとすることは断じて容認できるものではありません。またロシアの暴挙を若し許容すれば同様なことがアジアにおいても生起しかねません。
 特に台湾有事に注目すべきでありますし、台湾有事は即ち日本有事に直結していることを我々は強く認識すべきでありましょう。

 さらに我が国周辺には中国、北朝鮮、ロシアと核を保有し力で現状変更を企図せんとする国々が日本を囲んでおります。かかる厳しい状況下にあって我が国として努力すべきは日米安保体制の更なる強化と、自主防衛体制の飛躍的増強に他なりません。
 最近国家安全保障戦略、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画の見直しが予定され、さらに基地攻撃能力を反撃能力に変更することを始め防衛関係費を五年以内にGDP2%まで増加することなどが提言されていることは誠に当を得たものと評価期待するものであります。
 更には時代的にはもはや陳腐化とも云うべき防衛の基本政策すなわち「専守防衛」や「非核三原則」などについても早急に検討改善されるよう期待します。
 我が連盟の主要活動である「英霊顕彰」についてもこの三年間やや低調気味であったことは否めません。

 天皇陛下の御親拝につきましては、例年靖國神社の春秋の例大祭には欠かさず勅使の御差遣を賜っており、また皇族の参拝も継続して行われておりますものの、昭和五十一年十一月昭和天皇皇后両陛下の行幸啓を頂いて以来、平成そして令和と四十五年間途絶えたままであります。
 また、総理の靖國参拝は平成二十五年十二月、安倍元総理が参拝されて以来菅前総理も岸田現総理も例大祭に真榊は奉納されたものの参拝はなされておりません。
 閣僚は昨年秋及び本年春の例大祭何れにも一人として参拝されず、国会議員の参拝も本年春の例大祭にはおよそ百名程度が参拝されたのみと淋しい結果であり、甚だ残念に思います。

 およそ国のため尊い命を捧げられた英霊の御霊に尊崇の念を払うことは国家としての当為であり、後に続く者の責務であります。
岸田総理、閣僚、国会議員は理不尽な一部他国の謂れなき誹謗中傷に臆することなく、心なき国内の一部勢力の反対に怯むことなく毅然として継続して参拝して頂き、天皇陛下御親拝の途を拓かれんことを願うものであります。
 そのためにも私どももより一層心して活動を推進したいと思っております。

 連盟はまた創設以来自主憲法の制定、国軍の創設を標榜して参りました。
本年は昭和二十二年五月憲法が改正公布されてから七十五年の節目の年に当たります。国会における改憲勢力も衆参とも三分の二を超えておりますし、また最近の世論調査でも改憲すべきとの意見が過半数を超えております。
正に今こそ憲法改正の好機と捉えるべきであります。
 数年前安倍自民党総裁が改正四項目を提言されて以来憲法改正の動きが促進されたやに思われましたが、国会での動きは党利党略に終始し進展のないまま今日に至っていることは甚だ遺憾であります。
 岸田総理は自身の在任間に憲法改正を実現すると明言されており、また国会における憲法審査会の動きにもやや前進の気配が感じられるのは喜ばしいことであります。
願わくば是非国会で論議の上速やかに発議をして頂き、国民投票を実施され、日本国民日本民族自らの手によって新たな憲法が制定され、新たな日本に脱皮しうるよう強く期待するものであります。

 今後の内外情勢は誠に厳しいものが予想されますが、私どもは初心を忘れず、一致団結して「誇りある日本の再生」のためにより一層の努力と精進を重ねて参る所存であります。

終わりに会員皆様のますますのご健勝とご活躍を期待申し上げ、式辞と致します。

 令和四年五月十七日



                     
            令和四年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 謹んで令和四年(皇紀二千六百八十二年)の輝かしき新春のお慶びを申し上げます。
 まず以て我が日本国および日本国民に対し、あまねく大御心をお寄せ賜っております天皇皇后両陛下および昨年無事米寿をお迎えあそばされた上皇上皇后両陛下ならびに皇嗣同妃両殿下を始め皇室ご一家皆様の本年一層の弥栄、限りなきご繁栄を心より御祈念申し上げる次第であります。

 そして私どもが日々安穏に過ごしている今日只今にあっても国内外において厳しい環境下にも拘わらず、我が国の平和と安全のため黙々として任務に従事されている多くの陸海空自衛隊員の皆様の奮励ご努力に対し満腔の敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

 さて昨令和三年はコロナに翻弄されコロナに明け暮れた一年でありました。
 一時期は一日の感染者も約二万五千人に及んだ時期もあり、医療先進国と言われた我が国が医療崩壊の危機に瀕する事態も生起しかねませんでしたが、ワクチン接種の進展や医療関係者の懸命な努力そして国民の忍耐強き対応などにより年末にはコロナの勢いも下火となっており、それに伴って政治経済をはじめ諸々の諸行事や行動が回復に向かいつつあることは誠にご同慶の至りであります。
しかしながら諸外国の現状を見ても今後とも油断は禁物であり、なお暫くは警戒が必要でありましょう。

 コロナへの対応に関連し、我々は多くの教訓や反省を得ることが出来ましたが、その最たるものは「有事対応の不備」でありましょう。詳細を述べるいとまはありませんが、今後生起が予想される各種の有事事態に対し適確なる対応が可能なように万般にわたって検討し準備しておくことが望まれます。

 さて全世界がコロナ禍に苦慮している中にあって国際情勢は相変わらず混沌としており、特に米中関係は新たな冷戦とも位置づけられ、その前途は厳しく予談を許さないものがあります。

 中国は本年中国共産党設立百周年の節目の年であり、新たな歴史決議等習近平の権力の強化かつ強大な軍事力を背景に「華夷秩序」を樹立すべく、ますます覇権主義的傾向を露骨にしており、党支配下の周辺諸民族に対し言語道断のジェノサイドを断行し、また周辺諸国とその海域において侵略的拡張戦略を進めており、北京冬期オリンピック・パラリンピック終了後以降その危険度は台湾問題を始めますます増大するであろうと申しても過言ではないでありましょう。

 一方、米国はトランプ共和党政権からバイデン民主党政権に移しましたが「自由で開かれたインド太平洋」やクアッドの連携強化、加えてさらなる自由主義陣営の連携の推進など対中国の態度は概ね不変に推移しております。
 ただアフガンからの軍事力撤退の失敗や国内の混乱対立などもあり、中間選挙を控えて前途は予談を許さないものがあります。

 この緊張と対立の中にあってロシアの動向もまた不気味なものがありますし、さらにEUにおいてはドイツで新政権が誕生したものの、エネルギーや移民問題など多くの課題を抱えております。

 他方ミャンマー、アフガンやスーダンなど政変による混乱も各地に見られ、緊張が続く中近東情勢等、正に世界は混沌として先行きの見通せない情勢が継続すると予想されます。

 加えて地球的問題である気候変動、温暖化やエネルギーや今回のコロナ問題、さらには貧困格差の解消など全世界で解決すべき課題も多く、ますます混迷の度を深くするものでありましょう。

 また我が国周辺においては中国は極超音速兵器の開発等を始め強大な軍事力の増強を背景に台湾、南シナ海あるいは尖閣はもとより我が国近海において海空軍事力の示威的行動が顕著であり、その脅威は正に顕在化しつつあると云えましょう。

 極東ロシアは不法に占拠している北方四島に新たな装備を展開し、また陸海空戦力の活動は近年さらなる活発化が推進されており、さらなる警戒の要するところであります。

 北朝鮮は依然核ミサイル開発に狂奔しており、その動向は経済問題とともに注目を要するところでありましょう。

 さらに隣国韓国においては本年大統領が交代するものの我が国との関係改善に大きな期待は困難と云えましょう。

 このような混沌とした国際情勢や緊張感の増す東アジア情勢の中にあって、我が国としては国益を見据えた確固たる対応が望まれるところであります。
特に台湾有事は直接我が国の安全保障に直結するとの覚悟が必要でありましょう

 一方我が国内にあっては一昨年秋安倍政権を継承した菅政権は終始コロナ対応に翻弄されつつもデジタル庁の発足や携帯電話料金の値下げ、日本学術会議の改革、地球温暖化対策など多くの課題に積極的に取り組み、国際的にもさらなる日米同盟の強化や開かれたアジア太平洋さらには台湾問題にも言及するなど多くの成果を挙げ「仕事師内閣」として遺憾なく実力を発揮されたと評価しうると思います。

 その後を継いで新たに発足した岸田自民党政権は昨年十月の衆議院総選挙において絶対安定多数を確保し、概ね従来の態勢方針を継承しつつ「新たな資本主義」をスローガンとした経済対策を推進するなど今後大いに期待されます。

 さて岸田新政権に期待するものは何でありましょうか。
 第一には申すまでもなく「憲法改正」に他ありません。
これまで憲法改正の論議は多くなされてきましたが結果的には制定以来七十三年間一字一句変わることなく現在に至っているのははなはだ遺憾であり、これは政治の大いなる怠慢と云うべきであります。

 岸田総理は在任間に改正すると力強く断言されましたし、また幸い国会においても与党に加えて改憲を重視する日本維新の会などが躍進しました。
国民世論も改憲勢力が過半数を超えております。
 正に機は熟してきていると申しても過言ではありません。
願わくば速やかに国会論議を促進させ改正案を決定し、国民投票を実施して我が連盟が創設以来悲願としてきた憲法改正が実現されるよう期待してやみません。

 次いで重視すべきは「国防力の格段の増強整備」であります。
 我が国周辺の軍事力は緊張の度を加速させており、また世界の軍事力は日進月歩しており、これに後れを取ることは折角の防衛力の無力化にも繋がりかねません。
 我が国にあっても防衛計画の大綱、中期防において多次元統合防衛力の強化を図り、宇宙、サイバー、電磁波領域を含めた領域作戦能力の強化に努力していますが、制度的にも予算的にもさらに一段も二段も充実強化することが望まれます。

 菅前総理は退任直後に前総理として靖國神社に参拝されましたが在任間現総理としての参拝は見送られました。

 岸田新総理は昨年秋の例大祭には真榊を奉納されたものの参拝は見送られています。
 およそお国のために尊い命を捧げられた英霊の慰霊顕彰に努めることは当然のことであり、国の代表たる総理大臣の継続的参拝こそ肝要であり、それこそが昭和五十一年以降途絶えている天皇陛下の御親拝に繋がる途であると思うものであります。
 岸田総理には内外の雑音に惑うことなく国民の代表として断固として靖國神社に参拝頂き、二百四十六万六千余柱の英霊の御霊に対し尊崇の誠を捧げて頂きたいと願うものであります。

 さてコロナが概ね収束された今日、連盟の活動もまた旧来に復すべきであり、その活動も格別目新しいものではなく、先人達がなされてきたことを愚直に継続することに他ありません。
 前途はなお厳しいものがありますが連盟会員一同初心を忘れず志を高く保ち、「誇り高き日本の再生」に取り組みたいと思います。
 皆様の本年ますますのご健勝とさらなるご活躍を祈念し新年のご挨拶と致します。





           令和3年度 定時総会 会長挨拶 

                        日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 爽やかな新緑が目に沁みる候となって参りましたが、コロナのせいで素直には受け容れられない鬱々とした日々が続いております。
関係各位におかれましてはコロナ禍にも拘わらずご健勝で各方面においてそれぞれご活躍されていることと拝察し心から敬意と感謝を申し上げます。

 昨令和二年度は新型コロナウィルス対応のためあらゆる行動が多大なる制約を受けることとなりました。
我が日本郷友連盟も同様であり、やむを得ない仕儀とはいえ殆ど何も行動し得なかった一年であったと深く反省するところであります。
本年になり大阪や東京など四都府県に発せられた三度目の緊急事態宣言も愛知、福岡が追加され、またまん延防止等重点措置も八県に拡大し、その何れの期間も五月末まで延長されることとなりました。
さらには変異型ウィルスの出現拡大等もありコロナの勢いは収まることなく日本全土に猛威を振るっております。

 かかる状況下にあって我が日本郷友連盟の通常総会も昨年度に引き続き中止し、書面による総会と為さざるを得ません。
二年間にわたり皆様と直接意見を交換することが叶わず甚だ遺憾で申し訳なく思っておりますが、何卒現状ご勘案の上ご理解賜るようお願い申し上げる次第であります。
 コロナワクチンの接種も始まりましたが、関係者の努力にも拘わらずその進捗は遅々としており残念と云わざるを得ません。
しかしながら人類の英知、国家国民あげての努力精進によってさほど遠くない将来には収束するでありましょうが、なお暫くはコロナとの戦いは続くと覚悟しウィズコロナ、アフターコロナへの対応を考慮すべきでありましょう。

 コロナ禍にもかかわらず国際情勢は目まぐるしく変動しております。
本年一月、米国においては共和党トランプ政権に代わりバイデン民主党政権が発足いたしました。
世界的な枠組みが大きく変動することはないものと思料されますものの中華人民共和国との確執はより厳しくなることも予想され、今や専制主義国家対民主主義国家という第二の冷戦と云うべき状況になりつつあり、各地で紛争や衝突が多発しつつあります。

 我が国周辺にあって特に中国は強大な軍事力を背景に依然として執拗に尖閣列島はじめ周辺海域に海空戦力を展開し、覇権の拡大を企図しておりますし、北朝鮮は経済の悪化にも拘わらず、核ミサイル開発に狂奔しております。
またロシアも北方四島の軍事力を強化するなど我が国周辺は緊迫の度を増しつつあると云っても過言ではありません。
我が国にとっても変動する国際情勢に適確に対応するとともに、日米安保体制をさらに進化させるとともに、宇宙やサイバー等を含めた時代に対応する防衛力の更なる強化増大に努めることが従来にも増して肝要でありましょう。

 一方我が国にあっては昨年十一月、七年余続いた安倍政権に代わり新たに菅政権が誕生いたしました。
菅政権は安倍イズムの継承を標榜しておりますが、面前のコロナ対策に追われる余り我が国の将来を見据えた各種政策については未だ見通せないのは残念に思います。
 特に国家の基本を定めるべき憲法改正については四年前安倍政権によって改憲四項目が提言され、大いに期待されたのでありました。
しかし国会における論議は遅々として進まず、改憲の前座とも云うべき国民投票法の制定さえ三年間にわたる継続審議を経て、今次国会において付帯決議をつけて漸く成立する運びとなりました。
半歩前進といえましょうがなお前途は多難であります。
各種世論調査によれば今や国民の過半数以上が憲法改正に賛成している状況にあります。
国会は党利党略に右顧左眄することなく改憲項目について早急に審議を尽くして改正案を早期に成立して発議し、国民の権利たる国民投票を実現されるよう期待申し上げるものであります。
その日のためにも私達は志を同じくする同志の輪を広げるようさらなる努力の継続強化を為すべきでありましょう。

 連盟活動の柱の一つである英霊の顕彰についてもこの一年間極めて抑制されたものにならざるを得ませんでした。
 昨年秋及び本年四月の靖國神社の例大祭は規模縮小しての催行となり、菅総理は真榊料は奉納されたものの参拝は見送られ、閣僚の参拝も皆無であり、国会議員の参拝も安部前総理ほか数名に留まると云った惨憺たる状況でありました。靖國に鎮座まします御英霊の御霊に対し誠に申し訳なく思います。
 申すまでも無く国のために尊い命を捧げられた英霊の御霊に尊崇の念を払うことは国家として当為であります。
そのためにも総理大臣の靖國神社公式参拝の定着化さらには天皇陛下の御親拝の実現に向けてこの数年間の顕彰活動の不足を取り戻すべく従来以上に力点を入れ精進すべきと考えております。

 アフターコロナ、ウィズコロナにおいては政治、経済、社会等万般にわたり変化が生じ新たな活動様式が求められるでありましょう。
加えて地球温暖化やIT化、少子高齢化などの波は否応なく押し寄せ、新たにスタートした令和の御代も今後創造と変革の時代とならざるを得ないでありましょう。
 しかし如何なる御代になろうとも私どもが掲げる信条や活動方針はいささかも変更することはありません。
私どもは愚直にかつ地道に己の信ずる道を今後とも突き進んでいきたいと念願するものであります。
 今暫くは我慢の日々が続くでありましょうし、我が国の前途もなお厳しいものが予想されますが、愛する美しい日本のために今後とも皆様と力を合わせ邁進したいと思います。
皆様の本年の更なるご検討ご活躍を期待申し上げご挨拶と致します。

      令和3年5月11日
        一般社団法人日本郷友連盟 会長  寺島泰三



                     
            令和三年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 明けましておめでとうございます。
謹んで令和三年(皇紀二千六百八十一年)新春のご挨拶を申し上げます。
まず以て昨年十一月立皇嗣の礼が無事に行われ、平成から令和への御代替わりの締めくくりともいうべき行事が滞りなく終了いたしました。
まことに慶賀すべきことであり、新年を迎えられた天皇皇后両陛下、米寿をお迎えあそばされる上皇陛下をはじめ皇室皆々様の本年の弥栄ご繁栄をご祈念申し上げたいと存じます。

 そして国内外の厳しい環境下にあって、昼夜を分かたず我が国の平和と安全のために黙々と任務を遂行されておられます陸海空自衛官の皆様のご努力ご精進に対し、衷心より敬意と感謝を申し上げるものであります。

 昨令和二年は「コロナに明けそしてコロナに暮れた」一年でありました。
中国武漢に端を発した新型コロナウイルスは瞬く間に全世界に蔓延し、今や感染者は八千万人を超え、死者も二百万に及ばんとしており、その終焉は全く見通せない現況にあります。
 我が国においてもすでに第三波が襲来し、政府をはじめ関係者等の懸命な努力と国民の協力にも拘らず感染者は約二十万人、死者も二千数百人に達せんとしており、さらなる蔓延もなしとしない状況にあります。
 米国や欧州に比し低烈度とはいえ油断は禁物であり、ワクチンの開発等によってコロナが収束するまで経済や社会活動等全般にわたってさらなる緊張と忍耐が必要でありましょう。

 さて、昨年十一月の米国大統領選挙は歴史上稀にみる激戦の結果、民主党のバイデン氏が一応当選いたしました。
今後若干の混乱はあるもの共和党政権から民主党政権へ、そして米国第一から国際協調へと転換するでありましょうが、国際社会における米国の地位役割に関してはさほど変化はなく、日米関係も日米安保体制を基軸に強固な同盟関係の保持は不変であろうと
思われます。

 一方中国においては習近平の地位が一層強化され、覇権主義的国際進出はさらに増大することが予想されます。
この二国間の政治的軍事的あるいは経済的対立はまさに「第二の冷戦」というべきでありましょう。
その推移は国際情勢全般に大きな影響をもたらすことは必須であり、我が国としても十分注視すべきであります。

 他方、欧州においては英国のEUからの脱却がより具体化するでありましょうし、移民やコロナへの対応など結束の乱れも見受けられましょう。
 また中近東における各国の確執やロシアによる各方面への影響力の増大傾向、さらには地球温暖化をめぐる各国の対応やコロナをめぐる諸問題などなど国際情勢はますます複雑流動化するでありましょうし、状況によっては緊張度の増大や各種紛争の生起もなしとしないでありましょう。

 一方、我が国周辺においては強大な軍事力を背景とした中国の進出は著しく、特にわが国固有の領土である尖閣列島周辺において多くの公船や民船が遊弋し領海侵犯を繰り返していることは言語道断な所業であり、断じて看過するわけにはいきません。
速やかなる実効支配の諸処置を講ずることが望まれます。
 また北朝鮮は依然として核ミサイル開発に狂奔しており、我が国の安全にとって重大かつ差し迫った脅威となっております。
 さらに終戦のどさくさにまぎれ、わが国固有の領土である北方四島を不法に占拠しているロシアは、近年ミサイル部隊や地上軍などの増強を図っており、また周辺における軍事活動もさらなる活発化を見せており、その動向には注目を要するところであります。

 加えて反日感情を増大している韓国は、近年日本に匹敵する国防予算を計上して軍事力の飛躍的増強を図っており、いわゆる慰安婦や戦時朝鮮人労働者などの日韓関係問題と合わせ看過し得えないことでもあります。

 以上申し述べた如く、我が国周辺の情勢は国際的に見ても最も緊張度の高い地域であり、この地域の安定は我が国のみならず、世界的な平和安定のためにも重要な地域であります。
この厳しい状況下にあって我が国として的確に対応するために、そして今後予想される新たな領域横断作戦に対処する多次元統合防衛力整備のためにも国防力の飛躍的増強が必要であり、なし得ればGDP2%程度の防衛関係費の増額を期待するものであります。

 さて、我が国内においては昨年九月、七年八ヵ月の長きに及んだ安倍政権が終りを告げ、新たに菅新政権が発足しました。
 安倍長期政権は「戦後レジームからの脱却」や「美しい日本を取り戻そう」のキャッチフレーズを掲げ、アベノミクスによる経済回復、多元的外交の推進をはじめ多くの成果を挙げられましたが、とりわけ安全保障の観点からは防衛庁の省昇格や日本版NSC(国家安全保障会議)の設立、特定秘密保護法の制定、限定的ではありますが集団的自衛権の行使を可能にした平和安全法制の整備など枚挙にいとまありません。
 安倍政権の七年八ヵ月は高く評価されて然るべきであり、日本国民として深く感謝申し上げたいと存じます。

 菅新政権は安倍政権の継承を標榜して発足し、早速デジタル革命や地球温暖化、あるいは日本学術会議の改革など「実務者内閣」「仕事師内閣」の評価通りの政策を推進され、支持率も高く今後大いに期待するところであります。
そして安倍内閣の積み残された懸案事項の解決も新政権に課せられた課題でありましょう。

 その第一は何といっても「憲法改正の推進」にあります。
安倍政権は国民投票法を成立させ、そして改正四項目を提案するなど意欲的に活動されましたが、残念ながら国会での審議が遅々として進まずその後の進展は見られませんでした。
 占領軍によって無理やり制定された現憲法を日本国民自らの手で改めることなくして戦後からの脱却も、そして国家としての誇りもありません。
菅政権は断固国会での審議を促進し、速やかに改正案を決議して国民投票を実施され、憲法改正が実現するよう強く期待するものであります。

 また、安倍前総理は第一次安倍内閣の際、靖国神社に参拝し得なかったのは「痛恨の極み」と述懐され、第二次内閣の際は発足した年暮に敢然として参拝されましたが、その後は退陣されるまで参拝されることはなく、残念でありました。
 およそ国のために尊い命をささげられた英霊の御霊に尊崇の誠を捧げることは世界共通の認識であります。
 菅総理には内外の非難や中傷に拘泥することなく毅然として靖国神社参拝を継続実行して頂き、昭和五十一年以来途絶えている天皇陛下御親拝の道を開かれんことを切望するものであります。
 昨年はコロナの影響により万般にわたり殆どの行動が制約されました。
我が日本郷友連盟の活動もまた同様でありいわば半ば冬眠状態にあったといえましょう。

 今後はアフターコロナあるいはウィズコロナの状態で活動を遂行することとなります。
しかしいかなる状況にあっても日本郷友連盟の活動の基本はいささかも変わるところはありません。
 すなわち「自主憲法の制定」をモットーとし、国防思想の普及、英霊の顕彰そして歴史伝統の継承を三本柱に広く国民運動を展開し、もって「美しい日本の再生」に寄与することにあります。
 連盟創設以来既に六十有余年顧みて未だ道遠しの感がありますが、変わらず愚直に目的を追求すべく精進して参りたいと存じます。

 本年は東京オリンピック、パラリンピックも開催されますし、衆議院選挙も控えております。
引き続き多忙多難な年であろうと思われますが未来に希望を抱き、より良き日本になることを期待し、難局を乗り越えたく思います。

 会員皆様の本年のご健勝ご活躍を祈念しご挨拶といたします。




           令和2年度 定時総会 式辞 

                        日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 新緑の候各位におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 日頃連盟の活動に関し全国各地において多大なるご支援ご協力を賜っておりますことに深甚なる敬意と感謝を申し上げます。

 さて昨年12月中国武漢に端を発しました新型コロナウイルスは今や全世界に蔓延し、我が国にあっても緊急事態宣言が発せられ、さらに5月31日まで延長されると云う事態に発展しており、収束は未だ不透明と言わざるを得ません。
 期待の東京オリンピックも1年延長となり、その他の各種行事も軒並み中止あるいは延期を余儀なくされております。

 かかる状況下にあって5月20日に予定しておりました我が日本郷友連盟の定期総会も中止の止むなきに至りました。
関係の皆様には多大なるご心配やご迷惑をおかけしたことと思いますが何卒状況をご勘案の上ご了承を賜りたいと存じます。
 令和2年度の連盟の活動方針や事業計画も例年と殆ど相違はありません。
すなわち「国防思想の普及」、「英霊の顕彰」、「歴史・伝統の継承」を活動の3本柱として広く国民運動を展開し、「誇りある日本の再生」に寄与することにあります。
 新型コロナウイリスの影響で当分の間我々の活動も制約されましょうが、年度後半においてはその分を取り戻すべくより一層の活動の活発化を期待申し上げたいと思います。

 現在世界中の国々が新型コロナウイルス対策に奔走している中にあって独り古代専制国家的共産主義的金融資本主義的ファシズム的帝国主義国家(西尾幹二先生の言)である中華人民共和国は覇権主義を展開するに余念がなく、我が国周辺においても依然尖閣列島付近には多くの船舶を遊弋させており、また空母遼寧艦隊を大洋に派遣するなど我が国防衛にとって看過できない状況にあります。

 また北朝鮮は数次にわたって弾道ミサイルの発射実験を繰り返しており注目すべきであります。
 さらに韓国においては4月の総選挙において左翼勢力が伸長しており我が国に対し益々反日的態度に出ることが予想されます。

 我が国にあってもコロナ対策は喫緊の課題ではありますが「治に居て乱を忘れず」の心構えを持って万事に備えることも肝要でありましょう。

 令和の御代を迎えて初めての靖国神社の春の例大祭も当日祭のみしかも昇殿参拝もないという大祭でありました。
しかしその中にあって天皇陛下からの勅使の御差遣は例年通り行われましたのは誠に有難いことでありました。
 6月のみたま祭りも中止が決定しております。
全国の護国神社の行事も恐らく同様でありましょう。英霊には甚だ申し訳ありませんが暫しの我慢をお願いしたいと思います。

 終わりに憲法改正について申し上げたいと存じます。
数年前安倍自民党総裁が改憲4項目を提言以来憲法改正の動きがやや活発化したように見受けられました。
 しかしコロナ対策の影響下改憲の動きが鈍化したように見受けられるのははなはだ残念であります。特に国会における憲法審査会の怠慢ともいうべき現状は情けない限りであります。
 申すまでもなく憲法改正は国民投票によって決定されるものであります。
最近の世論調査においても改憲に関心を有する国民は6割を超えております。
国会は国民の権利を奪うことなく速やかに改正案を国民の前に提示すべきであります。

 その日に備えて私どもは一人でも多くの同志を獲得しその輪を拡げていくことが肝要だと思います。
皆様の格別のご努力ご支援をご期待申し上げます。

 昭和20年8月昭和天皇が宣下された終戦の詔勅に「堪え難きを絶え、忍び難きを偲び」というお言葉があります。
 私どもは今やこのお言葉をもう一度しっかりと噛み締めるべきではないでしょうか。
 コロナは何時かは終息するでありましょう。
その日の近からんことを願い、その日に備え体力気力を整えておかれるようご期待申し上げます。
 本年も引き続きよろしくお願い申し上げご挨拶と致します。

   令和2年5月吉日
      一般社団法人日本郷友連盟 会長  寺島泰三




    
令和二年三団体共催賀詞交歓会における寺島会長挨拶

 明けましておめでとうございます。

 本日は新年早々何かとご多忙にも拘わらず山本防衛副大臣をはじめ多くの国会議員の方々、防衛省自衛隊の高官の方々、私どもと志を同じくする関係諸団体の代表の方々、外国武官の方々、そして私どもを形而上下にわたってご支援いただいている多くの方々のご参集を頂き、恒例の隊友会、自衛隊家族会そして日本郷友連盟の三団体共催の賀詞交歓会をこのように賑ぎ賑ぎわしく開催できますことは誠に喜ばしく各方面の皆様方に心から厚く御礼申し上げます。

 今年は令和の御代となって初めての意義深い新春であります。
昨年は御即位に関する諸々の行事が見事に執り行われました。
これらの諸行事を通じ私どもは日本に生を受けたことを本当にありがたいことと思い、日本人であることそして百二十六代にわたる天皇陛下を戴いていることに改めて誇りを感じ認識を新たにしたのでありました。
 また一月二日には天皇皇后両陛下をはじめ皇室の皆様の和やかで爽やかなお姿を拝見することが出来ました。
今年一年の皇室ご一家の弥栄、ご繁栄を寿ぎ奉りたいと存じます。

 先週十一日には海上自衛隊のP3Cが勇躍中東海域に出発されました。
来月初めには護衛艦たかなみが出発予定と伺っております。
お国のためとはいえ本当にご苦労様です。
その他にも我が国内外で日夜厳しい環境下にあって黙々と任務を遂行されている多くの自衛隊員がおられます。

 私たちが今こうやって旨酒を酌み交わしておられるのもこれらの自衛隊員の方々のおかげです。
私が少年時代「兵隊さんよ有難う」という小学唱歌がありました。
今こそ自衛隊さんよ有難うと申し上げたいそして無事に任務を果たされるようご活躍と武運長久を祈念して止みません。

 さて、新年早々米国とイランの間が険悪化していますし、イギリスの脱退に絡んでEUもガタガタしていますし、ロシアの進出も不気味であります。
中でも米国と中国の経済問題は新たな冷戦の始まりという人もいるほどであります。
正に令和二年の世界情勢は混とんの中にも混とんとした年になるでありましょう。

 一方我が国にあっても中国の進出、北朝鮮の核ミサイル開発、ロシアの影響力の増大。さらには韓国との関係の悪化など引き続き課題は山積であります。
それにしては国も国民も緊張感が足りないなあと思わないでもありません。

 今年の夏には東京オリンピックが開催されます。
大いに国威が発揚され、沢山日の丸が掲揚され、国歌君が代が多く演奏されるよう期待するものであります。

 然し今年我が国にとって最も重要なことは「憲法改正」にこそあると思います。
自衛隊を憲法に明記することは私達3団体の悲願でありますし、恐らくここにお出での皆さまも同じ気持ちだろうと思います。

 昨年までの経緯はさておき、今年こそ国会で十分な審議のうえ発議され早期に国民投票が実現するよう期待するものであります。

 昨年末令和二年度の防衛関係費は対前年度1.1%増の5兆3134億円で成立を致しました。
厳しい国家予算の中で僅かではありますが増加し、一昨年末に決定された新しい防衛計画の大綱に示された多次元統合防衛力が逐次構築されることを大いに期待するものであります。
 然しながら列国の国防予算と比較するとき必要かつ十分とはとても言い難いと云わざるを得ません。
即ち同盟国米国の国防予算は実に75兆円、伸び額だけでも9兆円と我が国を桁違いに大きく上回りますし、中国は公表分のみで約20兆円と我が国の約5倍になります。
また韓国でさえ4.6兆円と間もなく日本に匹敵する国防予算です。
もとより各国それぞれの事情があることは理解するものでありますがいささか寂しい感じは否めません。
せめてGDPの2%程度に防衛関係費が増加されるよう期待し、関係方面にも引き続き訴えて参りたいと考えております。

 令和二年多難かもしれませんが我が国の行く末に大いに期待し、三団体足並みを整えて精進してまいる所存であります。
皆様からの三団体に対する引き続きのご支援ご鞭撻をお願い申し上げるとともに今年一年の皆様のご健勝そしてご多幸を祈念してご挨拶といたします。
宜しくお願い申し上げます。有難うございました。

   令和二年一月十五日
   一般社団法人日本郷友連盟
   会長 寺島泰三


                     
            令和二年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 明けましておめでとうございます。
 令和の御代の初めての輝かしき皇紀二千六百八十年の新春を清々しくお迎えされたことと拝察お慶び申し上げます。
 昨年五月一日には皇太子徳仁親王殿下が第百二十六代天皇として御即位あそばされました。誠に慶賀の至りであり国民挙って祝意を表するものであります。
御即位に関連する諸行事もとどこおりなく盛大かつ無事に行われました。
 これらの一連の行事を通じ私どもは古来よりの歴史伝統文化をそして天皇陛下を頂いている有難さを改めて認識し、日本国民に生まれた幸せをしみじみ感じさせられたのでありました。
 平成の三十年間私ども国民を慈しみ頂いた上皇上皇后両陛下に衷心より感謝申し上げますとともに本年も天皇皇后両陛下をはじめ皇室ご一家の皆様の更なる弥栄ご繁栄を衷心より祈念申し上げる次第であります。

 また国内外において過酷な状況の中黙々として困難な任務を遂行されている陸海空自衛隊の皆様のご活躍ご奮闘に深甚なる敬意を表し感謝申し上げ今年の武運長久を祈念申し上げます。
 そして全国各地において諸々の困難を克服して連盟の方針を体し国防思想の普及、英霊の顕彰、歴史伝統の継承等の活動を展開されている会員各位のご努力ご奮闘に対し心から感謝し厚く御礼申し上げるものであります。

 さて過ぎし平成の三十年間を振り返るとき、我が国の近現代の歴史において戦争のなかった時代であったことは僥倖とは言え喜ばしいことでありました。
然し諸々の点で事志と異なり隔靴掻痒の感にあったことも否めないところでありましょう。

 国際的には平成の始めベルリンの壁が瓦解し、東西冷戦が終わりを告げ世界平和が来ると期待されたものの現状ははるか遠く局地的国際紛争は後を絶たず、また近年においてはグローバリズムとナショナリズムが相せめぎあい先の見通せない混沌とした情勢が続いております、

 一方国内にあっては政治的には小選挙区制の導入等により政治改革が期待されたものの現状は程遠く、経済的にはリーマンショック以来の経済復興も道半ばと言わざるを得ません。
また少子高齢化の波は否応なく押し寄せており社会全般或いは我が国の将来に様々な問題を提起しております。
 正に平成の時代は物事を成すべく努力しても成し得なかった三十年であったというべきでありましょう。

 令和の御代は華々しく順調にスタートしましたが、平成からの積み残しや課題も多く抱えたままの船出であり、その前途は楽観を許さず、私どもは従来以上の緊張感をもって対応していくべきでありましょう。

 さて昨今の世界情勢を見るとき特に米国と中華人民共和国の二強大国が経済的軍事的にに激しく対立してその解決は見通し得ない状況にあり、加えて今秋の米大統領選挙の結果や中国の内部体制の帰趨によってはますます複雑流動化することも予想されます。

 一方欧州にあっては英国のEU離脱問題が未だ明確にならず、移民問題や経済問題もあってその前途は不透明であります。
 またイラン、サウジアラビア、トルコ、シリア等をめぐる中東情勢は武力衝突の危険性も排除し得ず関係各国の思惑も絡んで複雑かつ流動的に推移するでありましょう。

 一方我が国をめぐっては従来にも増して強大な軍事力を背景に覇権主義的傾向が顕著な中国の動向、依然として核ミサイル開発に狂奔し我が国に対し威嚇を繰り返す北朝鮮、わが国固有の領土である北方四島を不法に占拠して恬淡として恥じることなく軍事的強化を進めているロシアなど我が国の安全保障にとって看過し得ない脅威若しくは驚異的存在であります。

 加えて隣国韓国にあっては文在寅大統領の出現以来反日態度が逐次硬化し所謂慰安婦や徴用工問題のみならず安全保障の面でも数々の問題を惹起し、特に日米韓の安全保障の要ともいうべき日韓軍事情報包括保護協定GSOMIAを廃止するという暴挙に出たことは誠に遺憾と言わざるを得ません。
東アジアの平和安定のためにも良き解決に向かうことを期待するものであります。

 さて我が国にあっては安倍政権の在任期間が歴代総理最長となり一見安定した政権運営が展開されているように見受けられます。
しかし自民党一強多弱の政治構成の下各党は党利党略に終始し国益を軽んじ国策を忘れたごとき現在の政治の動きは甚だ遺憾であります。
憲法改正をはじめ我が国の将来を見据えた真摯な論議が為されるよう期待したいと思います。

 この厳しい情勢に対応すべく我が国は一昨年末新たな防衛計画の大綱を策定し、宇宙、サイバー、電磁波などの新たな領域を融合させた「多元的統合防衛力」を構築すべく努力していることは大いに評価するものでありますが目まぐるしく変動進化する情勢に対応するには更なる努力進歩が必要であり、そのためにもGDP二%程度への防衛関係費の増額や日米安保体制の更なる充実強化が必要でありましょう。

 平成の御代はまた私どもが熱望し活動の柱としていた天皇陛下の靖国神社への行幸が途絶えた御代となってしまいました。
 甚だ残念であり靖国の杜に鎮座まします二百四十六万六千余柱のご英霊の御霊に対し申し訳なく思う次第であります。
 天皇ご一家は国のために殉じられた英霊に対し殊の外尊崇の念をお持ちと拝察するものでありますが、その実現のためには国会議員はもとより閣僚就中総理大臣の参拝の継続常態化が肝要であります。
近い将来には天皇陛下の靖国神社への行幸が実現されるであろうことを期待し、今後とも粘り強く活動を継続して参りたいと思います。

 正しい歴史を尊重し,永い文化伝統を継続することは国家存立の基であります。
 然しながら近年一部の外国から南京事件や所謂慰安婦問題更には戦時朝鮮労働者問題など謂れのない事実に反した誹謗中傷が執拗に行われていることは甚だ遺憾と言わざるを得ません。
 またこれに便乗して一部の心なき日本国民が付和雷同していることは誠に情けなく残念なことであります。
 誇りある日本を取り戻すためにも正しい歴史認識を保持し、誤れる所謂東京裁判史観を払拭し国家国民挙げて断固としてこれに立ち向かっていくことが肝要でありましょう。

 連盟は創設以来半世紀以上にわたって「自主憲法の制定、国軍の創設」を標榜して参りました。
 占領軍に押し付けられた憲法を一字一句変えることなく現在まで推移していることは日本国民の誇り、矜持を踏みにじるものであり速やかな改正が望まれます。
この数年間安倍自民党総裁の改正四項目の提言もあって改正の機運が増しつつあることは喜ばしいことでありますが、国会の審議状況は与野党がかみ合わず前進が見受けられないのは残念と言わざるを得ません。

 憲法改正に関しては国会は発議機関であり決定権は国民の側にあります。
国会は国民の権利を奪うことなく粛々と審議の結果発議され、速やかに国民投票が実施されるよう強く期待するものであります。

 本年には東京オリンピックも開催され我が国の真価が否応なく発揮される年となるでありましょう。
正に国威発揚のチャンスでもあります。
内外にわたって幾多の困難も予想されますが令和の時代が希望に満ちた輝かしい時代となるよう期待したいと思います。

 連盟の前途にも多くの懸案が横たわっていますが英知を結集してこれら諸問題を克服し新たな覚悟でこの難局を乗り越えたいと決意を新たにするものであります。
 新年に当たり関係各位のご健勝と今年一年の一層のご発展を祈念申し上げご挨拶といたします。


                     
           令和元年度 定時総会 式辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 本日ここに武田博史防衛大臣官房長をはじめ内外多数のご来賓のご臨席を賜り令和元年度一般社団法人日本郷友連盟定時総会を挙行出来ますことは誠に喜ばしく心から厚く御礼申し上げます。

 本席には全国各地から県郷友会の会長など代表者の方々にご参集頂いております。会員皆様の日頃の御活動ご活躍に対しまして心から感謝申し上げ深甚なる敬意を表したいと存じます。

 既に皆様ご承知の通り去る四月三十日に三十年間に及んだ「平成」が終わりを告げ、五月一日からは新たな「令和」の時代を迎えました。
 この三十年間天皇皇后両陛下におかせられましてはあまねく国民に大御心を寄せられ国民と等しく苦楽を共にされ私どもをお慈しみ頂きました。誠に恐懼感激の極みであり日本国民として衷心より感謝申し上げる次第であります。
 今後は上皇陛下上皇后陛下としてお健やかで穏やかな日々を送られるよう祈念して止みません。

 さて、国際的には平成の時代を迎えるや否やベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終結して世界は平和を迎えたと期待されたのでありますが現実は厳しく湾岸戦争を皮切りにその後政治的、経済的、領土的、あるいは宗教的対立抗争が地球上各地に生起し現在もなお多くの紛争が激化継続していることは誠に残念に思われます。
 その中にあって我が日本は近現代において初めて戦争を経験せぬ平成という時代を持ちましたが、厳しい東アジア情勢の中にあっては正に僥倖であったというべきでありましょう。

 一方国内にあって政治的には小選挙区制の導入や二大政党による政権交代によっての政治の活性化が期待されたのでありますが、現実はそれに程遠く国家国益をおろそかにし党利党略におぼれ徒に非難中傷合戦に終始している国会の現状は情けないと云わざるを得ません。
 経済的にはバブルの崩壊それに引き続くリーマンショック以降長年にわたる経済の低落が見られ、所謂アベノミクス経済政策によって回復傾向が見られるものの経済復興にはなお前途多難というべきでありましょう。
 また平成の御代の間阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本大地震その他数多くの風水害など我が国は幾多の災害に見舞われました。しかしながらこれらの災害対処を通じて日本国民は我が国古来の助け合いや思いやりの精神などを遺憾なく発揮して立ち向かい、世界中を感銘させたのでありました。
 然し一方においては誤った個人主義傾向のあまり権利のみを主張し社会に対する義務を忘れ、長幼の序をおろそかにし、家庭を大切にせず歴史や伝統を軽んじる風潮が見られることなど遺憾に思うことも少なくなく残念に思う次第であります。

 日本郷友連盟は平成の三十年間先輩の御意図を戴し「誇りある日本の再生」を目途に国防思想の普及、英霊の顕彰及び歴史伝統の継承を柱に愚直に活動を継続して参りました。
 然しながら何れにおいても道なお半ばと思わざるを得ません。
平成時代低下傾向にあった我が国の国防力は安倍政権になって僅かずつではありますが増加傾向に転じ、また一連の安保法制の整備、防衛計画の大綱の見直し、新中期防の策定など逐次強化傾向にあることは当然のこととはいえ喜ばしいことであります。
 しかし厳しい周辺情勢や宇宙サイバーなど軍事科学技術の進歩等を考慮するとき我が国の国防力は質量ともに従来に増して充実強化されるべきでありますし、また自衛隊を文字通り国軍化することも重要課題であります。

 平成時代はまた天皇陛下の靖国神社への行幸が途絶えた時代になってしまいました。甚だ残念に思うとともに靖国の杜に鎮座まします二百六十五万六千余柱の英霊の御霊に対しまして誠に申し訳なく思うものであります。
 我が国においては靖国神社こそ英霊を顕彰する唯一無二の存在であることは申すまでもありません。
 私どもは今後とも天皇陛下のご親拝を仰ぐべく活動を継続して参る所存であり、そのための前提としての総理及び閣僚の靖国神社参拝の実現その継続に向けて強く訴えていきたいと思います。

 他方において昨今南京事件や所謂慰安婦さらには徴用工問題に関し中国及び韓国から謂れのない非難中傷が激しく我が国を襲っています。今や我が国は歴史戦という血を見ない戦いの真っただ中にあります。
我が国としてはこれに対し真実を明らかにし断固として戦い貫き勝利することが肝要であります。

 さて、いよいよ新しい令和の御代が始まりました。文字通り我が国がうるわしく平和な国であるよう希望を抱き大いに期待したいと思います。
 然しながら先に述べた如く平成時代からの多くの懸案も抱えたままの船出であります。
私たちは今こそ日本国のそして日本国民の英知を結集して新天皇陛下の下試練を克服し明るい未来を築いていくことが肝要ではないでしょうか。
 そのためには憲法改正こそ強く望まれるところであります。
占領軍によって制定された現憲法を日本国民自らの手で改正することこそ日本精神の回復に他なりません。

 連盟は創設以来自主憲法の制定、国軍の創設を標榜して参りました。
既に憲法改正については様々な論議が為されており、また国民の多くが改正を望んでいるのであります。
 然しながら憲法を発議すべき国会での審議は遅々として進まず国民の権利ともいうべき国民投票が阻害されその道筋さえ見えないのは甚だ遺憾と言わざるを得ません。
速やかに国会で発議し、国民投票を実施し新たな憲法の下新たな時代がスタートされるよう期待するものであります。

 連盟もこの新しい時代に対応して新たな決意、新たな施策の下先輩たちの築き上げられた成果を拡充し誇りある日本の再生の旗印を更に高く掲げて参りたいと思います。
前途には諸々の困難が予想されますが会員の皆様の更なるご活躍ご精進を期待して止みません。

 終わりに重ねて本日ご来臨賜りましたご来賓に対し衷心よりお礼申し上げ今後益々のご指導ご鞭撻をお願い申し上げますとともに
新天皇皇后陛下をはじめ皇室ご一家の弥栄ご繁栄を祈念申し上げ式辞といたします。

  令和元年五月十六日


                     
            平成三十一年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 新年明けましておめでとうございます。
 平成最後のそして新しい御代に繋がる皇紀二千六百七十九年の新春を清々しくお迎えされたことと拝察お慶び申し上げます。

 先ず以て三十年にわたり象徴として日本国を想い、あまねく日本国民を慈しみ賜りました天皇皇后両陛下をはじめ皇室の皆様の弥栄とご繁栄を心から祈念申し上げるものであります。

 また我が国の平和と安全のため、昼夜を分かたず国内外において崇高で厳しい任務に従事されている陸海空自衛隊員の皆様の不断のご努力、ご精進に対し深甚なる敬意と謝意を表する次第であります。

 さて、平成の御代の三十年を振り返るとき、それは平穏ではなくむしろ混迷と波乱に満ちた時代であったと云えましょう。

 国際的にはベルリンの壁の崩壊に象徴される東西冷戦の終焉に始まり、それに続く世界各地での民族的、宗教的、経済的あるいは領土的紛争等の激化や九.一一米国同時テロに代表される国際的テロの頻発拡散など正に世界が紛争のるつぼと化した感があり、その傾向は現在に至ってもなお継続激化していると云えましょう。
 加えて「アメリカ第一主義」を標榜する米国トランプ大統領の独善的政策の遂行と強力な軍事力と経済力を背景に「一帯一路構想」を推進しようとする習近平中国の覇権主義的動向は東西冷戦ならぬ経済冷戦というべき事態を迎えており、その帰趨は予断を許さないものがあります。
 更に欧州においては英国のEUからの離脱が目前であり、更なる混迷に陥ることも予想され、加えてロシアの各地への介入などもあって今や世界は必然的に新たな変革の時代に入っていると申しても過言ではないと思います。

 一方、我が国内にあってもこの三十年は決して平坦な道程とは言えないでありましょう。即ち経済的にはリーマンショックの影響が永く尾を引き、政治的には与野党の政権交代が実現するなど政治的経済的な混乱が続いた時代でありました。

 また、阪神淡路大震災、東日本大震災をはじめ九州や北海道など全国各地において地震や台風などの災害が頻発し奔命に努力させられたのでありました。

 然しながら我が日本国民は英知を絞り、国民一体となってこの難局を乗り切り今日に至っていると申せましょう。
 特に国防安全保障の面ではペルシャ湾への掃海艇の覇権を皮切りにカンボジアをはじめ世界各地での国際平和活動が広く実施されるようになり、さらにテロ特措法の制定や防衛庁の省昇格の実現などがなされたのでありました。

 とりわけ平成二十四年第二次安倍内閣の発足以来国家安全保障局の設置、国家安全保障戦略の制定、防衛計画の大綱の改定、新たな中期防の策定や防衛装備移転三原則の制定など懸案事項も逐次解決されたのでありました。中でも限定的ではあります
が集団的自衛権の行使を可能にした平和安保法制が制定されたことは正に画期的であり刮目すべきことでありました。

 然しながら我が国周辺の情勢を伺うとき、依然として不安を感じざるを得ません。
即ち中国はこの三十年間に五十一倍に増強した軍事費で陸海空戦力の強化を図り、これを背景に海洋進出を企図しており、就中我が尖閣諸島周辺においては海警勢力が跳梁跋扈を繰り返しているのは由々しきことであり我が国として看過し得ない状況にあると申しても過言ではないでありましょう。
 またこの数年核ミサイルの実験を繰り返した北朝鮮は、米国との間で朝鮮半島の非核化について会談を継続しているものの米国の期待する完全で検証可能なかつ不可逆的な廃棄への道筋には程遠くその推移は全く不透明であり予断を許さないものがあります。
 然し一方では我が日本全土を射程に収めるノドンミサイルを数百発を保有し既に実戦配備されているとも云われており、我が国にとっては最も切実な脅威と捉えるべきでありましょう。

 さらに度重なる日ロ首脳会談により永年の懸案である北方四島問題や日露平和条約の締結について微かな燭光の見え出した感もありますがその帰趨は未だ不透明であり、一方で北方四島へのミサイル等の配備の増強や訓練の強化など憂慮すべき事態も生じているのは甚だ遺憾と言わざるを得ません。
 我が国としても例年防衛力の整備強化に心掛けてはおりますが防衛関係費はこの三十年間に僅か十数%の伸びに過ぎず寒心に堪えないところであります。
 昨年末には新たな防衛計画の大綱も策定され、近代戦に即応する新たな施策が多くみられるのは同慶の至りでありますが、将来的にはせめてNATO諸国の目標並みのGDP2%程度の防衛費が充当されるよう期待するものであります。

 さて、平成の御代の三十年間に総理大臣は十七人を数えます。
然しその中で在任間靖国神社に参拝された総理は僅か三人即ち橋本竜太郎、小泉純一郎及び安倍晋三氏のみであります。
 およそ国家のため尊い命を捧げられた英霊の御霊に尊崇の誠を捧げるのは為政者として必然の行為であり世界の常識でもあります。総理も閣僚も参拝を成し得ない我が国の現状は世界に対して恥ずべき状況であると認識すべきであり、継続的な総理大臣以下の靖国神社参拝を強く望むものであります。

 本年は靖国神社御創建百五十年に当たります。
かしこくも天皇陛下は沖縄などの国内はもとより遠く外つ国の激戦地への慰霊の旅を続けられており恐らくやその究極の思し召しは靖国神社への行幸にあろうと拝察するものであります。
この節目の年に天皇陛下の御親拝を頂くことが叶えば二百六十五万六千余柱の英霊はもとより遺族をはじめ多くの国民は恐懼感激するであろうことは疑いの余地もありません。
是非ともこれが実現されるよう強く望むものであります。

 昨年十一月韓国大法院は所謂徴用工に関し日本の企業に賠償を命ずるという判決を下しました。この問題は日韓間で既に解決済みのことであり、今次判決はおよそ国際常識を逸脱した不当なものと言わざるを得ません。

 さらに韓国は所謂慰安婦に関し我が国が拠出した資金を運営するべく設立した財団を解散し、折角日韓間に最終的かつ不可逆的に解決した慰安婦問題に新たな火種を投じるという暴挙に敢えて出たことは誠に遺憾であり断じて承服し得るものではありません。
 これらは中国によって国連ユネスコの世界記憶遺産に登録された南京事件などを含め我が国を陥れようとする歴史戦という血の出ない戦いであり、我が国としては断固これに立ち向かい確実に勝利を勝ち取らなければなりません。

 「歴史を大切にしない国民は国を亡ぼす」と故渡部昇一先生も喝破しておられます。
そのためにも私たちは巷に広がっている誤った東京裁判史観を排し、真実に即した美しい我が国の歴史観を保持しそれを正しく後世に伝えて行くことこそ肝要であると思う次第であります。

 日本郷友連盟は発足以来「自主憲法の制定」を重視して活動を継続して参りました。
この数年安倍自民党総裁の提案もあって憲法改正の機運が増大し論議が賑やかさを増してきたことは喜ばしく思います。
しかしながら発議すべき国会の論議は一向に進捗せず停滞しているのは遺憾であります。憲法改正に伴う国民投票は、国民が直接政治に関与出来る唯一の権利であります。
国会はこの国民の権利を無にすることのないよう速やかな発議がなされ、新たな御代の早期に憲法改正が日の目を見るよう期待して止みません。 

 いずれにせよ本年五月からは新たな御代に入ります。
この新らしき時代が昭和よりも平成よりも光り輝き、充実発展することを大いに期待申し上げ新年のご挨拶といたします。



                     
           平成三十年度 定時総会 式辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 本日ここに山本防衛副大臣殿はじめ内外多数のご来賓のご臨席を仰ぎ,また全国各地から会員各位のご参集を得て平成三十年度一般社団法人日本郷友連盟通常総会を開催できますことは誠に喜ばしく、関係の皆様に対し衷心より厚くお礼申し上げます。

 我が日本郷友連盟は創設以来六十年余にわたり国防思想の普及、英霊の顕彰及び歴史伝統の継承を活動の中心に「誇りある日本の再生」を目指し全国各地において諸々の活動を地道にしかし活発に継続して参りました。 

 この間各方面から寄せられた暖かいご支援ご協力と全国各地での会員の皆様の長年にわたるご努力ご精進に対し深甚なる敬意と謝意を表するものであります。

 さて、ご案内の通り去る四月二十七日に韓国文在寅大統領と北朝鮮金正恩労働党委員長の会談が板門店で開催されました。共同宣言では緊張緩和や平和体制の構築などが謳われましたが最も肝心な非核化については朝鮮半島の非核化を目標とするという甚だ曖昧で具体策も窺えない表現にとどまったのは誠に遺憾と言わざるを得ません。拉致問題を抱える我が国としては来月にも予定されている米朝会談の行方を含め慎重に推移を見守り対応すべきでありましょう。

 他方中国は修近平の一党独裁傾向の下、毎年増大する軍事力を背景に周辺海域に勢力の拡大を企図し、我が国周辺海域就中尖閣列島周辺での領海侵犯などの跳梁跋扈は目に余るものがあります。

 またロシアは戦後我が固有の領土の北方四島を不法に占拠していることを豪も恥じることなく更なる軍事力の強化を図っているのは言語道断であります。

 このように我が国周辺特に東アジア情勢は好転の兆しが伺えるものの依然として厳しいと言わざるを得ません。

 一方目を世界に転じますとシリア情勢やパレスチナをめぐる各国の確執、移民問題を抱える欧州各国の不協和、貿易不均衡の是正や経済圏の再編等による諸々の経済摩擦さらには米中ロの大国をはじめ各国が自国優先の政策を重視するなどナショナリズムとグローバリズムさらにはポピュリズムの台頭も加わり複雑でかつ混沌とした情勢にあり、今や世界は大きな歴史的転換点を迎えていると云っても過言ではない状況にあります。

 かかる重大局面にありながら我が国の国会はモリカケ問題や文書改ざん、日報など云わば枝葉末節的論議に集中し我が国の国益や将来について全くと言っていいほど議論が交わされないのは極めて遺憾と言わざるを得ません。

 国会は国民の代表として国家のため法案を審議し成立施行することが責務であります。党利党略のみに走らず是非速やかに本来のあるべき姿に立ち返り、この国難に立ち向かうことを切望するものであります。

 先に述べた極めて厳しい東アジア情勢にかんがみ、我が国も逐次国防力を充実強化しつつあり、特に安倍政権においては僅かずつではありますが毎年防衛関係費の増額が見られていることは評価すべきものと思います。しかし総額はようやく十五年前の水準に戻ったに過ぎず、また米中をはじめ諸外国が二桁に近い伸びで国防力を強化している現状を見るとき我が国としても格段の努力が必要でありましょう。

 また新たな防衛計画の大綱が策定されるやに伺っておりますが、この際専守防衛などの従来の政策の見直しも含め時宜に適し今後を見据えた斬新なものとなすよう期待するものであります。

 さて平成の御代も残すところ一年弱となりました。畏くも天皇陛下におかせられましては国民の象徴、国民統合の象徴として私ども国民を慈しみ賜りました.誠に有難くかつ畏れ多いことであります。

 特に戦没者の慰霊につきましては格別の思し召しを賜り、国内外の各地に慰霊巡行あそばされ戦没者に対し追悼の誠を捧げられました。そして恐らくや更なる思し召しは靖国神社への行幸であろうと拝察申し上げるものであります。

 そのためには国を代表する総理大臣の継続的な靖国参拝がなされなければなりません。私たちは今後とも引き続きこれが実現のため粘り強い活動を継続して参りたいと考えております。

 本年は明治維新百五十年の意義ある節目の年に当たります。私どもは近代日本建設のため先人が為されたご苦労ご努力について改めて認識するとともに、二千六百有余年にわたり連綿と続いてきた世界に誇りうる日本の歴史伝統について正しく後世に伝えて行くことが肝要であると思います。

 昨今特に韓国中国による所謂慰安婦や南京事件など事実に反した誹謗中傷悪宣伝によって我が国の歴史を歪曲し日本を貶める活動が執拗になされているのは甚だ遺憾であります。またこれに加担する日本国民が存在していることに情けなさを感じざるを得ません。このような歴史戦に対しては断固反撃し正しい歴史観を確立することが重要であります。

 連盟はまた創設以来 「自主憲法の制定、国軍の創設」を旗印に掲げ活動を続けて参りました。

 昨年五月の安倍自民党総裁の発言以来憲法改正の動きが活発化していることはご同慶の至りであります。しかしながら発議をすべき国会の動きは緩慢であり今後予断を許さないものがあります。   

 憲法を改正するのは日本国民であり国会議員ではありません。
速やかに発議のための意見集約がなされ国民投票に繋げるよう期待するものであります。

 そして私どもとしては国民投票に向けて改憲の輪を拡げる努力を、一人でも多くの同志を増やす活動を今後とも強化継続していかなければならないと考えます。

 正にこの一〜二年が憲法改正の正念場でありましょう。会員各位の更なる一層のご活躍ご精進を期待申し上げるものであります。

 終わりに重ねて今次総会にご出席賜り錦上華を添えて頂いたご来賓の皆様に御礼申し上げ式辞といたします。

平成三十年五月十六日


                     
            平成三十年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 新年明けましておめでとうございます。
 平成三十年皇紀二千六百七十八年の輝かしい初春をご家族ともども平穏にお迎えられたことと慶賀申し上げます。

 先ず以て八十余歳のご高齢にも拘わりませず等しく国民に深い慈しみを賜って頂いております天皇皇后両陛下をはじめ皇室ご一家の皆々様の本年における弥栄ご繁栄を心からご祈念申し上げるものであります。

 また我が国の平和と安全のため国内外において昼夜を分かたず黙々として任務に精励されている陸海空自衛隊の皆様のご苦労ご精進に対し衷心より深甚なる敬意と謝意を表したいと存じます。

 さて、昨年十月に行われた衆議院総選挙は、野党の足並みの乱れも影響し安倍政権与党が憲法改正の発議に必要な三分の二以上の議席を確保するとともに内容的に差はあるものの改憲勢力が八割を超えるという結果となりました。
誠に意義深くかつ喜ばしい結果であり、これにより憲法改正の機運がより加速されるよう大いに期待したいと思います。

 今後国会では昨年五月に安倍自民党総裁が提案された自衛隊を第九条に加える内容を含む項目を中心に与野党間で発議に向けての激論も交わされるでありましょうし、更には国民投票に向けて国民の間でも国論を二分するほどの諸活動が活発に展開することが予想されます。

 連盟は創設以来約六十年間にわたり一貫して「自主憲法の制定、国軍の創設」を提唱して参りました。
 戦後七十余年占領軍によって一方的に押し付けられた現憲法を日本国民自らの手によって取り戻す好機が正に眼前に到来しつつあります。
私どもは今こそ原点に立ち返り連盟の目標達成のため渾身の力を発揮して改憲勢力の拡大に努め、来るべき国民投票に備えることが何よりも肝要であると考えます。

 さて、昨今の国際情勢は「アメリカファースト」を主張するトランプ米国大統領の出現、力を背景に世界進出に余念のない中国やロシア、難民や統一問題で揺れ動くEU、宗教的民族的紛争の絶えない中東やアフリカなどますます複雑化混迷の度を増しており、その傾向は残念ながら本年も継続するものと予想せざるを得ません。
アジアにおいては特に膨張する中国の進出に如何に対処するか各国とも深刻に懸念せざるを得ない状況にあります。
 一方我が国をめぐる軍事的情勢はますます緊迫の度を増しつつあります。
即ち国際世論の非難をものともせず北朝鮮は核ミサイル実験を繰り返し強行し、ミサイル射距離の増大、核の小型化に狂奔しており、中には無謀にもわが日本の上空を通過させると云った事態も生じました。
正に我が国にとって明らかな脅威と認識すべきであります。
加えて多数の我が国同胞を不法にも拉致し恬淡として恥じない態度には大なる怒りを感じるものであります。

 また中華人民共和国は習近平共産党独裁政権のもと十年間に三倍にも達する国防費を駆使して軍事力特に海空軍の増強に努め、これを背景に南シナ海あるいは東シナ海に海洋進出を図っており、特に我が南西諸島方面での絶えざる領海侵入や近海での跳梁跋扈は我が国益を脅かすものとして看過し得ない状況にあります。

 日ロ関係は経済を中心により改善されつつありますが不法に占拠されている我が北方領土にあってはむしろ極東ロシア軍の増強や活動の活発化が見られるなど憂慮すべき状況を呈しております。
 更には日本の固有領土である竹島を不法に占拠して恥じないのみか所謂慰安婦や徴用工問題を世界に発散し我が国を非難し続ける韓国の動向にも注意を払わなければなりません。
 加えて世界的に拡散増大しつつあるテロやサイバー攻撃など新たな脅威にも備える必要がありましょう。

 而してこれらに適切に対応するためには何よりも自主防衛力の充実強化と日米安保体制の更なる進化が肝要であります。

 安倍政権は発足以来国家安全保障戦略の策定をはじめ平和安保法制の整備まで数多くの施策を推進し、また例年僅かずつではありますが防衛関係費を増額してきたことは大いに評価されて然るべきでありますが現状を見るときなお不十分と言わざる
を得ません。
 今後イージスアショアの整備等を含むミサイル防衛体制の一層の強化をはじめ統合機動防衛力の充実等のため思い切った防衛費の増額が必要であるとともに、領域警備法をはじめ陸海空自衛隊が実力を十分に発揮し得るような法制整備が肝要でありましょう。

 昨年の十月ユネスコにおいて中韓両国や諸団体が提案した所謂慰安婦に関する世界の記憶への登録が見送られました。
一昨年南京事件が突如として世界の記憶に登録された際の反省もあり、今次は日本政府及び関係民間諸団体の活躍もあって我が国にとって望ましい結果となったことは歴史戦において一矢を報いたものとして大いに評価すべきでありましょう。

 然しながら昨年末米国サンフランシスコ市に慰安婦像の設置が決議されるなど今後とも我が国に対して歴史戦を挑んでくる国内外勢力は後を絶たないと思われますしそのための対処を怠ってはならず政府はじめ関連団体挙げて確固たる対応がなされるよう望むものであります。
戦後我が国においては誤った所謂東京裁判史観がはびこりその影響は戦後七十余年を過ぎた今日においてもなお大なるものがあることは誠に遺憾と言わざるを得ません。
美しい日本、誇りある日本を取り戻すためにも私ども自らが一人一人正しい歴史観を確立し保持するととものこれを後世に伝えて行くことこそ肝要であると信じて止みません。

 靖国問題もこの歴史戦の一環でありましょう。
安倍内閣総理大臣は三年前の十二月二十六日靖国神社を参拝されました。
しかしその後は我々の期待も空しく参拝は行われないまま今日に至っているのは誠に遺憾と言わざるを得ません。
総理の靖国神社参拝はあくまでも我が国の内政問題であり、ましてや諸外国から誹謗非難を受ける筋合いはありません。

 諸般の情勢上安倍総理が靖国参拝を控えておられることには一応の理解をするものでありますが願わくば敢然として靖国参拝を実施かつ継続して頂き、天皇陛下の行幸の実現への道を開いて頂きたいと期待申し上げるものであります。

 そのためにも私どもは従来以上にこの活動を不断に継続することが肝要と思いますしそれが英霊にこたえる道だと確信するものであります。

 昨年六月には天皇陛下のご退位に関する皇室典範特別処置法が成立し、今上陛下は恐らくや明年にはご退位あそばされ、新たな年号の御代になるでありましょう。

 然しながら如何なる御代になろうと日本郷友連盟は「国防思想の普及」、「英霊の顕彰」、「歴史伝統の継承」を活動の柱とし初心を忘れることなく「誇りある日本の再生」のため愚直に我が道を歩んでまいりたいと思うものであります。

 会員はじめ皆様の更なるご支援ご協力をお願いし新年のご挨拶といたします。



                     
            平成二十九年度 定時総会 式辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 本日ここに豊田防衛省大臣官房長をはじめ内外多数のご来賓のご臨席を仰ぐとともに、全国各地からの代表の方々のご参集を得て、平成二十九年度日本郷友連盟通常総会を挙行出来ますことは誠に喜ばしく、ここに厚くお礼申し上げます。

 先ずもって五年余にわたって遥かアフリカは南スーダンにおいて平和維持活動に従事されていた自衛隊の皆様が任務を終え順次帰国されつつあります。
長い間本当にご苦労様であり今月末までに全員が御無事で祖国日本に凱旋されご家族のもとへお帰りになられるよう祈念するものであります。
また国内外において過酷な任務に従事されあるいは厳しい訓練にいそしんでおられる防衛省自衛隊の皆様のご活躍ご精進に対し深甚なる敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

 しかしながら、一方においては去る五月十五日緊急患者輸送任務に従事中の陸上自衛隊の連絡偵察機が北海道山中に墜落し、四名の方が殉職されました。
誠に痛ましい限りであり、ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げるものであります。

 さて最近の国際情勢は、米国トランプ大統領の出現および英国のEUからの離脱という予想外ともいうべき出来事に加えて、中東就中シリアをめぐる各国あるいはISなどの確執、世界中に拡散しつつあるテロや移民難民問題などグローバリズムとナショナリズムがせめぎあい正に地殻変動とも云うべき混沌とした情勢にあり先の見えない予測しがたい状況を呈しております。

 我が国周辺にあっては国際的非難にも拘わらず北朝鮮による核ミサイルの開発実験が執拗に継続され、米中の対応と相まって正に一触即発の危険な状況にあると申しても過言ではありません。

 また中国は強大な軍事力を背景に海洋進出を図っており特に我が国周辺海空域就中南西諸島方面における不法な跳梁跋扈は看過し得ない域に達しております。

 さらに我が北方領土を不法に占拠しているロシアは日ロ親善の声が増しているにも拘わらず当該地域に軍事力を増強しその活動も逐次活発化を呈しており,由々しき状況にあります。

 加えて隣国韓国においてはさる五月九日反日反米志向の文新大統領が出現したことは今後の東アジアの平和と安定に如何なる影響を及ぼすか注目を要するところであります。

 一方国内にあって特筆すべきは昨年八月畏くも天皇陛下におかせられましては国民に対しご譲位の御意向をお示しになったことでありましょう。
政府は早速有識者懇談会を立ち上げ、その結果今次国会で特別立法が成立する運びになりましたことは国民感情としても誠に当を得たものと評価するものであります。

 また、一昨十六日には秋篠宮眞子内親王殿下のご婚約が報じられました。
誠におめでたい限りであり、心からお祝い申し上げたく存じます。

 さて、連盟は昭和三十二年創設以来本年で六十年の節目に当たりますが、この間幾多の変遷を経つつも「誇りある日本の再生」を目指し、国防思想の普及、英霊の顕彰及び歴史伝統の継承を柱に幅広い国民運動を展開して参りました。

 この間多くの皆さまから寄せられた暖かいご支援ご協力並びに全国各県郷友会員の皆様の地道なそして熱心な活動に関し心からの敬意と感謝を申し上げる次第であります。

 然しながら我が国の現状は、かつて私どもの先輩が希求し期待したような国になっているだろうかと思いを致すとき甚だ心苦しくかつ申し訳ない気持ちを禁じざるを得ません。

 すなわち国防に関しては、平和安保法の制定や僅かながら国防予算の増額が見られるなど評価すべき点も多くありますが、先に述べた内外情勢を考慮するとき、現状で満足すべきではなく更なる日米安全保障体制の進化を図るとともに、せめて国防予算をGDP2%程度への引き上げ、グレーゾーン対応を含め法的な不備を速やかに是正するよう望むものであります。

 昨年戦没者遺骨収集促進法が制定されたことは大いなる喜びでありましたが、実行面においては未だ十分とは言えず、また総理の靖国神社参拝も、平成二十五年十二月以降途絶えたまま今日に至っていることは甚だ残念に思います。
是非早期に総理の靖国神社参拝を実現かつ継続して頂き、天皇陛下靖国行幸の道を切り開いて頂きたいと切望するものであります。

 歴史問題に関しまして、昨今中韓両国による主としていわゆる慰安婦問題や南京事件に関し、事実を歪曲し我が国を冒涜する動きが世界中に展開されていることは誠に遺憾であり、断じて看過すべきことではありません。
イギリスの著名な歴史学者トインビーは「歴史を失った民族は滅びる」と喝破しています。

 今や我が国は歴史戦の真只中にあることを強く認識し、戦後の誤った所謂東京裁判史観を今こそ払拭し、正しい歴史観を保持し、それを後世に伝え続けていくことが肝要であると思うものであります。

 終わりに連盟は創設以来「自主憲法の制定」を標榜して参りました。

 ちょうど十年前には国民投票法が成立し、昨年には参議院選挙で与党が三分の二の議席を獲得して発議の要件は整ったにも拘わらず論議は遅々として進まず残念に思っておりましたが、本年の憲法記念日に際し安倍総理は自民党総裁として憲法第九条に自衛隊を明記するなどを含む憲法改正を二〇二〇年までに施行する旨の談話を発せられました。

 現憲法が施行されて七十年、ようやく改正が現実のものとして具体化されようとしていることに深い感慨を覚えますとともに喜ばしく思うものであります。

 もとより実現までにはなお幾多の紆余曲折があろうとは思いますが、来る東京オリンピックパラリンピックに新生日本の姿を世界に認めて頂くためにも日本国民の手による憲法改正が断固としてなされるよう強く望むものであります。

 本年も内外多事多難の年であろうと思われますが、連盟は初心を忘れず従来同様の活動を粘り強く地道に進めていく所存であります。

 皆様の更なるご厚情ご支援をお願い申し上げますとともに会員各位の本年益々のご活躍ご精進をご期待申し上げ式辞といたします。

        平成二十九年五月十八日

                 一般社団法人日本郷友連盟
                       会長  寺島泰三



                     
            平成二十九年 年頭の辞
 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、ご家族ともどもお揃いで平成二十九年(皇紀二千六百七十七年)の新春を恙なく迎えられたことと拝察し心からのお慶びを申し上げます。

 昨年は一般社団法人日本郷友連盟に対しまして一方ならぬご支援ご厚情を賜り誠に有り難く衷心より厚くお礼申し上げます。

 先ず以て畏くも天皇皇后両陛下に措かせられましては昨年一月フィリピン共和国をご訪問あそばされ、彼の地に眠るご英霊の御霊を始め戦場で犠牲となられた多くの方々に対し追悼の誠を捧げられました。

 更に今春にはベトナム共和国をご訪問あそばされると伺っており、その大御心の忝さに国民一同恐懼感激するところであります。
昨年秋の天皇陛下のお言葉もあり現在譲位に関して種々検討がなされておりますが傘寿をお迎えあそばされた両陛下を始め皇室ご一家の皆々様の本年の御安泰弥栄を心から祈念申し上げたく存じます。

 また昨年十一月には新たに「駆けつけ警護」等の任務を付与され現在南スーダンにおいて勇躍活躍中のそして海賊対処に従事されている派遣部隊の自衛隊員の皆様、尖閣諸島を始め我が国周辺海空域において日夜黙々として警戒監視等の任務に従事しておられる方々そして昨年四月発生した熊本地震を始め多くの災害に適切に対処されるとともに日々訓練にいそしんでおられる全国の自衛隊員のご努力ご精励に対し満腔の敬意と感謝を申し上げるものであります。

 さて、昨年のビッグサプライズと云えば英国国民投票によるEUからの離脱の決定そして米国大統領にトランプ氏が選ばれたことが挙げられましょう。
 しかしそれ以外の事象でもシリアを始め主として中東地域における各種紛争の激化、世界各地におけるテロ活動の活発化、欧州における難民問題、武力を背景にした中露の強引な進出と米国の力の抑制政策による国際影響力の低下などが相まって国際情勢は複雑流動化し混迷の度を深くしております。

 一方我が国周辺においては膨大な軍事力を背景に南シナ海更には東シナ海に武力による進出を企図している中華人民共和国の動向、国内の疲弊にも拘らず執拗に核の小型化ミサイル射程の増加に狂奔している北朝鮮の態度、先の見えない北方領土問題に加え軍事力の強化拡大を企てている極東ロシアの動向更にはレームダック化している隣国韓国の朴槿恵政権の将来などなどこれまた複雑多難であり予断を許さないものがあります。

 さて本年最も注目すべきは一月第四十五代米国大統領に就任されるトランプ大統領の去就でありましょう。
選挙期間中歯に衣着せない激しい言動が注目を集めましたが、今後政策遂行において如何に具現実行するか関心の集まるところであります。

 我が国に対しても経済や安保問題に関し状況によっては厳しい態度で臨むことも予想されますが、緊密かつ良好な日米関係の確立は二国間にとって有意義のみならずアジア更には世界の平和の維持のためにも極めて重要であることは申すまでもありません。
我が国としては安倍総理の提唱する積極的平和主義を引き続き推進するとともに米国トランプ政権の誕生をむしろ好機と捉え一層の関係改善充実に臨むことが肝要でありましょう。

 私ども日本郷友連盟有志は昨年十一月英霊の慰霊顕彰のためソロモン諸島のガダルカナル島を訪問いたしました。
 彼の地は先の大東亜戦争において日米両軍が死闘を繰り広げた過酷な戦場であり、結果日本軍は約二万余の尊い犠牲を払って撤退を余儀なくされたのでありますが、現在においてもなお万余に昇る半数の遺骨は現地に眠ったまま放置されていることは甚だ慙愧に絶えず誠に申し訳なく思います。
昨年には「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」が制定されました。
世界各地には未だ百十三万余の英霊の遺骨が眠ったままと云われていますが一日も早くこれらのご遺骨を祖国日本にお帰り頂くよう国家の責務とし施策を推進されるよう望みたいと思います。

 天皇皇后両陛下は長年にわたり国内外各地において慰霊の旅を続けておられますがその先には恐らくや靖国神社に関し格別の思し召しがおありであろうと拝察するものであります。
 そのためにも総理の靖国神社の継続的な参拝の実施こそ肝要であります。
諸般の情勢上困難であろうことは理解するものではありますが、国のために尊い命を捧げられた方々の御霊に一国の宰相が尊崇の念を払うことは当然のことであり世界の常識であることに思いを致し、近い将来において是非実現されるよう格段の努力をお願い申し上げ期待致したいと思います。

 近年国連ユネスコの場を利用し日本の歴史をねつ造改悪する動きが生起していますが誠に遺憾であり憤激を覚えます。
 即ち中国は南京事件を世界の記憶に登録申請し、十分な審査もされないままこれが受理されました。
これにより日本軍によって三十万人が虐殺されたという根拠のないことが歴史的事実として世界中に広がる危険性もなしといたしません。
 また所謂慰安婦問題に関しても昨年韓国が登録申請し却下されたものの本年新たに中韓を始め九か国十七団体が共同提案し、その内容も韓国中国併せ四十万の慰安婦が性奴隷とされたという途方もない内容であり断じて許容できないものであります。
 かくのごとく正に中韓両国は我が日本に対し事実無根の歴史戦を挑んできているのであり我が国としては断固これを粉砕し勝利することが絶対に必要であります。
政府特に外務省の格段の努力が望まれるところであります。

 連盟は創設以来「自主憲法の制定、国軍の制定」を標榜して参りました。
 昨年の参議院選挙の結果衆参両院ともに与党が三分の二の多数を占め国会に提案する基盤は確立されたものの最近の衆参両院の憲法審査会の動向や論議は必ずしも活発でなく残念に思わざるを得ません。
現在の憲法は我が国が占領下に押し付けられたものであることは論を待ちません。
 戦後七十余年を経た今日、日本国民自らの手で新たな憲法を制定することこそ肝要であり、憲法改正なくして戦後は終わらないと銘肝し国挙げての格段の推進を望みたいと思います。

 さて、日本郷友連盟が創設されて以来既に六十年余の歳月が経過いたしました。
この間営々として精進努力を重ねてこられた先達会員の皆様に対し深甚なる感謝を申し上げ、これからも初心を忘れず「国防思想の普及」「英霊の顕彰」「良き歴史伝統の継承助長」を活動の柱とし、「誇りある日本の再生」を目指すべく努力を重ねる所存であります。
 本年が我が国にとって飛躍の年でありますよう祈念いたしますとともに連盟に対し更なるご支援ご協力を切にお願い申し上げ新春のご挨拶といたします。 


 

          日本郷友連盟 平成28年度定時総会 式辞

 新緑が目にも鮮やかな五月皐月の本日、ここに豊田大臣官房長をはじめ内外多数のご来賓のご臨席を賜り、平成二十八年度一般社団法人日本郷友連盟定時総会を開催出来ますことは誠に喜ばしく、関係各位に対しまして心から厚くお礼申し上げます。

 さて、去る四月十四日から発生しました熊本地震においては五十人を超える犠牲者をはじめ多くの損害が発生いたしました。
天災とはいえ誠に痛ましい限りであり、心からご冥福をお祈り申し上げますとともに今なお避難生活を余儀なくされている多くの方々の一日も早い復旧復興を願うものであります。

 今回の地震にあって、政府、自衛隊、消防、警察あるいは地方公共団体、民間団体等の対応は従来以上に迅速かつ活発でありました。
今なおご苦労を続けておられる関係者の方々に対し、深甚の敬意と感謝を表する次第であります。

 畏くも天皇皇后両陛下におかせられましては昨十九日熊本に行幸啓あそばされ、犠牲者に哀悼の意を表されるとともに、未だ多くの避難者に対し心からのご激励を与えて頂きました。誠に有り難いことであります。

 また両陛下は去る一月にはフィリピンをご訪問あそばされ、過酷な戦場に散華された五十万余柱の英霊や犠牲となった多くのフィリピン国民の御霊に追悼の誠を捧げられました。
誠にかたじけない限りであり、常に日本国民をいつくしみあそばされる大御心の有難さに恐懼感激するものであります。

 さて、日本郷友連盟は昭和三十一年創設以来約六十年にわたり自主憲法の制定を掲げ、国防思想の普及、英霊の顕彰及び良き歴史伝統の継承を活動の重点として誇りある日本の再生を願い全国各地において様々な活動を続けてまいりました。

 この間防衛省をはじめ関係諸団体や多くの方々の温かいご支援ご協力を頂いており改めて心から厚くお礼申し上げる次第であります。

 また、全国各地において連盟の趣旨に賛同し永年にわたり地道な活動を継続してこられた多くの会員の皆様のご努力ご精進に対しまして深甚なる感謝と敬意を表するものであります。

 然しながら六十年を経た今日、設立当時連盟が希望し期待した日本になっているであろうかと振り返るとき内心忸怩たるものを感じざるを得ないのであります。

 即ち、国防安全保障に関しましては、安倍政権は国家安全保障戦略の策定をはじめ数多くの施策に精力的積極的に取り組まれ、昨年には従来懸案であった集団的自衛権の行使を限定的ではありますが可能にする平和安全法制を制定するなど着々と成果を挙げられていることは大いに評価するものであります。

 しかしながら我が国を巡る安全保障軍事的情勢はますます厳しさを増しているといっても過言ではありません。

 即ち、北朝鮮は国連はじめ世界各国からの非難にも拘らず本年当初から核ミサイルの実験を執拗に繰り返しており、その成否は我が国にとって大いなる脅威として顕在化しつつあります。

 また中華人民共和国は膨大な軍事費を背景に特に海空および宇宙に関する軍事力を充実増加し近隣諸国との間に摩擦を生じており、我が国に対しても尖閣列島をはじめ南西海域において一触即発の状態を現出しており寸時といえども予断を許さない状況にあります。

 さらに我が国北方にあってはロシアは不法に占領している北方四島に軍事力を強化し、活動も逐次活発化しつつあり警戒を要するところであります。

 加えて世界的なテロ拡散の動きやサイバー戦などに関しても我が国として十二分に注目し対応する必要があろうと考えられます。

 かかる厳しい情勢を考えるとき、我が国は自らの防衛力の更なる充実や日米安保体制の深化、更には近隣諸国との友好関係の確立など一層の国防力の強化が必要であり、形而上下にわたっての努力が望まれるところであります。

 英霊の顕彰に関しまして、安倍総理大臣は第二次内閣発足一年目の平成二十五年十二月に靖国神社参拝を断行されました。
しかしその後は継続を期待した我々の願いも空しく今日まで参拝は行われないまま打ち過ぎていることは誠に遺憾と云わざるを得ません。

 およそ一国の宰相が国に殉じた英霊に対し尊崇の念を表することは世界各国共通の常識であります。
我が国において諸般の情勢これを許さざることは一応理解するものではありますが、一部の外国の内政干渉ともいうべき誹謗中傷や心なき一部国民の非難に拘泥することなく毅然として靖国神社参拝を継続され、天皇陛下御親拝の道を開かれんことを切望するものであります。

 また、さる三月、戦没者の遺骨収集に関し国の責務を明確にするとともにその推進を図る戦没者遺骨収集に関する法律が漸く成立致しました。
これにより百十三万柱に及ぶと云われる海外に残されている英霊の遺骨収集が促進され祖国日本に帰還される日が一日も早からんことを願うものであります。

 さて、近年、韓国および中国は国連をはじめあらゆる機会をとらえ、所謂慰安婦問題や南京事件などについて事実を歪曲し我が国を非難誹謗しており、さらにはこの三月には国連女子差別撤廃委員会に於いて我が国の皇室典範改正の勧告が企図される事案まで発生するなど事態は深刻であり、極めて遺憾であると言わざるを得ません。

 まさに今や我が国は両国から歴史戦を挑まれていると申しても過言ではありません。而してこの戦いには絶対に勝利しなければならないのであります。

 そのためには現在なお消え去られていない自虐的な所謂東京裁判史観から脱却し、国民の間に正しい歴史認識を確立し日本の良き伝統文化を後世に伝えていくことが肝要であると思うものであります。

 そしてそのためにも占領軍から押し付けられた現在の憲法の改正こそ重要であります。
 昨今漸く憲法改正について具体的進展が伺われるようになったことは喜ばしいことではありますが、未だ国会や国民の間に多くの議論や意見の相違があるのも事実であります。
私どもは志を同じくする同志とともに改憲勢力を結集増大して連盟創設以来の悲願ともいうべき憲法改正に向けて更なる活動の継続強化を図る所存であります。

 以上所懐の一端を述べましたが、我が国を巡る諸情勢も、連盟を取り巻く環境もますます厳しいものが予想されますが、会員一同一丸となってこの難局を乗り越えたいと決意を新たにするものであります。

 皆様からの今後一層のご支援ご厚情をお願い申し上げますとともに、会員の皆様の更なるご活躍ご精進を祈念申し上げ式辞と致します。

          平成二十八年五月二十日

                            一般社団法人 日本郷友連盟
                                  会長    寺島泰三




            平成二十八年 年頭の辞 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 新年明けましておめでとうございます。
平成二十八年(皇紀二千六百七十六年)の輝かしい新春を迎えられましたことを心からお慶び申し上げます。

 畏くも天皇皇后両陛下におかせられましては昨年四月にパラオ共和国をご訪問あそばされ、遥か南方の地にあって御国のため尊い命を捧げられた英霊の御霊に鎮魂の誠を捧げられました。
誠に有難い極みであり国民一同感激したところであります。

 本年にはさらに慰霊のためフィリピンへの行幸啓も予定されておられると伺っており、その大御心の忝さに感銘を深くするものであります。
天皇皇后両陛下をはじめ、ご皇室の皆様の本年の弥栄ご健勝を衷心から祈念申し上げたいと存じます。

 また、国際平和に貢献するため、祖国を遠く離れた南スーダンやソマリア沖・アデン湾において、そして我が国の平和と安定のため我が領土領海領空全域にわたって苛酷な状況下にも拘らず黙々と任務を遂行されている陸海空自衛官のご努力とご精進に対し、心からの敬意と感謝を表するものであります。

 さて、昨平成二十七年は我が国にとって終戦七十年と云う節目の年でありました。

 八月十四日には戦後七十年に際しての安倍総理の談話が発せられましたが、発表前から内外の反対勢力は二十年前の村山談話の踏襲なかんずく侵略戦争、植民地支配、反省とお詫びを盛り込むよう執拗に運動を展開しました。

 しかし安倍総理は敢然として独自の歴史観を見事に展開され、いわゆる東京裁判史観の払拭に努められ、さらに「あの戦争には何のかかわりもない私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに謝罪を続ける宿命を負わせてはなりません」と述べられたくだりは、我が国の将来にとって極めて意義深いものであり、安倍総理のご腐心のほども察せられ、大いに評価すべきものと云えましょう。
 当然ながら米国はじめ多くの諸外国の評価もおおむね好意的であったこともまた喜ばしいことでありました。

 しかしながら韓国は日本の明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録に際し、強制労働についてクレームをつけ、中国はいわゆる南京事件を世界記憶遺産に登録し、さらには慰安婦に関しても新提案を企図するなど新たな歴史戦を展開してきていることは看過出来ない重要な問題であります。

 我が国としてはこれらに毅然と立ち向かい、仕掛けられた歴史戦に怯むことなく立ち向かい、絶対に勝利することが肝要であると思います。
 他方、去る九月十九日には我が国の安全保障にとって永年の懸案の一つであった集団的自衛権を限定的ながら行使し得る内容を含む平和安全保障法案が国会で成立いたしましたことは、今後の我が国の国防・安全保障にとって極めて重要かつ意義深いものでありました。

 しかしながらその過程においては、戦争法案であるとか徴兵制につながる法案であるなどのいわれなき情緒的観念論的反対活動が多く展開され、迫りくる脅威に対し我が国の安全保障・国防を如何に律すべきかと云った真の実体論が余り論ぜられなかったことは甚だ残念なことでありました。

 さらには法案は通過したもののいまだ完璧とは言えず、グレーゾーンの対応、ネガティブリストに基ずく任務遂行、恒久法の制定など今後さらに整備すべき点も少なくありません。さらなる充実を期待するものであります。

 一方国外にあっては去る十一月、フランスのパリで発生したイスラム過激派が惹起した悲惨なテロ活動は全世界を震撼させる出来事でありました。
これらの活動は中東やアフリカ諸国に留まることなく全地球的に拡散する傾向にあり、さらにその手段も生物化学兵器やサイバー兵器にまで拡大されようとしており、誠に由々しき状況にあると申しても過言ではありません。

 今や全世界の各国が連帯して対処すべきであり、本年伊勢志摩サミット、将来は東京オリンピックを控えている我が国としても対岸の火事視せず真剣に対応すべきでありましょう。

 我が国周辺においては逐年増大する軍事力を背景に、中華人民共和国の覇権的進出、特に南シナ海における無人島の埋め立て等による既成事実作為行動はアジア諸国の重大な懸念事項となっており、これがさらに増幅傾向にあることは甚だ遺憾であると云わざるを得ません。

 我が国の固有領土である尖閣列島周辺には常に中国籍の数隻の監視船が遊弋しており、また日中中間線付近においては多くの工事が継続されて勢力の拡大を図る等その行動には今後とも十二分に注視する必要があります。

 また、核の小型化の追求に余念がない北朝鮮、陸海空戦力の統合された訓練が活発化しているロシアの軍事的動向も依然として我が国にとって重大な懸念事項であり、従来以上に関心を深くしなければならないと思います。

 さて、平成二十八年は如何なる年になるでありましょうか。

 干支では本年は丙申となり、一説では多事多難な変革の年とも云われています。
国際的には依然としてイスラム過激派などの活発なテロ活動が懸念されますが、洋の東西を問わず世界の国々が連携しこれに対応することが望まれます。

 加えて大統領選挙を控えての米国の影響力の低下、反面、政治的、経済的、軍事的優勢を背景とした中国の影響力の増大、ロシアの進出などが複雑に絡み合って国際情勢はますます流動的複雑化する傾向に陥るでありましょう。

 一方国内にあっては、引き続き一強多弱の安定した政治情勢ではありましょうが、本年夏実施される参議院選挙は選挙権年齢引き下げでの初めての選挙であり、その推移は予断を許さないものがあります。

 しかしその中にあっても憲法改正の機運はさらに熟し、より具体的なものとなることが望まれます。連盟としても設立以来の悲願である自主憲法制定に向けて活動を活発化するようさらなる精進努力を致したいと考えております。

 経済的には三本の矢に基ずくアベノミクス経済の推進が図られるでありましょうが、TPP政策の推進、消費税導入の影響等も絡んで経済情勢は楽観を許さないでありましょう。

 社会的には情報の多量活発化、個人の文化価値観の多様化、社会的風潮の複雑化などにより社会情勢はますます混沌とすることもなしといたしません。

 かかる複雑流動化する国内外情勢下にあっても日本郷友連盟は初心を忘れず、約六十年の間粛々として行動してきた「国防思想の普及」、「英霊の顕彰」、「良き歴史伝統の継承」という活動の三本柱を引き続き継続するとともに、自主憲法の制定の実現に向けての活動を推進する所存であります。

 皆様の本年ますますのご健勝ご活躍を祈念申し上げますとともに連盟に対するご支援ご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。




      「戦後七十年に想う」 (自主憲法制定の促進を)

                                    会長  寺島 泰三

 七十年前の昭和二十年八月十五日、私は旧制中学校の一年生でありました。
現在の北朝鮮のとある中学校の校庭で終戦の詔勅を拝聴しました。
汗が滴り落ちる暑い日でした。
セミの鳴き声とラジオの雑音で良く聞きとれませんでしたが「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び」と云う箇所だけはなぜか明瞭に聞き取れたことを今でもはっきりと記憶しています。

 先の大戦では我が国の行く末を案じ、日本の未来に期待したまま二百三十万人を超す多くの若者が悠久の大義の下、尊い命を国に捧げられました。

 戦後我が国は国民の勤勉さもあって、経済的には奇跡的な復興を遂げ世界有数の経済大国へと発展しました。
しかしその一方にあって苛酷な占領政策の徹底や敗戦の反動などから公を軽んじ誤れる個人主義や自由主義が横行し、我が国古来の歴史や伝統良俗などがなおざりにされてきた感は否めません。

 かかる現在の日本の姿は英霊の眼にどのように映っているでありましょうか。
果たして英霊が望み期待したような日本になっているでありましょうか。
内心忸怩たるものを感じます。

 ある戦争未亡人が「かくばかり醜き国になりぬれば捧げし人のただに惜しまる」と詠まれたようなことになってはならないと思います。

 かつて終戦五十年には「村山談話」が、そして終戦六十年にはそれを継承した「小泉談話」が発表され、内外に大きな波紋を巻き起こすとともに我が国の進路に大きな禍根を残しました。

 終戦七十年の本年八月には安倍首相も談話を発表されるでありましょう。
しかしながら去る四月の米国上下両議院の演説や五月のアジア安全保障会議における演説から伺う限り、植民地支配や侵略、謝罪やお詫びといった従来の文言を継承することなく、未来志向に徹し積極的平和主義の下、世界の平和と安定に貢献していく日本の進むべき道をしっかりと表明していただけるものと確信しております。

 現在国会では安全保障関連法案が審議中であり、限定的ではあるものの集団的自衛権の行使を認め、従来懸案であった諸々の制約を緩和するなどまさに画期的とも云うべき法案であり、我が国が国際社会において普通の国として活動するためにもぜひ必要な法律であると思います。
議論は尽くさなければなりませんが戦争法案であるとか憲法違反であるとかの神学論争でなく、現実に即した活発な論議の下今次国会での成立を期待したいものです。

 さて、これからの我が国の最大の懸案は「自主憲法の制定」でありましょう。
世界に誇れる憲法であるとか永年にわたり定着しているとか、現憲法を支持する声も少なくありませんが、しょせんは占領軍によって短期間に押し付けられた憲法であり、日本国民不在の憲法であったことは紛れもない事実であります。

 日本国民によって日本国自身の手で憲法を制定することこそ戦後レジームからの脱却にほかなりません。
もとよりそのためには国内的にも国際的にも相当のエネルギーを必要とするでありましょう。
しかしそれなくして「美しい誇りある日本の再生」の道はないと確信するものであります。

              (平成二十七年七月三十一日記)

 
         日本郷友連盟 平成27年度定時総会 式辞

 薫風爽やかな本日、ここに木原防衛大臣政務官殿をはじめ内外多数のご来賓のご臨席を賜り、また全国各地から多くの会員のご参集を得て、平成二十六年度一般社団法人日本郷友連盟の通常総会を挙行出来ますことは誠に喜ばしく関係各位に対しまして心から厚く御礼申し上げる次第であります。
 
 先ず以て去る四月八〜九日、畏くも天皇皇后両陛下におかせられましては南太平洋のパラオ共和国を御訪問あそばされ、先の戦争において遥か南方の地で散華された多くの英霊の御霊に対し追悼の誠を捧げられました。
英霊をはじめ戦友やご遺族の方々の感激は一入のものであったろうと思いますし、また日本国民の多くが大御心の忝さに感動したのであります。

 さて、本年は大東亜戦争終結七十年と云う節目の年に当たります。
戦争によって国土は灰燼と帰し最早立ち上がることは出来まいとまで云われた日本が戦後先人たちの懸命な努力と精進によって現在のような平和と繁栄を享受しうるようになりました。
今日に生きる私たちはこれら先輩諸氏に心からの感謝を申し上げますとともに、後世に繋ぐよう心掛けなければならないと思います。

 我が日本郷友連盟も昭和三十一年創設以来約六十年、自主憲法の制定を究極の目標に、国防思想の普及、英霊の顕彰、良き歴史・伝統の継承を連盟活動の三本柱として「誇りある日本の再生」を目指し国民運動を展開して参りました。

 この間における多くの諸先輩の熱烈なご活躍に深甚なる敬意と謝意を申し上げますとともに、私どもの活動を陰になり日向になり温かいご支援を頂いております防衛省をはじめ関係諸団体、関係各位の皆様方に対し心からの感謝を申し上げるものであります。

 さて、現下の国際情勢は正に混沌としており、世界平和とか安寧と云った状況には程遠いものがあります。

 なかでも中東やアフリカなどでは所謂イスラム国を始め種々様々な過激派組織が活動を活発化しており、宗教的、宗派的、民族的、政治的或いは地域的対立など激化の一途をたどっております。

 また、クリミア半島のロシア併合、南シナ海での中国の一方的行動など大国の力による現状変更などが多く見られ、米国の影響力の相対的低下と相まって国際的緊張はますます強まる傾向にあります。

 一方、我が国を巡る情勢も予断を許さないものがあります。
強大な軍事力を背景に自己の野望を正当化しようとする中国の海洋進出、国連決議に反し核ミサイル開発を継続している北朝鮮の動向、近年とみに活動を活発化している極東ロシア軍の動き、さらには日本を非難して止まない韓国の言いがかりなど正に四面楚歌と申しても過言ではありません。

 他方我が国内に目を転じますと安定した自公連立政権のもと、所謂アベノミクス効果によって好転しつつある経済情勢と相まって全般的に国民の間にやや明るい兆しが見えているのはご同慶の至りであります。

 中でも国防の観点からは、一昨年の国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防などの策定に引き続き、昨年からは永年の懸案であった集団的自衛権の解釈の変更に取り組み、限定的ではありますが与党合意のもと法律の制定が期待され、また十九年ぶりに日米防衛協力のための指針所謂ガイドラインが改定され、日米間の絆がより強力になったことは誠に喜ばしいことであります。

 防衛予算も厳しい財政状況下に拘わらず僅かではありますが増加傾向にあることは評価し得るところであります。

 然しながら我が国周辺の状況や自衛隊の任務の拡大を考慮するとき現状で十分なりや一抹の不安を感じざるを得ません。
更なる国防費の増額及び自衛官の人員増が期待されます。

 安倍総理は一昨年十二月靖国神社に参拝されてから今日まで真榊料は奉納されておりますものの直接参拝はなされておりません。
諸般の情勢これを許さざるものがあることは理解するものでありますが、首相の靖国神社参拝はあくまでも我が国日本の国内問題であり他国の理不尽な干渉によって左右されてはなりません。

 安倍総理には是非毅然として継続して靖国神社に参拝頂き、閣僚及び国会議員本人の参拝と相まって天皇陛下御親拝の途を啓かれんことを切望するものであります。

 昨年夏、朝日新聞が所謂従軍慰安婦に関する記事を訂正削除いたしましたが、我が国の正しい歴史認識が如何に歪められて来ているかを如実に表したものと云えましょう。

 本年は中学校歴史教科書改定の年に当たります。
各社の教科書もかなり良い方向に改善されつつあるように見受けられますが未だ不十分な点も少なくありません。
我が国の未来を背負って立つ青少年に誇りある日本を認識して頂くためにも正しい歴史認識に関し私どもは従来以上に関心を深めることが肝要であると思います。

 連盟の創設以来の悲願とも云うべき自主憲法の制定、憲法改正につきましてはこの数年種々論議がなされ、自由民主党においては憲法草案を発表され、国会では憲法審査会が開催されるなど確実に前進しつつあります。
然しながらその勢いは必ずしも強くなく、国民の意識も未だ十分とは言えない状況であるのは残念に思います。

 占領軍によって押し付けられた現在の憲法を日本国民の手で改正し、日本国、日本民族の矜持を取り戻すことは戦後レジームの脱却のためにも最も肝要であり、憲法改正なくして戦後は終わらないと云えましょう。

 そのためにはこれからの一〜二年が重要であります。
連盟は志を同じくする関係団体と緊密な連携のもと、従来にも増して活動を推進して参る所存であります。

以上所信の一端を申し述べました。

 我が国を巡る情勢はますます厳しく予断を許しませんが連盟は初心を忘れず、誇りある日本の再生のため従来以上の活動を継続推進することを誓うものであります。

 会員皆様のより一層のご精進を期待するとともに、関係の皆様のますますのご支援ご協力をお願い申し上げ、式辞といたします。

       平成二十七年五月二十二日

                             一般社団法人日本郷友連盟
                                   会長   寺島泰三



            平成二十七年 年頭の辞 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 新年明けましておめでとうございます。
輝かしき平成二十七年、皇紀二千六百七十五年の初春に当たり謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 一昨年十二月傘寿をお迎えあそばされました天皇陛下に引き続き昨年十月には皇后陛下におかれましても目出度く傘寿をお迎えあそばされました。
誠に悦ばしき限りでありまして日本国民挙って慶賀申し上げますとともに皇室の皆様方の本年ますますの弥栄ご繁栄を衷心より祈念申し上げたいと存じます。

 また、祖国日本より遥か遠い南スーダンやソマリア沖、アデン湾などで過酷な条件下にも拘らず黙々と任務を遂行され、さらには緊張いや増す我が国周辺海空域において昼夜を分かたぬ活動、国内にあっては御嶽山、広島をはじめ多くの災害に懸命な救助活動を実施されるなど我が国の平和と安定のため御活躍頂いている陸海空自衛隊員の皆様のご努力ご精進に対し心からなる敬意と感謝を申し上げるものであります。

 さて、現下の国際情勢は数年前から継続している、所謂「アラブの春」と称される各地での紛争は鎮火することなくますます激化傾向にあり、またイスラム国に代表される従来とは異なる団体の出現などによりますます混迷の度を深めております。

 東西両陣営の狭間にあって惹起したウクライナ紛争をはじめ地球上には未だ多くの紛争衝突が後を絶たず、エボラ出血熱に代表される各種災害の頻発、加えてもはやアメリカは世界の警察国家に非ずとのオバマ大統領の発言に見られる如く米国の世界に対する影響力の低下、反面中国ロシアの影響力の増大等と相まって今後の国際情勢はますます混沌複雑化することが予想されます。

 我が国周辺においては、中国は例年二桁の伸びを示している国防予算を基にした強大な軍事力を背景として、主として我が国南西方面の海空域において国際法を無視した威嚇や恫喝を含む軍事的活動を活発化し、正に一触即発の状態に近いと云っても過言ではありません。

 また最近にあっては尖閣諸島付近や小笠原、伊豆諸島沖に多くの民船が出没し我が領海を侵犯するなどいわゆるグレーゾーンと云うべき海空域において我が国の平和と安全を脅かし主権を侵害する行為が多発しているのは誠に遺憾であり看過できないところであります。

 他方、北朝鮮は非情にも我が同朋を拉致して恬淡として恥じることなく、しかも国際世論に反して核ミサイルの開発を継続推進する等、その動向には格段の注意が肝要であります。

 さらに極東ロシアにおいては従来見られることのなかった大規模の統合された軍事演習を実施する等、その動向態様にも十分注視する必要性を痛感するものであります。

 かかる我が国周辺の緊迫した状況下において、日本のとるべき道は自主防衛力の強化、日米安保体制の進化、近隣諸国との連携が重要であることは申すまでもありません。

 この二年間、安倍政権は絶対的多数の安定したかつ一強多弱の政治状況のもと、積極的外交主義や所謂アベノミクスによる経済の回復など見るべき成果を我が国にもたらしてきたことは誠にご同慶のいたりであります。

 特に国防の観点からは国家安全保障会議の設置、国家安全保障戦略の策定、特定秘密保護法の制定、新しい防衛計画の大綱の制定、中期防の策定等に引き続き、昨年においても武器輸出三原則に代わる防衛装備移転三原則の制定、さらには極めて限定的ではありますが永年の懸案事項であった集団的自衛権の解釈の閣議決定を為されるなど、正に画期的と申しても過言ではない各種施策を実現されましたことは大いに評価すべきであります。

 しかしながら所謂グレーゾーンに対する我が国の対応、集団安全保障における日本の態度、日米防衛協力のガイドラインなど課題も依然山積していますし、また今年最大の課題は集団的自衛権の法的整備でありましょうし、さらには自主憲法の制定、国防軍の創設と云った戦後の最重要課題も目前に横たわっています。
国防力の充実強化には更なる努力を願って止みません。

 他方、昨年安倍首相は真榊料は奉納されたものの私どもが渇望して止まない靖国神社への参拝は実現することが叶いませんでした。
国内外諸般の情勢から逡巡されたものと一応理解するところではありますが、参拝の是非はあくまで我が国の内政問題であるとの認識のもと、わだかまりなく首相の靖国参拝が継続的に実現され、天皇陛下のご親拝の途を開かれんことを期待するものであります。

 一方において我が国は少子高齢化による諸々の歪が顕著となりつつあり、また親殺し子殺しや無造作な殺人事件も後を絶たず、加えておれおれ詐欺など他人の善意に付け込むが如き事件も頻発している現在の社会風潮は、誠に憂うべき状況にあると申しても決して過言ではありません。

 これらは行き過ぎた個人主義の偏重これによる家庭主義の弱体化、金銭至上主義による弊害などが原因の一つとして挙げられましょうが、そのためにも教育の充実強化は喫緊の最重要課題であります。

 幸い近年において道徳教育の重要性が指摘され、その教科化が図られつつあり、また歴史教育において日本史の必修が叫ばのれるなど逐次改善の実を挙げているのは誠に喜ばしい限りであります。
教育の充実こそが国家百年の計、我が国将来の礎であることに想いを致し、更なる前進を期待するものであります。

 昨年末にわかに衆議院の解散総選挙が実施されることとなりました。

 本年は新たな政権、新たな政治体制の下で我が国は船出することとなります。
内憂外患ともに厳しい情勢ではありますが、新政権にあっても日本の針路のかじ取りを誤ることなく国政万般にわたって精進されることを期待するものであります。

 日本郷友連盟は創設以来、国防思想の普及・英霊の顕彰・歴史伝統の継承助長を柱として愚直に活動を継続して参りました。
本年は終戦七十周年の節目の年に当たります。
戦後の長い期継続的に間を通じての連盟の活動が些少なりとも我が国の発展に寄与し得たとするならば望外の幸せと申すべきでありましょう。

 本年若干の態勢変更はありますが連盟は引き続き従来の活動を継続推進して参る所存であります。

 関係各位のご支援ご協力を切にお願い申し上げ新年の御挨拶といたします。



          日本郷友連盟 平成26年度定時総会 式辞

 薫風爽やかな本日、ここに木原防衛大臣政務官殿をはじめ内外多数のご来賓のご臨席を賜り、また全国各地から多くの会員のご参集を得て、平成二十六年度一般社団法人日本郷友連盟の通常総会を挙行出来ますことは誠に喜ばしく関係各位に対しまして心から厚く御礼申し上げる次第であります。

 先ずもって昨年十二月天皇陛下におかせられましては目出度く傘寿をお迎えあそばされ、また本年十月には皇后陛下も傘寿をお迎えあそばされます。
加えて本年はご成婚五十五周年の節目にあたられます。
誠に悦ばしき限りであり、天皇皇后両陛下をはじめ皇室皆様の今後ますますの弥栄ご繁栄を衷心よりご祈念申し上げたいと存じます。

 また今日只今、この時においても遠くアフリカやインド洋をはじめ世界各地において、また近年特に波風の高い我が国周辺海空域、さらには日本全国各地において黙々として崇高かつ苛酷な任務に従事されている陸海空自衛隊員の皆様のご活躍ご奮闘ご精進に対し深甚なる敬意と謝意を表するものであります。

 さらにはお国のため尊い命を捧げられた二百四十六万余柱の御英霊の御霊ならびに千七百余柱の殉職自衛隊員の御柱に対しまして深甚なる敬虔の誠を捧げたいと存じます。

 さて、日本郷友連盟は昭和三十年に日本戦友団体連合会として結成され、翌三十一年には防衛庁を監督官庁とする社団法人日本郷友連盟として認可され、爾来今日まで幾多の変遷をたどりながら現在の一般社団法人へと移行して参りました。

 当初は文字通り軍歴関係者主体の団体でありましたが、現在は時代の変化に伴って経歴に拘らず志を同じくする者を広く結集した国民運動団体として今日に至っております。

 この間、連盟は終始一貫揺るぐことなく国防思想の普及、英霊の顕彰、歴史伝統の継承助長を三本柱として誇りある日本の再生のために活動を継続推進して参りました。

 この半世紀以上に亘る間、全国各地において弛まぬ活躍を続けてこられた先輩の会員各位のご努力に対し満腔の敬意を表しますとともに、私どもの活動を形而上下にわたってご支援いただいております関係各位に対しまして心から厚くお礼申し上げます。

 さて、現下の国際情勢は大規模な戦争状態こそ生起していないものの、主としてアフリカ、中東の各地において政治的経済的、宗教的、民族的対立などの理由による局地的紛争は後を絶たず国連や米国の影響力の低下、ロシア、中国の台頭などの国際パワーバランスの変化とも相まって局地紛争はむしろ増加傾向にあると云っても過言ではありません。

 アジアにおいても、南シナ海における中国とアセアン諸国との間の領土的資源的確執はますます増大傾向にあり、予断を許さないものがあります。

 我が国周辺にあっても東シナ海、特に尖閣諸島付近における中国の不法不当な言動は目に余るものがあり、また韓国による竹島やロシアによる北方四島など我が国固有領土における不法占拠状態も継続しており、さらには北朝鮮による核ミサイルの開発保有、拉致被害者救出の未解決など独立国家日本にとって看過し得ない由々しき問題が横たわっております。

 さらには国際テロやサイバー攻撃などが新たな脅威リスクとなっており、今後の世界情勢アジア情勢は正に混とんとして不安定な状況が継続すると予想されます。

 一方国内にあっては、安倍政権の実現によって政治的経済的にはやや改善傾向にあり、また今から六年後の二〇二〇年東京オリンピック開催の決定もあり、未来に向けてやや明るい兆しが見え始めてきたことは同慶の至りであります。

 特に国防問題については日本版NSCとも云うべき国家安全保障戦略会議の設置、特定秘密保護法の制定、国防の基本方針に代わる国家安全保障戦略の策定、新たな防衛計画の大綱の制定、防衛力整備五ヵ年計画の改定あるいは防衛装備移転三原則の制定などなど精力的に具現化し、また継続して低下傾向にあった国防予算を僅かずつではありますが増加させる等、正に見るべき成果を挙げられ、さらには懸案であった集団的自衛権の解釈の変更、日米安保体制の強化のための日米ガイドラインの改定などに意欲的に取り組んでいることは我が国にとって誠に喜ばしい限りであります。

 安倍総理はまた昨年末公約通り靖国神社に参拝されるとともに、例大祭等には真榊料を奉納され、英霊に対する尊崇の念を表されました。
中国や韓国の内政干渉とも云うべき非難中傷にも動じることなく毅然としてなされた行動は一国の総理として当然とはいえ深い敬意を表したいと存じます。

 願わくば是非この方針を継続して頂き、天皇御親拝の途を啓かれるよう期待するものであります。

 然しながら一方において、東日本大震災や原発事故の復旧復興は依然として不十分でなお一層の努力を傾注することが望まれますし、必然的な少子高齢化対策、自殺者や凶悪犯罪の増加などへの対策もより重要であります。

 加えて公より個を重視する思想の偏重や良き家族制度を崩壊するが如き各種政策の是正、とりわけ我が国の未来を形成する歴史教育や道徳教育の重視など誇りある日本の再生に向けて私どもは一層の努力精進を重ねることが肝要と思う次第であります。

 そのためにも憲法改正こそ我々が今後最も重視して対応する根本的かつ喫緊の国民的課題であると考えます。

 連盟は設立以来自主憲法の制定を強く標榜して参りましたが、近年憲法改正の機運がより増大し内容や改正時期など具体的に進展していることは我が意を得たりの感を強くするものであります。是非近い将来において憲法が改正され、そして国防軍が創設され、文字通り戦後体制を収束しうるよう期待するものであります。

 日本郷友連盟は微力ながらこれら諸問題に真摯に向き合い、日本の輝かしい未来に貢献すべく今後とも全力を傾注して参る所存であります。

 関係各位におかれましては、従来にも増してより一層のご支援ご協力を賜らんことをお願い申し上げる次第であります。

 終わりに重ねて本日の式典に錦上花を添えて頂いたことに感謝申し上げ式辞といたします。

      平成二十六年(皇紀二千六百七十四年)五月二十三日
                   一般社団法人日本郷友連盟会長    寺島泰三



         
平成二十六年 年頭の辞 

                         日本郷友連盟 会長 寺島 泰三

 明けましておめでとうございます。
 輝かしい平成二十六年、皇紀二千六百七十四年の新春を迎えるに当たり謹んで初春のお慶びを申し上げます。

 先ずもって私ども日本国民に対しあまねく慈しみを与えて下さっております天皇皇后両陛下をはじめ皇室皆様方の本年もお変わりなきご繁栄弥栄を祈念申し上げたいと存じます。

 また海賊対処のためソマリア沖やアデン湾で、さらには国連のPKOの一員として南スーダンにおいて祖国を遠く離れ苛酷な条件下で任務を遂行され、そして昨年末よりはフィリピンのレイテ島等において千名を超える規模で災害救援に従事されている陸海空自衛官の皆様に対し、さらには尖閣列島をはじめ我が国周辺地域において、そして伊豆大島をはじめ国内の災害派遣や訓練等日夜黙々として任務遂行のため活躍を頂いている皆様に対し心から深甚の敬意と感謝を申し上げます。

 さて昨年は世界の多くの国々において指導者の交代が行われ新たな世界の体制の構築も期待されたのでありますが、シリア、イランをはじめ主としてアフリカ中近東地域において宗教的、歴史的、領土的、あるいは政治経済的な要因による紛争や衝突は後を絶たず、むしろより尖鋭化激化している現状にあり、加えて米国の国際的指導力の陰りあるいは中国、ロシアなどの国際影響力の増大等もあって国際情勢はますます混沌として将来を見通すことが困難となっております。

 一方我が国周辺地域、特に東アジアにおいてはますます緊張の度が増大しつつあります。すなわち中国においては新たに国家主席に就任した習近平政権は増強の著しい軍事力を背景に我が国をはじめ近隣諸国に対し傍若無人とも云うべき威圧外交、軍事的恫喝を繰り返しており、特に昨年十一月末には我が国固有領土である尖閣列島上空を含む広大な空域に独断で防空識別圏を拡大し日米両国をはじめ周辺諸国との間に緊張を増大しておりますことは、誠に一方的かつ理不尽な行為であり、断じて看過出来ないことであります。

 また韓国においては朴槿恵大統領が誕生し、新たな日韓関係も期待されたのでありますが、朴大統領は就任直後から日韓併合などの歴史問題やいわゆる慰安婦問題などを殊更誇張非難し続けており、日韓関係はむしろ悪化傾向をたどっていると申しても過言ではない現状にあります。

 他方、北朝鮮は依然として核ミサイルの開発に積極的であり周辺諸国に緊張をもたらしておるなど、我が国周辺の情勢はまさに混沌としております。

 このような情勢、特に緊張した極東東アジア情勢は本年も継続されるであろうと推察されます。我が国としてもかかる緊迫した状況のなか国益を見据えた毅然とした対応が望まれます。

 一方国内に目を転じますと、昨年は伊勢神宮と出雲大社の式年遷宮や富士山の世界遺産登録など日本の歴史伝統の重さを感じた年でありましたし、さらには二〇二〇年東京オリンピックが決定し未来へ夢を繋ぐ記念すべき年となりました。
 また一昨年末安倍政権が誕生してから今日まで約一年が経過しましたがこの間の我が国の変化は目を見張るものがあります。

 いわゆるアベノミクスによる経済の再生は各方面に活況を呈し、政治的には衆参両院においての多数を背景に決められる政治を着実に実行に移しつつあり、日本全体に明るさと活気が見られるようになりましたことは誠に喜ばしいことでありました。

 国防安全保障に関しても昨年末には懸案のいわゆる国家安全保障会議設置法および特定秘密保護法が制定され、さらには防衛計画の大綱の見直し、中期防衛力整備計画の策定等今後の国防安全保障の基本的方向を明確にされ、さらに平成二十六年度防衛関係費は昨年に引き続き増額されるなどまさに決める政治を実行されたことは画期的なことでありました。

 しかしながら防衛安保関連の懸案事項はいまだ山積しており今後なお一層の努力が望まれましょう。

 すなわち集団的自衛権の解釈の変更、国際平和協力活動における武器使用権限の拡大、日米安保ガイドラインの改定による日米安保体制の強化など等閑に出来ない喫緊の課題が多く存在しているのであります。

 また、国際環境や我が国周辺情勢の変化によって任務が拡大され多忙を極めているにも拘らず、これに見合う自衛隊員の処遇問題は必ずしも十分とは言えず乖離が見られるのは残念であります。

 さらにに申せばその後には憲法の改正、国防軍の創設といった戦後最大最重要の課題が横たわっております。

 安倍政権の国防安全保障に対する態度には大いに評価するものでありますがさらなる躍進を期待して止みません。

 安倍総理は前政権時靖国神社に参拝しなかったことは痛恨の極みだと述懐されました。しかしながら就任以来昨年秋の例大祭まで靖国神社への参拝をなされていないのは諸般の事情があるとはいえ甚だ残念に思います。

 祖国のために尊い命を捧げられた英霊の御霊に尊崇の念を抱き、敬虔の誠を捧げるのは国家国民として当然の義務であり世界の常識であります。一部の近隣諸国の非難中傷を恐れることなく、今年こそ毅然として参拝を頂き、天皇陛下のご親拝の道を啓いて頂くよう切望するものであります。

 さて昨今の社会風潮を見るとき人間として誠に嘆かわしい状況に愕然とするものを覚えます。

 すなわち、軽率な殺人などの悪質犯罪や老齢に付け込む経済犯罪の増加、三万人を超える自殺者、青少年に見る風紀の紊乱、あるいは家庭破壊を企図しているが如き諸施策の数々など、日本民族の誇りが見失われつつあるように思われてなりません。

 そのためには教育の再生が最も肝要と考えます。現政権も歴史教育や道徳教育について関心を高め種々施策されていますがいまだ十分とは言えず、さらなる前進を期待して止みません。

 日本郷友連盟は創設以来五十有余年、終始一貫自主憲法の制定、国防軍の創設を提唱し、国防思想の普及、英霊の顕彰および歴史伝統の継承助長を柱とし、「誇りある日本の再生」を目指して活動を継続して参りました。

 この一年我が国の状況はようやく連盟の期待する方向へ進みつつあるように感じられます。

 本年も多難な年と思われますが、連盟は自信を持って引き続き従来にも増した活動を継続して参る所存であります。

 会員をはじめ関係各位の本年のご健勝を祈念いたしますとともに連盟に対する変わらぬご支援ご協力を切にお願いし、新年のご挨拶といたします。



          日本郷友連盟 平成25年度定時総会 式辞

 本日ここに佐藤防衛大臣政務官を始め、多くのご来賓のご臨席を賜り、また全国各地から会員多数のご参集を得て、平成二十五年一般社団法人日本郷友連盟の総会を挙行出来ますことは誠に喜ばしく、関係各位に対しまして心から厚く御礼申しあげる次第であります。

 先ずもって畏くも天皇陛下におかせられましては本年十二月傘寿をお迎えあそばされます。
誠に悦ばしい限りであり国民挙って慶賀申し上げますとともに御皇族皆様のますますのご繁栄、弥栄をご祈念申し上げたいと存じます。

 また、今日只今この時においても我が国の安全保障国防のため、国内外において厳しい環境下にあって黙々として苛酷な任務に従事されている陸海空自衛隊員の皆様のご精進ご苦労に対しまして深甚なる敬意と感謝の念を表するものであります。

 さらに祖国日本のために尊い命を捧げられた二百四十六万余柱の英霊の御霊および千七百余柱の殉職自衛隊員の御霊に心から敬虔の誠を捧げるものであります。

 さて、連盟は昭和三十一年内閣総理大臣認可の社団法人として発足以来五十有余年、幾多の変遷を経て今日の一般社団法人移行に至るまで「誇りある日本の再生」を旗印に終始一貫国防思想の普及、英霊の顕彰及び歴史・伝統の継承助長を活動の根本精神として各地において活動を継続して参りました。

 創設当初の会員はそのほとんどが旧陸海軍軍人経験者で構成されていましたが、逐次志を同じくする者の国民運動団体として進化を重ね今日に至っております。
 この間における防衛省はじめ関係各方面からの絶えざるご支援ご協力に対しまして厚く御礼申しあげる次第であります。
 また創設以来献身的に連盟の活動に尽くして来られた多くの会員の皆様のご努力ご精進に対し、深甚なる敬意と心からの感謝を申し上げます。

 さて皆様ご承知のとおり昨年十二月民主党から自由民主党へと政権が交代し、新たに再び安部晋三総理の登場となりました。
それから僅か半年でありますが我が国の状況は劇的に変化しつつあるように感じられます。
すなわち「誇りある日本を取り戻そう」をモットーに高い支持率を背景にいわゆるアベノミクス効果で停滞傾向の長かった日本の経済を活性化させ、防衛問題に関しても十数年ぶりに防衛関係費を増額し、さらに防衛計画の大綱や日米防衛ガイドラインの見直し、日本版NSCの創設さらには集団的自衛権の見直しなど次々に新しい施策を打ち出しているのは当然のこととはいえ誠に悦ばしい限りであります。
更には教育問題に関してもいじめの解消や教育委員会制度の改革、学力向上施策など将来に向けての有効な施策を推進され、我が国将来の国力の増進を図られていることなどご同慶の至りであります。

 本年春の靖国神社の例大祭には安部内閣総理大臣から真榊が奉納されるとともに麻生副総理をはじめ四人の閣僚が靖国神社に参拝されたのは画期的なことでありました。
望むべくはなるべく近い将来に近隣諸国の謂れなき非難中傷に怯むことなく総理大臣自ら参拝して頂けるようそして天皇陛下の御親拝への道を開かれるよう期待したいと思います。

 連盟はまた創設以来一貫して「自主憲法の制定、国軍の創設」を標榜して参りました。
昨今俄かに憲法改正の機運が盛り上がり、各方面から改正案が提案され、また憲法第九十六条の改正など具体的議論がなされ始めたのは当然のこととはいえ将来の我が国の行く末にとって極めて有意義なことと思います。
願わくばなるべく早期に憲法改正が実現し、占領憲法の汚名を払拭し、真に日本国民自身の手による日本国憲法の制定を切に望むものであります。

 しかしながら一方我が国周辺においては、膨張を続ける軍事力を背景に我が南西諸島特に尖閣列島周辺において執拗かつ傍若無人に活動を継続している中国海軍力の跳梁跋扈、また核ミサイル発射を匂わせ恫喝を繰り返す北朝鮮の動き、さらには近年とみに活発かつ増加傾向にある極東ロシア軍航空機の活動など我が国の安全保障上由々しき状況が出現継続しておりますことは誠に遺憾と云わざるを得ません。
 また、我が国固有の領土である北方四島、竹島問題あるいは北朝鮮による拉致問題など我が国の国益を害している課題も未解決のままに終始しているのは甚だ残念なことであります。

 もとよりこれらの問題は一朝一夕に解決できるものではありませんが我が国の国益を維持しつつ毅然として粘り強く解決の道筋を開かれるよう期待して止みません。

 我が国の現状は決める政治の出現によってやや明るい兆しが見えてきた感がありますが、懸案事項はまだまだ山積しておりその解決には日本国民の覚悟のほどが必要であります。

 東日本大震災の復旧復興も各方面の努力により逐次進捗しているものの未だ道のりは遠いものがあり、また我が国にとって極めて重要な原発問題の解決に関しても国家としての意思決定が見られておりません。

 軍事的にはさらなる防衛力の増強のほか、集団的自衛権の解釈問題、恒久法の制定、武器使用権限の拡大、日米安保体制の深化などなど早急な解決が望まれるところであります。

 またいわゆる東京裁判史観に害された誤まった歴史認識の払拭改善、欠如している公共心道徳心の涵養など解決すべき課題は枚挙に暇がありません。

 かかる我が国の現状を考えるとき、連盟の活動は従来にも増して重要であると考えております。
もとより日本郷友連盟は微力ではありますが今後とも日本の未来のため、日本人の若者の将来のために精進を重ねたいと決意を新たにするものであります。
今後とも我が日本郷友連盟に対し温かいご支援を賜りますようお願い申し上げ、かつ会員の一層の精進努力をご期待申し上げ式辞といたします。

                             平成二十五年五月二十二日
                                 一般社団法人日本郷友連盟
                                             会長  寺島泰三


               


         平成二十五年 年頭の辞

                         日本郷友連盟  会長 寺島 泰三
 

 明けましておめでとうございます。
 平成二十五年(皇紀二千六百七十三年)の輝かしい新春を迎えるにあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 先ずもって本年12月には目出度く傘寿をお迎えあそばされます天皇陛下を初め、皇室の皆々様の弥栄ご繁栄を心からご祈念申し上げたいと存じます。

 また、国内外において昼夜を分かたず日本の平和と安定のためご苦労を頂いておる陸海空の自衛隊員の皆様のご活躍ご精進に対し、深甚なる敬意と感謝を申し上げるものであります。

 さて、日本郷友連盟は昨年4月、一般社団法人の認可を得て、新たなスタートを切ったのでありますが、各県郷友会及び会員皆様のご支援ご協力により円滑に移行し、引き続き従来からの活動も継続推進することが出来ました。ここに関係各位に対し改めて厚く御礼申し上げる次第であります。

昨年を振り返りますとは国際的にも国内的にも多くの課題が解決されず、ストレスのたまったと云える一年でありました。

 即ち、国際的にはイランの核開発容疑、パレスチナ問題、民族的、宗教的紛争の絶えないアフガンやアフリカ情勢さらには欧州を初め世界的な経済の混乱などなど世界情勢は正に混沌として先の見え難い状況であったと云えましょう。

 一方、国内にあっては大いなる論争を巻き起こした消費税法案は辛うじて何とか成立したものの、東日本大震災の復旧復興は遅々として進まず、また政治的な対立混乱によって解決すべき多くの課題の殆どが未解決のまま無為に過ぎたことは我が国の現在及び将来にとって甚だ残念なことでありました。

 加えて我が国周辺においては、メドベージェフロシア首相の我が北方四島への訪問、8月には李明博韓国大統領の我が国固有の領土竹島への不法不当な上陸や、さらには私どもが等しく敬愛して止まない天皇陛下に対する非常識な侮蔑的暴言もあり、国民を大いに憤激させたのでありました。

 更に南方海域においては我が固有の領土である尖閣列島周辺において中国の艦船が連日不当な遊弋を執拗に繰り返し、時折は我が領海を侵犯するなどその理不尽な行動は甚だ遺憾と云わざるを得ません。

 しかし、これらの我が国周辺の事象を通じて私ども日本国民は改めて国家、国益や領土領海等について思いを強くさせられ、従来のような曖昧な対応でなく、毅然とした態度で事に処することの重要性を認識させられたのでありました。

 さて、昨年から今年にかけてロシアにおいてはプーチン氏が再度大統領に選任され、米国においてはオバマ大統領が再選、中国にあっては新たに習近平氏が中国共産党総書記に就任、さらには韓国大統領の交代など、我が国に影響大なる各国首脳の顔ぶれが大きく変動しました。

 日中及び日韓関係が必ずしも良好と云えない今日、これら首脳の交代が今後国際社会或いは我が国にとっていかなる影響変化をもたらすか慎重に注視する必要がありましょう。

 一方我が国においても3年余続いた民主党政権が終りを告げ、新たな政権が発足いたしました。
閉塞気味であった我が国の政治経済や外交安全保障問題、混迷の度を深くしつつある教育や社会問題など正に懸案は山積していますが、戦後レジュームから脱却し、美しい日本を取り戻すよう蛮勇を奮って対応するよう新政権には強く望みたいと思います。

なかでも国防力の充実は喫緊の課題の一つであります。
 この23年間に30倍に膨張した中国の軍事力の増強と飽くなき海洋進出の状況、国際的非難を浴びつつも核ミサイルの開発を推進する北朝鮮などは我が国の国防にとって正に重大関心事であります。

 しかしながら我が国の防衛関係費は年々減少を余儀なくされ、二十五年度予算も対前年度1.3%減の要求に過ぎず甚だ残念と云わざるを得ません。

 また、集団的自衛権の解釈の問題、国際活動における武器使用の条件の緩和、恒久法の制定、自衛官の処遇なども早急に解決すべき課題であります。
 我が信頼すべき自衛隊が事に臨んで真にその実力を発揮し得るるよう格段の充実向上を強く望むものであります。

 連盟はまた、創設以来英霊の顕彰を主たる活動の柱として参りましたが、近年六代にわたって総理大臣の靖国神社参拝が途絶えているのは甚だ遺憾であります。
およそお国のために尊い命を捧げられた英霊に対し敬虔の誠を捧げるのは近代文明国家として当然の責務であります。
心なき周辺国の内政干渉とも云うべき非難に拘泥することなく、今年こそは毅然として実現されるよう新首相には大いに期待したいと思います。

 我が国は戦後68年驚異的復興を遂げ今日に至っておりますが、昨今の社会的風潮を見るとき、日本の良さ、美しさ、日本人として残すべき文化伝統などがだんだん薄れつつあるように見受けられるのは残念に思います。
 しかも夫婦別姓に見るような家族制度の崩壊や誤れる男女共同参画、人権擁護法、外国人地方参政権問題など却って望ましくない方向へ向かっているのではないかと危惧するものであります。

 私どもは今一度温故知新、原点に立ち返って我が国の良き歴史伝統を継承助長することが大切であります。
 そのためにこそ歴史教育、道徳教育が重視されなければなりません。
所謂東京裁判史観を払拭して正しい歴史観を保持し、また占領軍によって廃止された教育勅語の精神を再起することが肝要ではなかろうかと思料するものであります。

 然しながら我が国として是正すべき根幹の最たるものは憲法でありましょう。
 連盟は創設以来自主憲法の制定を標榜して参りました。
最近憲法改正の動きがやや燭光が見えつつあるように見受けられるのは喜ばしいことでありますが、本年はこの動きがより加速するよう強く望むものであります。

 本年は十干十二支によれば「癸巳」(みずのとみ)に当たります。一説によればこの年は暗流を意味し、何か異常な状況が全体的に漂う一年とも云われており、波乱も予想されます。

 しかし、如何なる年であろうとも私どもは将来に希望を忘れず、初心に立ち返り、誇りある日本の再生のため引き続き精進を重ねたいと考えるものであります。

 会員皆様の一層の奮励奮闘を期待申し上げ、新年の御挨拶といたします。
  


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