郷 友 歌 壇


 令和6年 3・4月号より  
 久々に トラック運転 配送す 婿の代わりを 努めば懐かし 町田市  中里 真二
 懐かしの 能登が震災 正月に 朝市通り 煙たちこむ
 寝過ごして 初日間に合わず 元朝ウオーク 取りやめし 卒寿の春 町田市  永野 節雄
 新年に 能登地震に 羽田事故 テレビ見つめる 卒寿の春
 驚くは 世界が称賛 航空事故 379人 無事に脱出 福井市   橋詰 見世
 年賀状 突然途絶え 寂しくも 悲しくもあり 年の初めに
 小日向は 丸ノ内線 見下ろして ビルの合間に かすむ雪富士 豊島区   橋本 孝一
 じゃがいもは 枝葉を伸ばし 四尺なり どこまで伸びる 緑のツリー
 母往生 否応なしに 動くなり タロットの言ふ 運命の輪が 世田谷区  秋山 陽一郎
 世の中に まことの言葉 まれにあり 破れし恋も 時が癒すと
 行く年を 惜しみ撞かれる 除夜の鐘 地方の由緒や 優雅な音色 草加市    勝木 俊知
 念願の 北陸新幹線 開通す 土地の人々 喜び新た
 寒き日に 集ひ笑顔と 熱燗で 時を忘れて お喋り続く 横浜市    川田 眞佐子
 あと少し あと少しこの 温もりを 冷たき肩まで 布団引きあぐ
 優勝の 重圧を減らす 言の葉の アレを言い続け アレになりけり 川崎市    佐瀬 洋子
 黄金に 染まりしイチョウの 葉は落ちて 枝間に走る 風の冷たし

 令和6年 1・2月号より  
 雲間より やうやく見えし 名月のその大きさに 思はず息のむ  川崎市  佐瀬 洋子
 夏服を 急ぎ着替へて 長袖に 身を包み行く 慌ただしさよ
 痛くとも 予定をこなし 我慢せし 友の強さに 頭がさがる  町田市  中里 真二
 せせらぎを 肴に新酒で 語り合い 秋のひととき 至福の時間 
 本年も いろいろあった 来年は どうなるのかと 師走間近に  町田市  永野 節雄
 長々と 夏日続いた 暑さ去り 短き秋に はや冬の気配  
 英国の 二枚舌より 生まれたる ガザの紛争 根深き歴史 福井市   橋詰 見世
 宗教の 対立からむ 諍いは 人道無視し 悲惨をきわむ 
 車窓より 日本列島 眺むれば 曼珠沙華赤し 田んぼに土手に 豊島区   橋本 孝一
 神無月 下旬になりても まだ開く 猛暑をかはし 朝顔の咲く
 源流の 酒蔵訪ね 利き酒し 谷の紅葉か 頬の紅葉か  世田谷区  秋山 陽一郎
 蒸す風の 立秋の日に 半袖で 歳暮の品の カタログめくる
 楽しみは 映画に音楽 短歌つくり 生きているこそ 幸福にして 草加市    勝木 俊知
 五回目の コロナワクチン 接種終え 我が身安全 安堵の吐息
 雨上がり 朝の陽射しに 立ちのぼる アスファルトの匂ひ 深く吸い込む  横浜市    川田 眞佐子
 陽が落ちて 帰路にただよふ 木犀の 香りを探し この秋見上ぐ 
 天高く 澄みわたりたる 秋空に 櫨の紅葉が わずかにゆらぐ 選者   安元 百合子 
 暖房もなき ベッドに眠る 新生児 医師も術なく 死を待つのみと

 令和5年 11・12月号より  
 コロナ終へ みたままつりの 賑はひて 献灯の前に 笑顔の集ふ   横浜市  川田 眞佐子 
 夕立の 激しき雨の そののちに 吹く風涼し 猛暑日の午後
 セーヌ河 凱旋門に エッフェル塔 観光地に湧く 五輪に期待 川崎市  佐瀬 洋子
 時刻む 鐘の音響く 小江戸町 蔵造りに見る 当時の面影
 子と孫で 快気の祝い 笑いあり 病吹き飛び 夜更け忘るる 町田市  中里 真二
 猛暑日に 涼を求めし 喫茶店 扇風機持ち 注文を聞く
 朝日影 日増しに伸びて ウオークの 夏の姿も 秋の気配へ 町田市  永野 節雄
 川べりの 叢すべてなぎ倒し 豪雨禍の跡 すさまじきかな
 折り鶴が 虚しき戦場 ウクライナ 子供さらわれし 母の心情 福井市   橋詰 見世
 天高く 澄みわたりたる 碧空に 飛行機雲伸ぶ 希望を乗せて
 鉢植えや 路地の草花に 水をやる 水がほしいか 元気になれと 豊島区   橋本 孝一
 行楽地 思い馳せたる 賑わいは じっと我慢と 試練の運転
 こおろぎか はた鈴虫か 判じ合ふ 酒家の縁台 秋のぬる燗 世田谷区  秋山 陽一郎
 秋の四時 まだ夜空なり 東南に 輝くオリオン 冬の先触れ
 呆け防止 何かせねばと 思いしに つい寝落ちして 夢の旅路に 草加市    勝木 俊知
 秋の虫 生きていたかと この炎暑 か細き声に 勇気づけらる
 日本は 戦いに勝ちしとふ 書を読みつつ うべなふ我が 意をば得て 選者   安元 百合子 
 日本は アジア開放を 志し戦ひたりしと ストークス氏述ぶる

 令和5年 9・10月号より  
 繰り返す 豪雨災害 悔しくも 人知を超える 規模で発生 草加市   勝木 俊知
 世を眺め 国を想いて 過ごす日々 休まる暮らし 天に感謝し
 まっすぐに 伸びし白百合 凛として 今年は切らずに 窓から眺む  横浜市  川田 眞佐子 
 降りつづき 水嵩増えて 濁りたる 多摩の水面に 白鷺あそぶ
 決戦を 戦ひ抜きし 沖縄の 人等いかにと ひと日忍びぬ 川崎市  佐瀬 洋子
 日本は 水に恵まれ 良き雨の 豊かな国ぞ かく荒ぶるな 
 多摩川は 雨に煙りて 川面には 優雅に舞ひて 白鷺降りる 町田市  中里 真二
 うたを詠み 読み返しては 首ひねり 闘病の日の はやも暮れゆく
 重なりて 窓辺で眠る 猫二匹 五月の風が カーテン揺らす 町田市  川田 眞佐子
 紫陽花の 花芽が少し 色づきぬ マスク外して 薄く紅引く
 夏至の朝 通る川辺に 鯉の波紋 梅雨明け待つは 我もまた同じ 町田市  永野 節雄
 梅雨の晴れ間 温度上がりて 酷暑とか 今宵もまた 寝苦しからむ
 河川群 その流量を 超えて降る 生活破壊す 線状降水  福井市   橋詰 見世
 台風と 梅雨前線 合体し 突然生ず 線状降水帯
 咲かぬうち 枝を剪らんか 迷ひをる 隣家に伸びし 紫陽花の枝 世田谷区  秋山 陽一郎
 寒くなし 青葉繁れる 明け方に ためらいもなく 布団より出る 
 美しき 名前もて咲く 花菖蒲 濃き紫の 花に見ほるる 選者   安元 百合子 
 ケケキョケキョ 鳴きてとびたつ 鶯の 声のするどき 七夕の朝
 傘寿なる 児らゆ届きし 花かごの 花にも勝る 教え児の心

 令和5年 7・8月号より  
 公園に 並ぶ鯉のぼり 風なくて だらりと垂れてる 昼のひととき 町田市   永野 節雄
 卒寿迎へ 上鰻重の 祝い膳 百歳まではと 意気だけ高し
 母の日に その生涯を顧みる 苦労乗り越え 頑張りし母 草加市   勝木 俊知
 母の日に 亡き母に供う カーネーション 昔のままに 好きな赤色
 花見船 色づく土手や 都どり 団子食して 業平しのぶ  豊島区  橋本 孝一  
 柴又の 行き交う人や 帝釈天 とらやの団子 矢切の渡し
 スーパーで 菖蒲買う 人のあり 伝統つなぐ 若き母親 福井市  橋詰 見世
 みどりの日 昭和の日と 名を変えて 祝日となり 国民納得
 今までの 零と一との 組み合わせを 一度にはじく 技術に驚く 川崎市   佐瀬 洋子
 教科書に タブレット合わせ 算数の 丸付けできるらし 来年楽しみ
 重なりて 窓辺で眠る 猫二匹 五月の風が カーテン揺らす 横浜市   川田 眞佐子
 紫陽花の 花芽が少し 色づきぬ マスク外して 薄く紅引く
 卒業式 母校の校歌 うたへしは 来賓席で 吾ひとりのみ 町田市   中里 真二
 世話になりし 担当者が 移動する 次来る人も 気さくな方で
 Jアラート 鳴り響けども シェルターも逃げ場もあらず ミサイルとぶ世に 選者  安元 百合子
 さくら見る 肩にかすかな 重さして 赤きかりんの 花びらを受く



 令和5年 5・6月号より  
 暦では 春だと言うに 冬の空 春一番で 病吹きとべ 町田市   中里 真二
 久々に 笑顔絶やさぬ 友に会ひ 春が来たよに 心温もる
 テレビ前 二刀流フィバーに 我を忘れて 拍手しており 町田市   永野 節雄
 デパートの うなぎ店で女房と 夕食楽しむ 老後のひと時
 渡り鳥 群れなし帰る 北の空 寒気ゆるみし 古里の湖へ 草加市   勝木 俊知
 雪しまく 越前漁港 風すさび ホワイトアウト 鱈鍋は夢
 たれ花に 飛び交う鳥の つつき合い 破れみかんは あるじの情け  豊島区  橋本 孝一  
 土手も枯れ 雪山遠く 山も枯れ 和む白梅 甲府の大地
 食糧難 救う手立ての 昆虫食 その名を聞きて 一歩退く 福井市  橋詰 見世
 勇気湧く 池江璃花子の 活躍に 世の病人も 健康人も
 建国を 偲ぶすがしき 陽の光 いよよ輝き めじろ来たれリ 川崎市   佐瀬 洋子
 魔除けとふ 巨大な銅剣 銅鏡は いにしえ人を さぞや守りなむ
 降りそそぐ 春の陽射しに 絡み合ふ 北風勝り マフラー上げる 横浜市   川田 眞佐子
 赤信号 足元に咲く すみれぐさ 信号待ちの 幸せひとつ
 紀元節の 祝歌うたへば しみじみと 我が日の本の 尊きを思ふ 選者  安元 百合子
 音たてて 落ち葉をはけば 二つ三つ 見つけし蕗の 薹のさやけし

 令和5年 3・4月号より  
 吾よりも 大きくなりし十九の 孫おねだ りする目の 可愛さ変はらず 町田市   中里 真二
 お正月 恒例となる 腕相撲 孫らに負けて 老いを感じる
 ウオーク後 浸る朝風呂 冷えた身も ぬくもり心 和むなり 町田市   永野 節雄
 宅配の おせち並べて 屠蘇を酌む 老々夫婦 恙なく迎春
 手を合わせ 昇る初日に 願うこと 国家の安泰 家族の健康 草加市   勝木 俊知
 半呆けで 額の眼鏡 さがす日々 場所決めて置くと 孫の忠告
 英霊に 届けと歌う 能楽堂 錦秋近き 靖国の杜  豊島区  橋本 孝一  
 ボーボーと 青くストーブに 火がつきて 赤く燃え上がる 朝の挨拶
 年末に 閣議決定 三文書 目覚めとなるや 反撃能力 福井市  橋詰 見世
 トマホーク 五百で足るや 反撃に 確定が先 敵基地の位置
 おはようの 次はサッカーの 話題から 始まる職場の この頃の朝 川崎市   佐瀬 洋子
 これからの 空を守るは 宇宙まで 未来の名前に 期待広がる
 新年の 穏やかに過ぐる 時にをる 昨日と今日の 心の不思議 横浜市   川田 眞佐子
 和やかに 今年最初の ミーティング 皆で見上ぐる 白き満月
 たはむるる 孫やひ孫に 囲まれて 正月三日 穏やかに過ぐる 選者  安元 百合子
 にはか雨 やみたる空に 虹たちて 丘の家々 おほひて明かし

 令和5年 1・2月号より  
 仲秋の すず風流るる 庭に出で 見上ぐる月は 白く妖しく 横浜市   川田 眞佐子
 さわさわと 揺れる薄の 波にのり 小高き丘に あゆみを進む
 太い針 痛い注射の 療養も やさしい看護師に 会えてうれしき 町田市   中里 真二
 久々の マジックショーで 喝采と 良きもてなしを 受けて嬉しき
 年老いて 互いに自我の ぶつかりて 俺とお前の 口争い続く 町田市   永野 節雄
 一言えば 十返り来る 口論に 老いの悔しさ 眠られぬまま
 ポツネンと 案山子一体 実り田に 両手を広げ 睨む菊晴れ 草加市   勝木 俊知
 なにゆえに 一本足で 立ちおるや 山田の案山子 知恵ある神が
 連綿と 続きにつづく 献花の列 故人の業績 独立日本  豊島区  橋本 孝一  
 三ヶ根山 比島観音や 七士の碑 三河の海に 三谷の竹島
 エルニーニョ 台風量産 世界を襲い 被害甚大 十日夜 福井市  橋詰 見世
 聞く力 あれど乏しき 決断力 憲法九条 急げ改正
 ゆらゆらと 豆湿らせて 香りたつ 淹れたてのコーヒー すする幸せ 川崎市   佐瀬 洋子
 投打とも 超一流の 結果出し 努力と夢を 叶へて見事
 見はるかす 園に花咲く ダリア園 色さまざまに 咲きほこりをり 選者  安元 百合子
 父と子が けり合ふボールの 黄色さえ 秋空にはゆる 文化の日今日

 令和4年 11・12月号より  
 脚気治す 方法見つけし 高木氏の 伝記読み浸り 心寄せたり 川崎市   佐瀬 洋子
 ひと頃の 熱射おさまり いわし雲 空のみ早く 秋訪れる
 この夏も 猛暑日続く 列島に 居座る錦の 降水帯の図 横浜市   川田 眞佐子
 コロナ禍で 上京できぬと 言ふ友に いつ か行くねと 不安のいつか
 青嵐の あとに朔風 吹き込みしを 乗り越へねばと 友が励ます 町田市   中里 真二
 田植えから 四月経ちて 稲刈りの 日取り近しと 頭を垂れる
 朝焼けの 西空中天に 十六夜の 月明るく 白く 輝きており 町田市   永野 節雄
 今までは 解凍ばかりの 店先に やっと生秋刀魚 秋の味覚楽しむ
 エリザベス 女王陛下 ゴルバチョフ 平和の使徒や 逝きし十五夜 草加市   勝木 俊知
 暗殺の 陰に糸引く 者なきや 弾道の謎 安倍首相の死
 我が国に ロシアの野望の 危惧をする 打ちてし止まんの 気概如何にぞ 豊島区    橋本 孝一 
 その国歌 多民族には 屈せぬと 声高らかに ウクライナの民 福井市  橋詰 見世
 コウロギを 食べる世となり 食料の 安全保障に 難儀す日本
 終戦後 七十七年 遺族ら老い 忠魂碑の 維持も難しと 選者  安元 百合子
 雲の峰 ややにくずれて 青き空 夏の終りの 猛暑日の午後

 令和4年 9・10月号より  
 悲しみは 尽きず世界が 死を惜しむ 安倍元総理 凶弾に倒れ  福井市   橋詰 見世
 国葬に すべきと国民 皆願う 安倍氏の成せし 功績思い
 総会終へ 今年こそはと 意気込むも 感染者数 日ごとに増へり 横浜市   川田 眞佐子
 鎌倉の海に ま向かふ洋館の 薔薇の数だけ 幸せ咲かむ
 食品の 重なる値上げ 仕方なく 量を減らして 味わい食べる 川崎市   佐瀬 洋子
 遠い過去 地球の命の 始まりを 解きゆく話の スケールの大きさ
 孫一人 祝いの席に 欠席と なりて寂しく 不憫におもふ 町田市   中里 真二
 毎日の 日課が増えし 水管理 実りの秋まで できる幸せ
 数多い 迷惑メールの駆除をなす 毎日数回 煩わしけれ 町田市   永野 節雄
 凶漢に 襲われし安倍さんの 死をば悼みて 冥福祈る
 ウクライナ戦 教訓として 学ばねば 専守防衛 危うし日本 草加市   勝木 俊知
 七夕に 素麺食べる 風習を知りて あわてて 八日に食す
 ニューギニアに 散りし英霊の 帰国待つ 憂いは今も 七万柱 豊島区    橋本 孝一 
 三日前 続けし原稿 書き終わる 寿命悟りし 百六歳 
 子も孫も 問う過去帳って 何ですか 我が家を加護する 先祖の名簿 港区  宝珠山 昇
 求めるな 百パーセントの満足を 母の口癖 いま身にしみる
 ニューギニアの 遺骨収集 済むまではと 宣らせし会長 遂に逝きます 選者  安元 百合子
 やうやくに 国葬をとの 報道に心休まり ご冥福を祈る

 令和4年 7・8月号より  
 ウクライナ 沖縄戦と重なりて 先祖の無念 図りて咽ぶ 港区   宝珠山 昇
 同盟の 強化が緊要 自主自立の 日本を子孫に つなぎ伝えむ
 戦雲の 陰鬱覆う ウクライナ 平和の光 世界が渇望  福井市   橋詰 見世
 突然に 降りくる砲弾 炸裂し 高層住宅 もろくも崩る 
 ひさびさに 娘(こ)の住む町を 尋ぬれば 孫の合格 春の日うれし 横浜市   川田 眞佐子
 卯の花の 真白き花の 咲く様に 年年歳歳 鏡を眺む
 昔より 小地獄といふ 岩山と 杉の根生ふる 道歩くは辛し  川崎市   佐瀬 洋子
 妻と子を 今生の別れと 覚悟して 列車見送る 父の目に涙 
 地方紙に わが人生が 記事となり メールや電話 もらひて嬉しき 町田市   中里 真二
 うぐいすが 今年も春を 告げにきた さえずり嬉し 半袖を着る
 肌寒の 梅雨の走りか 長袖を着込んで 今日も川辺のウォーク 町田市   永野 節雄
 昼飯に レトルト冷凍 焼き飯と 便利なるチン 風情なけれど
 テレビにて 惨状傍観 ぬくぬくと 現地は零下 戦場の街 草加市   勝木 俊知
 春の花 絢欄豪華に 咲き誇り 吾がスマホの 初撮り写真
 こちら向き 笑顔のラッパ ささやきて 赤白まだらの 合唱大会 豊島区   橋本 孝一
 クローバの 白き花々 群れて咲き やわき木漏れ日 ちらちらゆるる 選者   安元 百合子
 春の風 吹くともなしに 桜花 ひらりと舞ひて 音もなく散る

 令和4年 5・6月号より  
 起きて待つ 二十四時間 ベットの上 夜明け恋しや コロナに感染 豊島区   橋本 孝一
 病み上がり 辿り着きたる 久遠寺に 法要参向 みつまたの花
 ウクライナ 衆愚政治が 招きしか わが家日本の 戸締り尋ぬ 港区   宝珠山 昇
 スノーボード 歩夢二刀流 金メダル 小さ き頃の 夢を叶えし
 春を待つ ウクライナ国 国民の 愛国心に依りて 生き延ぶ 福井市   橋詰 見世
 世界から 非難されても プーチンを 支持する国民 悲しからずや
 折れそうな 心を隠す 吾にして 優しき言葉に 涙止まらず 横浜市   川田 眞佐子
 バスを降り 夜空に冴ゆる 上弦の 月と並びて 家路をたどる
 八朔を むきていただく この時期は 酸い実を好みし 祖父を想ひぬ 川崎市   佐瀬 洋子
 当たり前と 思ふいつもの 一日を 今日も過ごせる ことに感謝す
 夢に見し 孫の運転 助手席に 乗せて貰ひて 車窓楽しむ 町田市  中里 真二
 水ぬるみ 別るる人と 来る人の 寂しくもあり 期待もありて
 ビル影に 遠望消えし 富士見坂 街路の並木は 春の気配が 町田市   永野 節雄
 親木より 一足早く 芽吹きする 春の気配の 寄生木の群れ
 紅白の 梅咲きみちて さ庭辺を 風運びゆく 季節の香り 草加市   勝木 俊知
 亡き父の 愛でし鉢植えの 君子蘭 五十年過ぎても 葉はつややかに
 2の文字が 六つ重なる 日にあれば 今日はスーパー 猫の日なりとふ 選者   安元 百合子
 名刺もつ 用なくなりて 時たちぬ 思い出と共に 始末なし終ゆ

 令和4年 3・4月号より  
 除夜の鐘 聞こゆることの なくなりて はや幾年ぞ 風情なき年越し 草加市   勝木 俊知
 贈られし 地酒お屠蘇に 元日の 膳に感謝 し 友を偲びぬ
 大根を 初めて引き抜き やわらかな 葉っぱをたべて あまさに驚く 豊島区   橋本 孝一
 西新井 出店にぎやか 七五三 団子を食べ て 総持寺散歩す
 「オイミャコン」 世界でいちばん 寒い村 コロナの菌も 瞬時に凍る 港区   宝珠山 昇
 それぞれの 人生背負いし 人々が 出会い行き交う 東京駅
 米国の 信頼失墜 バイデンの 施策ことごと 裏目にい出て 福井市   橋詰 見世
 聞く力 ・見通す力 ・説く力 三力欲し い 上に立つ人
 多摩川の 清き流れに 新酒干す 深まる秋に 杉玉みどり  横浜市   川田 眞佐子
 紅をさす マスクの下の 唇が 少し華やぐ  初雪の朝 
 餅つきに 会社休みて 手伝いに 二十余年も 意気を感じる 町田市   中里 真二
 孫たちは 今年も活躍 餅つきに 確かな戦力 わが目尻下がる 
 元朝に コロナ祈願の 宮詣で 郷社の杜は 鎮まりてあり 町田市   永野 節雄
 正面に 初日上がりて 眩しけり 願いをこめて 初ウォーキング
 空青く 枝に光の 輝きて 令和の四年 穏やかに明けぬ  選者   安元 百合子
 子も孫も 曾孫も共に つどひ来て 正月ふつか 睦み賑はふ

 令和4年 1・2月号より  
 コロナ緩和 数か月ぶりの 外食で 乾杯のビール 歯に沁み通る 町田市  永野 節雄
 暖かく 風も吹かない 冬立つ朝 茜色に染む ウオークの道
 見上ぐれば 茜の空に 赤とんぼ 風に乗りつつ 家路を急ぐ 草加市   勝木 俊知
 ベランダの 鉢に朝夕 水をやり 「金のなる木」は 少し多めに
 風強し 望月冴える 海ほたる 街の火近づき 羽田に向かう 豊島区   橋本 孝一
 背信の ゾルゲと尾崎 国賊ぞ ふしぎふしぎの 多磨の霊園
 親宇宙 子供を産んで 孫ふやす 宇宙の営み 多重生産 港区   宝珠山 昇
 お歳より 若く見えると 和ませて 点滴針を ぐさっとさす主治医
 ネット右翼 危機感感じ 投票す マスゴミ倒す 自民の力 福井市   橋詰 見世
 大物の 議員落選 新人の 当選や良し 世代交代
 英霊に 捧げる軍歌 靖国の 舞台に並び たからかに歌ふ  横浜市   川田 眞佐子
 砂の音は 立ち止まらざり この歌を 続けることは 生きのあかしと 
 ネクタイの 着用時期は 嬉しけれ 思い出募る よきしめ具合 町田市   中里 真二
 那智の滝 轟音響かせ しぶき舞い その神力に 頭下がりぬ
 かがやきを ひときは増せる 夕日かげ 丹沢の山並み 照らして沈む  選者   安元 百合子
 落ち葉はき 箒休めて 見上ぐれば 山茶花赤く 咲きそめにけり

 令和3年 11・12月号より  
 パラ選手 順位をつけず それぞれに 苦労の道のり 讃える金を 町田市  中里 真二
 孫が来て 帰りも車の 一人旅 着きしとラ イン 届きて安堵す
 護岸壁 目地修復の 白目立ち 幾何学模様を 川面に映す 町田市  永野 節雄
 歩く我 ガイドするのか 黒トンボ 行くてひらひら 前に後に
 「自らの国は 自ら守れ」との 教訓残す アフガン撤退 草加市   勝木 俊知
 オリ・パラの 日本開催 成功す 与えし感動 永遠の宝に
 代々と 樅の木一本 そびえ立つ いまや百年 森の匂よ (明治神宮) 豊島区   橋本 孝一
 元帥の 顕彰絵画 一代記 T字戦法 杉野はいずこ (東郷神社)
 コロナ禍の なか鍛えし妙技 リモートで  善く観せし 東京オリ・パラ 港区   宝珠山 昇
 励まさる 失ったものを 数えるな 残されたものを 生かせの言葉
 優先に 恵まれワクチン 接種終え 久方ぶりに 古書店巡りす 福井市   橋詰 見世
 慎重に 泥取り除く 自衛官 雨降り止まぬ 土石流跡
 立秋の 秋といふ字は 涼しげに 現の天気は 猛暑日続く 横浜市   川田 眞佐子
 萩ふふみ 久方ぶりに 訪れし 鎌倉の街は 秋待つ風情
 「日本は 戦に勝ちし」 とふ書を 読みつつうべなふ 我が意をば得て 選者   安元 百合子
 焼けるよな 玉砂利踏みて 靖国に 詣できつれば 心安けし

 令和3年 9・10月号より  
 紫陽花の うへに降る雨 糸を描く 紡がれ し糸 細く切なく 横浜市  川田 眞佐子
 ひと時の お喋り終へて 沈黙す コーヒー カップの かをり楽しみ
 パソコンの 小さな顔に 挨拶す 反応なくて 戸惑い隠せず 町田市  中里 真二
 去年より 背が伸び過ぎし グロリオサ 花をカメラに 撮る人誉める
 コロナ禍を 吹き飛ばすような 二刀流 テ レビの前で どっしり過ごす 町田市  永野 節雄
 山津波 湯の町襲う 災害地 すさまじき様 まじまじと見る
 線状の 降水帯に 襲われし 河川見る間に 大河となりぬ 草加市   勝木 俊知
 七夕の 日光街道 松並木 聖火はリレーす 小雨降る中
 曲がり角 くちなし匂う 三年目 診察に通う ネフローゼ病み 豊島区   橋本 孝一
 三週間 禁煙せしのち 吸う煙草 けむり染み入る 元気な体
 ワクチンの 副反応を 気にしつつ 孫らと会えるを 楽しみ接種す 港区   宝珠山 昇
 故里の 真木の山並み 佇まい リモート墓参 我を励ます
 土石流 爪痕深く 熱海市の 惨状に見る 人の弱さよ 福井市   橋詰 見世
 川岸の 向こうに見えし 二階建て 突然落ちて 流されてゆく
 沖縄の 平和の礎に 詣できて 祖母と額づく 幼いとほし 選者   安元 百合子
 英霊と 称すはいくさの 賛美ぞと 批判なす輩 国民なりや

 令和3年 7・8月号より  
 実力を 持っていながら 自らの 手足縛り て 戦う愚かさ 福井市  橋詰 見世
 鯉のぼり 担ぎ遊べる 幼娘の 髪キラキラと 明日への光
 解除後に 日に日に増ゆる 感染者 オリンピックの 文字がかすみて 横浜市  川田 眞佐子
 夕暮れの 灯りがともる 汽車道に 薫る風吹き さざ波眺む
 新年度 かじ取り役を 任されて 五十六語録 肝に銘じる 町田市  中里 真二
 マジックの ネタ作りつつ 弟子たちの 驚き顔に 手もよく動き
 武相分ける 境川畔に 朝日さし 北帰忘れし 白鳥佇む 町田市  永野 節雄
 雨上がり 光る水溜まり 避けつつ 川辺の道を 朝のウオーク
 河川敷 火葬の炎 立ち上がり その数知れず 天をも焦がす 草加市   勝木 俊知
 おしゃべりで パーティー好きで 大家族 三密無縁 インドの社会
 ちびちびと ブラックコーヒー 飲みながら 通路のベンチに 溜息聞こゆ 豊島区   橋本 孝一
 病室は 寝返る音や 唸り声 たぬき寝入りと 我も従う
 子供らの 無病息災 成長の 願いを込めし サンケラの餅 港区   宝珠山 昇
 巣を襲う 蛇と闘う 燕たち 大きな羽音 鳴き声たてて
 トーチキス 終わりて 走者ゆっくりと 走りいだしぬ 五輪への道 選者   安元 百合子
 始まりし 聖火リレーの その果てに 五輪の炎 かすかにかすむ


 令和3年 5・6月号より  
 ウイズコロナ 冬眠したい アラエイティ 一都三県緊急事態 港区  宝珠山 昇
 戦中の 母らの労苦 偲ばるる 「青天を衝 け」 農事の場面
 生物戦たる 認識の無き 日本は 対応甘く  感染拡大 福井市  橋詰 見世
 国会で 接待問題 延々と 重要法案 先送り して
 自粛延び 冷たき雨の 一日を 雨垂れ数へ ひねもす過ごす 横浜市  川田 眞佐子
 日溜りに 寝転ぶ猫に 問ふてみる 今この時も 幸せなのかと
 孫たちが ひと春ごとに ひと回り 話すを聞きつつ 教へられたり 町田市  中里 真二
 御宿の つるし飾りの 魚たち ご当地自慢に 縫ひ上げられて
 春浅し 税金申告 窓口も 消毒液と マスク対策 町田市  永野 節雄
 コロナ禍は 蛍雪の儀式も 形変え 思い出残しつつ 生徒別れる
 富士の嶺に 雪降り積もり 久方に 冬の装い なぜか安堵す 草加市   勝木 俊知
 幼子の 語る笑顔に その母の 通訳ありて 暖かき午後
 男坂 難儀なりけり 七十路も 本堂めざす 十四回忌 豊島区   橋本 孝一
 時頼に 安国論を 諫言せし 三十九歳 日蓮上人
 風ぬるみ 陽のあたたかき 下り道 蝶の黒き影 ゆらゆら写る 選者   安元 百合子
 まんさくの 黄のかんざしの 花ひらく 春近づきし あはき陽のなか

 令和3年 3・4月号より  
 名残柿 叫びよろこぶ 鳥の群れ 師走の空に 大きく響く 豊島区  橋本 孝一
 平穏な 会食会合できる日の 早きを念じつつ 除夜の鐘聞く 港区  宝珠山 昇
 テレワーク テレ会合の 増えるなか 温も り感じる 年賀の葉書
 クリスマス グッズ華やか 玄関前 ミッキーマウスと ミニーのフィギュア 福井市  橋詰 見世
 隊員に 手合わせ感謝 せしと言う 亡母の言葉 心に重く
 小春日の 射し込む光 やはらかく 伸びゆく様を 日々に楽しむ 横浜市  川田 眞佐子
 雲の間の 気弱な冬の 陽を受けて 梅の蕾は やうやく膨らむ
 北風に 悲しき知らせ 運ばれて 心の奥に すきま風ふく 町田市  中里 真二
 餅つきに 親子孫たち 三代で それぞれ持ち場で 掛け声弾む
 七階の 病窓に眺める 丹沢の 山並み青く 秋色いまだし 町田市  永野 節雄
 柚子かおる ウォークあとの 浴槽に 小窓通して 朝日さしこむ
 去年今年 分かつ厳かな 除夜の鐘 淑気みなぎる 月影の庭 草加市   勝木 俊知
 雪しまく 故郷遠く 雪害の 無きこと祈る 初詣にて
 さくら葉の もみぢ美し 喪をしらす 葉書の一号 秋は深みて 選者   安元 百合子
 子も孫も お正月は 我が家でと メールの届く コロナ禍の暮れ


 令和3年 1・2月号より  
 木枯らしの 一番すさぶ 碧空に 欅の大樹 黄金葉降らす 草加市  勝木 俊知
 荒海の 越前漁港 想いつつ 独りの夕餉 蟹解禁の日
 おぼろなる 記憶めざめる 石畳 部落の賑わい 今はまぼろし 豊島区  橋本 孝一
 つる伸ばし 風船カズラ あちこちに 緑の風船 茶色の風船
 電卓の 太陽電池 寿命尽き 算盤出して 若き日思う 港区  宝珠山 昇
 大動脈 解離で手術し 杖ついて 園児の遊戯 ながめて散歩す
 ハローウインは 満月煌々 世を照らし 死霊の復活 かなわぬ夕べ 福井市  橋詰 見世
 十三夜 月昇りくる 夕空に すすきの穂叢 手招きをする
 多摩川の 流れを変へる 取水堰 利器なき時代の 苦労偲ばる 横浜市  川田 眞佐子
 暖かき 部屋でくつろぎ テレビ見る 木枯らし吹くを 聞いて驚く
 児童らの 稲刈り後の 田圃みて 見回り役の ひと夏をはる 町田市  中里 真二
 仮住まい 咲き続けたる 胡蝶蘭 ともに過ごしぬ 住めば都か
 連休に 帰る娘のため あがなひし メロンの甘さ 帰り来ぬ娘よ 選者   安元 百合子
 金色に 小花むれ咲く 木犀の 咲けるを見つつ その香をしのぶ

 令和2年 11・12月号より  
 マスクつけ 酷暑乗り越え 秋彼岸 季語も戸惑う コロナいつまで  町田市  永野 節雄
 右擦り傷 左は打ち身 躓いて 転び両膝 絆創膏貼る
 園児らの マスクとりどり 愛らしく 母の愛情 満ちる園庭 草加市  勝木 俊知
 国のため 命ささげし 英霊の 遺せし言葉 身を正し読む
 鳴く蝉は 疲れも知らず 無関心 熱中症と コロナ増えつつ 豊島区  橋本 孝一
 亀戸の 水面に群れる 亀と鯉 梅の種類と 朱の太鼓橋
 故郷の お墓の掃除 親戚に 頼み先祖に リ モート墓参 港区   宝珠山 昇
 過ぎし日の アルバムめくり 懐かしみ 若返りせし ステイホーム 
 手にあまる コロナ感染 熱中症 日ごと増 えゆく 酷暑と共に 福井市   橋詰 見世
 台風の 過ぎて広がる 澄んだ空 悲しいまでの 災害の痕
 暑き日に 総理辞任の 会見あり 国の行く末 憂ふる夕べ  横浜市  川田 眞佐子
 恐々と 出かけることの 違和感に 下向く気持ち 真上に向けて
 お日様を 恋しく思ひし 文月も 葉月になれば ひと雨欲しく 町田市  中里 真二
 ひところに 比べてみれば 健康に 皆のおかげと 思ふ待合室
 終戦日 靖国の宮に 詣で来る 人あなたなり 猛暑にめげず 選者   安元 百合子
ベランダに マスク十枚 干されをり コロナひろがる 町に生きつつ

 令和2年 9・10月号より  
 再開す 再会できる知らせあり 励みにな りて 喜びて詠む  町田市  中里 真二
 コロナ禍で 余暇に散歩も コース変へ 思はぬ景色 今日もわくわく
 梅雨晴れ間 川辺の道の 植え込みの 下草刈りて 雑草もすっきり 町田市  永野 節雄
 九州に 水害もたらせし 線状前線 関東への移行を 気遣い暮す
 ダム無くば 治水困難 暴れ川 ダムより人へが もたらす惨状 草加市  勝木 俊知
 天の川 眺めて将来 考えし 演習場の 深き闇にて
 木洩れ日を 地べたに這わせ 枝広げ 樹齢六百 影向の松  豊島区  橋本 孝一
 川面とぶ 燕のすがた 見えかくれ 五月雨ふりて 川面にえくぼ
 ステイホーム 戦中戦後の 祖父母らの 労 苦を偲び わが身をただす 港区   宝珠山 昇
 ぼんやりと 教科書照らす ホタル篭 大麦わらを 編んで作りし
 焼夷弾 降りそそぐ中 逃げ惑い 川に飛び込み 一命を得し 福井市   橋詰 見世 
 吾をねらい 機銃掃射す パイロット 白き歯を剥き ニッと笑みたり
 梅雨空の 雲間に見ゆる 青空は 咲く紫陽花の その色に似て 横浜市  川田 眞佐子
 コロナ禍で塗りつぶされしスケジュー ル手帳に並ぶ修正液の白
 「生ききる」 とふ言の葉に ふれ残されし わが人生に 思ひをはする 選者   安元 百合子
 西日受け 家路たどれば 影法師 長く伸びつつ 我をみちびく

  令和2年 7・8月号より
  手を伸ばし 目覚まし取りて 確かむる 今少し居る まどろみの刻 横浜市  川田 眞佐子
  この風に かほる花の香 望月の 光を受 けて 卯の花浮かぶ
  荷造りに 思い出つのり 手がとまる ひと月の猶予 残り少なし 町田市  中里 真二
  春眠の 暁知らせる お客様 まだ寝てるの と 小鳥さえずる
  ゆったりと 花筏流れ 岸辺には 菜の花黄に咲き いま盛りなり 町田市  永野 節雄
  春休み ゴールデンウイークも コロナ禍で 消えて蟄居の 学童哀れ
  鉄線花 壁よじ登り 白き八重 花咲き競う 斜陽に映えて 草加市  勝木 俊知
  コロナ鬱 菖蒲湯に入り 吹き飛ばせ 端午の節句だ 粽も食べて
  水仙と 菜の花 桜 咲きそろい 緑さやかな道 鴨川に向かう 豊島区  橋本 孝一
  傘寿過ぎ 重ねし月日に 思い閉じ あなたを忘れ 己も忘れ
  ステイホーム 「三密」避ける 孫からの 元気ですかの 電話になごむ 港区   宝珠山 昇
  小川から 水を汲みきて 風呂を焚く 手伝 いをせし 戦後懐かし
  現憲法 個人主義を 尊重し 強制力無く コロナ跋扈す 福井市  橋詰 見世
  緊急事態 宣言すれど 国民の 安心安全 守る鞭無く
  コロナにて 人の絶えたる 園に咲く 桜かなしも 咲きの盛りを 選者   安元 百合子
  百歳の 母のはぶりに 赤飯を 炊きしといふを 胸いたく聞く