郷 友 歌 壇


 令和4年 7・8月号より  
 ウクライナ 沖縄戦と重なりて 先祖の無念 図りて咽ぶ 港区   宝珠山 昇
 同盟の 強化が緊要 自主自立の 日本を子孫に つなぎ伝えむ
 戦雲の 陰鬱覆う ウクライナ 平和の光 世界が渇望  福井市   橋詰 見世
 突然に 降りくる砲弾 炸裂し 高層住宅 もろくも崩る 
 ひさびさに 娘(こ)の住む町を 尋ぬれば 孫の合格 春の日うれし 横浜市   川田 眞佐子
 卯の花の 真白き花の 咲く様に 年年歳歳 鏡を眺む
 昔より 小地獄といふ 岩山と 杉の根生ふる 道歩くは辛し  川崎市   佐瀬 洋子
 妻と子を 今生の別れと 覚悟して 列車見送る 父の目に涙 
 地方紙に わが人生が 記事となり メールや電話 もらひて嬉しき 町田市   中里 真二
 うぐいすが 今年も春を 告げにきた さえずり嬉し 半袖を着る
 肌寒の 梅雨の走りか 長袖を着込んで 今日も川辺のウォーク 町田市   永野 節雄
 昼飯に レトルト冷凍 焼き飯と 便利なるチン 風情なけれど
 テレビにて 惨状傍観 ぬくぬくと 現地は零下 戦場の街 草加市   勝木 俊知
 春の花 絢欄豪華に 咲き誇り 吾がスマホの 初撮り写真
 こちら向き 笑顔のラッパ ささやきて 赤白まだらの 合唱大会 豊島区   橋本 孝一
 クローバの 白き花々 群れて咲き やわき木漏れ日 ちらちらゆるる 選者   安元 百合子
 春の風 吹くともなしに 桜花 ひらりと舞ひて 音もなく散る

 令和4年 5・6月号より  
 起きて待つ 二十四時間 ベットの上 夜明け恋しや コロナに感染 豊島区   橋本 孝一
 病み上がり 辿り着きたる 久遠寺に 法要参向 みつまたの花
 ウクライナ 衆愚政治が 招きしか わが家日本の 戸締り尋ぬ 港区   宝珠山 昇
 スノーボード 歩夢二刀流 金メダル 小さ き頃の 夢を叶えし
 春を待つ ウクライナ国 国民の 愛国心に依りて 生き延ぶ 福井市   橋詰 見世
 世界から 非難されても プーチンを 支持する国民 悲しからずや
 折れそうな 心を隠す 吾にして 優しき言葉に 涙止まらず 横浜市   川田 眞佐子
 バスを降り 夜空に冴ゆる 上弦の 月と並びて 家路をたどる
 八朔を むきていただく この時期は 酸い実を好みし 祖父を想ひぬ 川崎市   佐瀬 洋子
 当たり前と 思ふいつもの 一日を 今日も過ごせる ことに感謝す
 夢に見し 孫の運転 助手席に 乗せて貰ひて 車窓楽しむ 町田市  中里 真二
 水ぬるみ 別るる人と 来る人の 寂しくもあり 期待もありて
 ビル影に 遠望消えし 富士見坂 街路の並木は 春の気配が 町田市   永野 節雄
 親木より 一足早く 芽吹きする 春の気配の 寄生木の群れ
 紅白の 梅咲きみちて さ庭辺を 風運びゆく 季節の香り 草加市   勝木 俊知
 亡き父の 愛でし鉢植えの 君子蘭 五十年過ぎても 葉はつややかに
 2の文字が 六つ重なる 日にあれば 今日はスーパー 猫の日なりとふ 選者   安元 百合子
 名刺もつ 用なくなりて 時たちぬ 思い出と共に 始末なし終ゆ

 令和4年 3・4月号より  
 除夜の鐘 聞こゆることの なくなりて はや幾年ぞ 風情なき年越し 草加市   勝木 俊知
 贈られし 地酒お屠蘇に 元日の 膳に感謝 し 友を偲びぬ
 大根を 初めて引き抜き やわらかな 葉っぱをたべて あまさに驚く 豊島区   橋本 孝一
 西新井 出店にぎやか 七五三 団子を食べ て 総持寺散歩す
 「オイミャコン」 世界でいちばん 寒い村 コロナの菌も 瞬時に凍る 港区   宝珠山 昇
 それぞれの 人生背負いし 人々が 出会い行き交う 東京駅
 米国の 信頼失墜 バイデンの 施策ことごと 裏目にい出て 福井市   橋詰 見世
 聞く力 ・見通す力 ・説く力 三力欲し い 上に立つ人
 多摩川の 清き流れに 新酒干す 深まる秋に 杉玉みどり  横浜市   川田 眞佐子
 紅をさす マスクの下の 唇が 少し華やぐ  初雪の朝 
 餅つきに 会社休みて 手伝いに 二十余年も 意気を感じる 町田市   中里 真二
 孫たちは 今年も活躍 餅つきに 確かな戦力 わが目尻下がる 
 元朝に コロナ祈願の 宮詣で 郷社の杜は 鎮まりてあり 町田市   永野 節雄
 正面に 初日上がりて 眩しけり 願いをこめて 初ウォーキング
 空青く 枝に光の 輝きて 令和の四年 穏やかに明けぬ  選者   安元 百合子
 子も孫も 曾孫も共に つどひ来て 正月ふつか 睦み賑はふ

 令和4年 1・2月号より  
 コロナ緩和 数か月ぶりの 外食で 乾杯のビール 歯に沁み通る 町田市  永野 節雄
 暖かく 風も吹かない 冬立つ朝 茜色に染む ウオークの道
 見上ぐれば 茜の空に 赤とんぼ 風に乗りつつ 家路を急ぐ 草加市   勝木 俊知
 ベランダの 鉢に朝夕 水をやり 「金のなる木」は 少し多めに
 風強し 望月冴える 海ほたる 街の火近づき 羽田に向かう 豊島区   橋本 孝一
 背信の ゾルゲと尾崎 国賊ぞ ふしぎふしぎの 多磨の霊園
 親宇宙 子供を産んで 孫ふやす 宇宙の営み 多重生産 港区   宝珠山 昇
 お歳より 若く見えると 和ませて 点滴針を ぐさっとさす主治医
 ネット右翼 危機感感じ 投票す マスゴミ倒す 自民の力 福井市   橋詰 見世
 大物の 議員落選 新人の 当選や良し 世代交代
 英霊に 捧げる軍歌 靖国の 舞台に並び たからかに歌ふ  横浜市   川田 眞佐子
 砂の音は 立ち止まらざり この歌を 続けることは 生きのあかしと 
 ネクタイの 着用時期は 嬉しけれ 思い出募る よきしめ具合 町田市   中里 真二
 那智の滝 轟音響かせ しぶき舞い その神力に 頭下がりぬ
 かがやきを ひときは増せる 夕日かげ 丹沢の山並み 照らして沈む  選者   安元 百合子
 落ち葉はき 箒休めて 見上ぐれば 山茶花赤く 咲きそめにけり

 令和3年 11・12月号より  
 パラ選手 順位をつけず それぞれに 苦労の道のり 讃える金を 町田市  中里 真二
 孫が来て 帰りも車の 一人旅 着きしとラ イン 届きて安堵す
 護岸壁 目地修復の 白目立ち 幾何学模様を 川面に映す 町田市  永野 節雄
 歩く我 ガイドするのか 黒トンボ 行くてひらひら 前に後に
 「自らの国は 自ら守れ」との 教訓残す アフガン撤退 草加市   勝木 俊知
 オリ・パラの 日本開催 成功す 与えし感動 永遠の宝に
 代々と 樅の木一本 そびえ立つ いまや百年 森の匂よ (明治神宮) 豊島区   橋本 孝一
 元帥の 顕彰絵画 一代記 T字戦法 杉野はいずこ (東郷神社)
 コロナ禍の なか鍛えし妙技 リモートで  善く観せし 東京オリ・パラ 港区   宝珠山 昇
 励まさる 失ったものを 数えるな 残されたものを 生かせの言葉
 優先に 恵まれワクチン 接種終え 久方ぶりに 古書店巡りす 福井市   橋詰 見世
 慎重に 泥取り除く 自衛官 雨降り止まぬ 土石流跡
 立秋の 秋といふ字は 涼しげに 現の天気は 猛暑日続く 横浜市   川田 眞佐子
 萩ふふみ 久方ぶりに 訪れし 鎌倉の街は 秋待つ風情
 「日本は 戦に勝ちし」 とふ書を 読みつつうべなふ 我が意をば得て 選者   安元 百合子
 焼けるよな 玉砂利踏みて 靖国に 詣できつれば 心安けし

 令和3年 9・10月号より  
 紫陽花の うへに降る雨 糸を描く 紡がれ し糸 細く切なく 横浜市  川田 眞佐子
 ひと時の お喋り終へて 沈黙す コーヒー カップの かをり楽しみ
 パソコンの 小さな顔に 挨拶す 反応なくて 戸惑い隠せず 町田市  中里 真二
 去年より 背が伸び過ぎし グロリオサ 花をカメラに 撮る人誉める
 コロナ禍を 吹き飛ばすような 二刀流 テ レビの前で どっしり過ごす 町田市  永野 節雄
 山津波 湯の町襲う 災害地 すさまじき様 まじまじと見る
 線状の 降水帯に 襲われし 河川見る間に 大河となりぬ 草加市   勝木 俊知
 七夕の 日光街道 松並木 聖火はリレーす 小雨降る中
 曲がり角 くちなし匂う 三年目 診察に通う ネフローゼ病み 豊島区   橋本 孝一
 三週間 禁煙せしのち 吸う煙草 けむり染み入る 元気な体
 ワクチンの 副反応を 気にしつつ 孫らと会えるを 楽しみ接種す 港区   宝珠山 昇
 故里の 真木の山並み 佇まい リモート墓参 我を励ます
 土石流 爪痕深く 熱海市の 惨状に見る 人の弱さよ 福井市   橋詰 見世
 川岸の 向こうに見えし 二階建て 突然落ちて 流されてゆく
 沖縄の 平和の礎に 詣できて 祖母と額づく 幼いとほし 選者   安元 百合子
 英霊と 称すはいくさの 賛美ぞと 批判なす輩 国民なりや

 令和3年 7・8月号より  
 実力を 持っていながら 自らの 手足縛り て 戦う愚かさ 福井市  橋詰 見世
 鯉のぼり 担ぎ遊べる 幼娘の 髪キラキラと 明日への光
 解除後に 日に日に増ゆる 感染者 オリンピックの 文字がかすみて 横浜市  川田 眞佐子
 夕暮れの 灯りがともる 汽車道に 薫る風吹き さざ波眺む
 新年度 かじ取り役を 任されて 五十六語録 肝に銘じる 町田市  中里 真二
 マジックの ネタ作りつつ 弟子たちの 驚き顔に 手もよく動き
 武相分ける 境川畔に 朝日さし 北帰忘れし 白鳥佇む 町田市  永野 節雄
 雨上がり 光る水溜まり 避けつつ 川辺の道を 朝のウオーク
 河川敷 火葬の炎 立ち上がり その数知れず 天をも焦がす 草加市   勝木 俊知
 おしゃべりで パーティー好きで 大家族 三密無縁 インドの社会
 ちびちびと ブラックコーヒー 飲みながら 通路のベンチに 溜息聞こゆ 豊島区   橋本 孝一
 病室は 寝返る音や 唸り声 たぬき寝入りと 我も従う
 子供らの 無病息災 成長の 願いを込めし サンケラの餅 港区   宝珠山 昇
 巣を襲う 蛇と闘う 燕たち 大きな羽音 鳴き声たてて
 トーチキス 終わりて 走者ゆっくりと 走りいだしぬ 五輪への道 選者   安元 百合子
 始まりし 聖火リレーの その果てに 五輪の炎 かすかにかすむ


 令和3年 5・6月号より  
 ウイズコロナ 冬眠したい アラエイティ 一都三県緊急事態 港区  宝珠山 昇
 戦中の 母らの労苦 偲ばるる 「青天を衝 け」 農事の場面
 生物戦たる 認識の無き 日本は 対応甘く  感染拡大 福井市  橋詰 見世
 国会で 接待問題 延々と 重要法案 先送り して
 自粛延び 冷たき雨の 一日を 雨垂れ数へ ひねもす過ごす 横浜市  川田 眞佐子
 日溜りに 寝転ぶ猫に 問ふてみる 今この時も 幸せなのかと
 孫たちが ひと春ごとに ひと回り 話すを聞きつつ 教へられたり 町田市  中里 真二
 御宿の つるし飾りの 魚たち ご当地自慢に 縫ひ上げられて
 春浅し 税金申告 窓口も 消毒液と マスク対策 町田市  永野 節雄
 コロナ禍は 蛍雪の儀式も 形変え 思い出残しつつ 生徒別れる
 富士の嶺に 雪降り積もり 久方に 冬の装い なぜか安堵す 草加市   勝木 俊知
 幼子の 語る笑顔に その母の 通訳ありて 暖かき午後
 男坂 難儀なりけり 七十路も 本堂めざす 十四回忌 豊島区   橋本 孝一
 時頼に 安国論を 諫言せし 三十九歳 日蓮上人
 風ぬるみ 陽のあたたかき 下り道 蝶の黒き影 ゆらゆら写る 選者   安元 百合子
 まんさくの 黄のかんざしの 花ひらく 春近づきし あはき陽のなか

 令和3年 3・4月号より  
 名残柿 叫びよろこぶ 鳥の群れ 師走の空に 大きく響く 豊島区  橋本 孝一
 平穏な 会食会合できる日の 早きを念じつつ 除夜の鐘聞く 港区  宝珠山 昇
 テレワーク テレ会合の 増えるなか 温も り感じる 年賀の葉書
 クリスマス グッズ華やか 玄関前 ミッキーマウスと ミニーのフィギュア 福井市  橋詰 見世
 隊員に 手合わせ感謝 せしと言う 亡母の言葉 心に重く
 小春日の 射し込む光 やはらかく 伸びゆく様を 日々に楽しむ 横浜市  川田 眞佐子
 雲の間の 気弱な冬の 陽を受けて 梅の蕾は やうやく膨らむ
 北風に 悲しき知らせ 運ばれて 心の奥に すきま風ふく 町田市  中里 真二
 餅つきに 親子孫たち 三代で それぞれ持ち場で 掛け声弾む
 七階の 病窓に眺める 丹沢の 山並み青く 秋色いまだし 町田市  永野 節雄
 柚子かおる ウォークあとの 浴槽に 小窓通して 朝日さしこむ
 去年今年 分かつ厳かな 除夜の鐘 淑気みなぎる 月影の庭 草加市   勝木 俊知
 雪しまく 故郷遠く 雪害の 無きこと祈る 初詣にて
 さくら葉の もみぢ美し 喪をしらす 葉書の一号 秋は深みて 選者   安元 百合子
 子も孫も お正月は 我が家でと メールの届く コロナ禍の暮れ


 令和3年 1・2月号より  
 木枯らしの 一番すさぶ 碧空に 欅の大樹 黄金葉降らす 草加市  勝木 俊知
 荒海の 越前漁港 想いつつ 独りの夕餉 蟹解禁の日
 おぼろなる 記憶めざめる 石畳 部落の賑わい 今はまぼろし 豊島区  橋本 孝一
 つる伸ばし 風船カズラ あちこちに 緑の風船 茶色の風船
 電卓の 太陽電池 寿命尽き 算盤出して 若き日思う 港区  宝珠山 昇
 大動脈 解離で手術し 杖ついて 園児の遊戯 ながめて散歩す
 ハローウインは 満月煌々 世を照らし 死霊の復活 かなわぬ夕べ 福井市  橋詰 見世
 十三夜 月昇りくる 夕空に すすきの穂叢 手招きをする
 多摩川の 流れを変へる 取水堰 利器なき時代の 苦労偲ばる 横浜市  川田 眞佐子
 暖かき 部屋でくつろぎ テレビ見る 木枯らし吹くを 聞いて驚く
 児童らの 稲刈り後の 田圃みて 見回り役の ひと夏をはる 町田市  中里 真二
 仮住まい 咲き続けたる 胡蝶蘭 ともに過ごしぬ 住めば都か
 連休に 帰る娘のため あがなひし メロンの甘さ 帰り来ぬ娘よ 選者   安元 百合子
 金色に 小花むれ咲く 木犀の 咲けるを見つつ その香をしのぶ

 令和2年 11・12月号より  
 マスクつけ 酷暑乗り越え 秋彼岸 季語も戸惑う コロナいつまで  町田市  永野 節雄
 右擦り傷 左は打ち身 躓いて 転び両膝 絆創膏貼る
 園児らの マスクとりどり 愛らしく 母の愛情 満ちる園庭 草加市  勝木 俊知
 国のため 命ささげし 英霊の 遺せし言葉 身を正し読む
 鳴く蝉は 疲れも知らず 無関心 熱中症と コロナ増えつつ 豊島区  橋本 孝一
 亀戸の 水面に群れる 亀と鯉 梅の種類と 朱の太鼓橋
 故郷の お墓の掃除 親戚に 頼み先祖に リ モート墓参 港区   宝珠山 昇
 過ぎし日の アルバムめくり 懐かしみ 若返りせし ステイホーム 
 手にあまる コロナ感染 熱中症 日ごと増 えゆく 酷暑と共に 福井市   橋詰 見世
 台風の 過ぎて広がる 澄んだ空 悲しいまでの 災害の痕
 暑き日に 総理辞任の 会見あり 国の行く末 憂ふる夕べ  横浜市  川田 眞佐子
 恐々と 出かけることの 違和感に 下向く気持ち 真上に向けて
 お日様を 恋しく思ひし 文月も 葉月になれば ひと雨欲しく 町田市  中里 真二
 ひところに 比べてみれば 健康に 皆のおかげと 思ふ待合室
 終戦日 靖国の宮に 詣で来る 人あなたなり 猛暑にめげず 選者   安元 百合子
ベランダに マスク十枚 干されをり コロナひろがる 町に生きつつ

 令和2年 9・10月号より  
 再開す 再会できる知らせあり 励みにな りて 喜びて詠む  町田市  中里 真二
 コロナ禍で 余暇に散歩も コース変へ 思はぬ景色 今日もわくわく
 梅雨晴れ間 川辺の道の 植え込みの 下草刈りて 雑草もすっきり 町田市  永野 節雄
 九州に 水害もたらせし 線状前線 関東への移行を 気遣い暮す
 ダム無くば 治水困難 暴れ川 ダムより人へが もたらす惨状 草加市  勝木 俊知
 天の川 眺めて将来 考えし 演習場の 深き闇にて
 木洩れ日を 地べたに這わせ 枝広げ 樹齢六百 影向の松  豊島区  橋本 孝一
 川面とぶ 燕のすがた 見えかくれ 五月雨ふりて 川面にえくぼ
 ステイホーム 戦中戦後の 祖父母らの 労 苦を偲び わが身をただす 港区   宝珠山 昇
 ぼんやりと 教科書照らす ホタル篭 大麦わらを 編んで作りし
 焼夷弾 降りそそぐ中 逃げ惑い 川に飛び込み 一命を得し 福井市   橋詰 見世 
 吾をねらい 機銃掃射す パイロット 白き歯を剥き ニッと笑みたり
 梅雨空の 雲間に見ゆる 青空は 咲く紫陽花の その色に似て 横浜市  川田 眞佐子
 コロナ禍で塗りつぶされしスケジュー ル手帳に並ぶ修正液の白
 「生ききる」 とふ言の葉に ふれ残されし わが人生に 思ひをはする 選者   安元 百合子
 西日受け 家路たどれば 影法師 長く伸びつつ 我をみちびく

  令和2年 7・8月号より
  手を伸ばし 目覚まし取りて 確かむる 今少し居る まどろみの刻 横浜市  川田 眞佐子
  この風に かほる花の香 望月の 光を受 けて 卯の花浮かぶ
  荷造りに 思い出つのり 手がとまる ひと月の猶予 残り少なし 町田市  中里 真二
  春眠の 暁知らせる お客様 まだ寝てるの と 小鳥さえずる
  ゆったりと 花筏流れ 岸辺には 菜の花黄に咲き いま盛りなり 町田市  永野 節雄
  春休み ゴールデンウイークも コロナ禍で 消えて蟄居の 学童哀れ
  鉄線花 壁よじ登り 白き八重 花咲き競う 斜陽に映えて 草加市  勝木 俊知
  コロナ鬱 菖蒲湯に入り 吹き飛ばせ 端午の節句だ 粽も食べて
  水仙と 菜の花 桜 咲きそろい 緑さやかな道 鴨川に向かう 豊島区  橋本 孝一
  傘寿過ぎ 重ねし月日に 思い閉じ あなたを忘れ 己も忘れ
  ステイホーム 「三密」避ける 孫からの 元気ですかの 電話になごむ 港区   宝珠山 昇
  小川から 水を汲みきて 風呂を焚く 手伝 いをせし 戦後懐かし
  現憲法 個人主義を 尊重し 強制力無く コロナ跋扈す 福井市  橋詰 見世
  緊急事態 宣言すれど 国民の 安心安全 守る鞭無く
  コロナにて 人の絶えたる 園に咲く 桜かなしも 咲きの盛りを 選者   安元 百合子
  百歳の 母のはぶりに 赤飯を 炊きしといふを 胸いたく聞く